大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(12) 石森章太郎 3 「あかんべえ天使」

今夜はそうとう久々になる石森章太郎先生の作品紹介で、初期の少女漫画短編集「あかんべえ天使」(朝日ソノラマ刊)。
ISHIMORI-akanbee-tenshi.jpg
朝日ソノラマのサンコミックスから出ている石森章太郎作品を、これから少しずつでも紹介していきたいと思うのです。

正統派すぎてか、マニアックな漫画ファンでも意外と深くは読んでいない石森章太郎作品なのですが、私は少年時代からの思い入れもあって、ずっと尊敬していますので…

「あかんべえ天使」は、トキワ荘仲間でもある水野英子先生の寄せ書きから始まって、6編の短編が収録されています。

どれも少女向けに描かれた作品だと思うのですが、私などはいきなり一話目の「夜は千の目をもっている」でやられちゃいます。
細かいコマ割りとセリフの多さで、家庭教師の梅宮紀子とある一家を坦々と描いていくのですが、そこに入り込んできた戦友と紀子の悲しい関係なんかも歌と共にからめていき…

次の「虹の世界のサトコ」は、ルイス・キャロル「不思議な国のアリス」に絡めた幻想的な作品だし、他の「水色の星」「ガラスのマリ」「赤ずきんちゃん」も実験的要素があったりロマンチックすぎる所が石森章太郎先生っぽくていいのですよ。

そして表題作の「あかんべえ天使」
童話作家の爺さんがたまたました話と、純粋な少女・ヤッコの心が一致して、びっこの子犬を天使なんだと思い込んで飼う事になり…
そこに、ヤッコが住んでる下宿の人々の様々な人生が絡んでくるのです。

問題あるヤッコの一家の他にも、若いボクサーの恋、本当は金持ちだったヒゲのおじさん…
やはりコマ割りが今の漫画より細かくて情報量が多いのもあるのですが、ストーリーの構成が緻密なわけですよ。
そして、びっこの子犬の可哀想な結末…石森章太郎先生の初期傑作である事は間違いありません。

何だか胸キュンなノスタルジーが流れているのは確かですが、さらに単純に、そして問答無用に絵が可愛いのもこの時代の石森先生ですねっ!

夜は千の目をもっている だけど昼にはただひとつ
陽がしずかにしずむとき この世のすべてのあかりも死んでしまう
……夜は千の目をもっている
だけど心にはただひとつ 愛がおわりをつげたとき
いのちのすべてのあかりも 死んでしまう


  1. 2008/07/19(土) 23:31:01|
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