大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(59) 新堂冬樹&西崎泰正 1 「カリスマ」 1

優しかった母の顔
美しかった母の顔
それがあの日を境にー
狂気に変わった



今夜は新堂冬樹原作、西崎泰正作画の「カリスマ」(双葉社刊)です。
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初の青年漫画誌で劇画のパイオニア、そして数々の名作を生んできた漫画アクションが、しばしの休刊を経て復刊した2004年、私も喜んだその復刊号で一挙二話掲載という扱いで登場した作品で、単行本は全4巻。

裏社会を描くノワール小説と、対極的な純愛小説の共に評価の高い新堂冬樹の小説を原作として、西崎泰正先生がノベライズした作品なのです。
ではこの西崎先生とはどんな漫画家なのか!
…すみません、この「カリスマ」以外全然知りません。
この作品を見る限りでは絵は凄く上手いわけではないのですが、作品の内容には見事にマッチした絵柄で、見事に分厚い小説を漫画作品として昇華してくれました。
おっと、構成担当として八湖路つとむという名もクレジットされていますね。


「カリスマ」の主題は宗教。
それも"カルト教団"の教祖、洗脳されていく側の人々を描いています。
カルト教団をテーマにした漫画といえば先月も「DOKURO -毒狼-」を紹介したばかりですが、こちらはもちろんバトル物じゃないし、もっとリアル。

ある時、ある場所で。
明るい小学生だった岡崎平八郎の母親佐代子は、カルト教団に狂ってしまい…
笑顔を取り戻してもらいたくてクリスマスにプレゼントされた、平八郎の絵をビリビリ破き、
『こんな忌まわしい日にプレゼントですってぇっ!?
お前はあの悪魔キリストの降誕祭を祝いたいわけ!?』

と首を絞めて殺しかけます。

夫が帰ってきて何とか子供を助けたものの、悪魔の手先と見なした佐代子は夫を平八郎の目の前で何度も刺しまくり、殺してしまいました。
さらに腹を割いて夫に取り憑いた悪魔を探すのですが、腸引っ張り出しても悪魔は見つからず、自分に乗り移ったらしい悪魔を追い出すため、全裸になって自ら女性器に包丁を付き立て、胸の下まで斬り割きました!
そして平八郎に内臓から悪魔を探させているうちに息絶える…

この衝撃シーンを冒頭に、
『母ちゃんも父ちゃんも あの神様に殺された…
いや…神様じゃない この世に神なんているもんか
たとえいたとしても 僕は死ぬまで神を信じない』

と誓った平八郎が、ずっと後年に宗教法人"神の郷"の教祖でメシア(救世主)の神郷宝仙として、巨体になって世に出てくるのです。

この神を憎む男が自らを神と名乗り、悩む人々が持つ不安な気持ちを言葉巧みに操り、合宿に参加させて洗脳しする。
若くて美人の獲物は啓示室で"色欲解放の儀式"と名付けたエロ行為で体を弄び、己の欲望を満足させる…
(ここはエロ漫画としても秀逸!)

しかもこの啓示室の隠し部屋があり、信者達に禁欲的な生活を強いておきながら、そこは高級な酒、タバコ、衣類にアダルトグッズ等を取り揃えた、正に俗物の欲望にまみれた部屋になっています。
ただの薄汚いオッサンが、眼が眩んだ宗教者にとっては人間を超越した存在にうつる、その辺りを描いているわけですが…とにかくそんなひどい教祖なのです!

こういうのは誰もが正義感に燃えて、例えばどこぞの教祖がセクハラで訴えられたりすると怒ってみたりするのですが、男達の本音では『羨ましい。いい思いしやがって』てのがありますよね。
どんな美女も絶対服従で言う事を聞く、そんな状況になったら人間なんて同じ事をするのはほとんどなのではないでしょうか。
かつてモテなかった男が金を手にしたりして女性が寄って来るようになると、だいたいやる事は同じなんだし。
そんな状況でもストイックに座禅を組み続けられるのは、私(BRUCE)くらいのものでしょう。

…と、それはさておき。
カルト教団、神の郷にも天敵はありました。
それが脱会カウンセラー"覚醒会"と、その武石藤夫会長。
過去に脱会した約300人の教徒の大多数が武石に洗脳を解かれているのですが、今回は教団の経理を一任していて金の出入りを把握していた曽根昌一が拉致されました。
この曽根は、氷室誠二という最も熱心な若者を刺客に差し向けて、『魂を永遠に救済する』として始末しましたが…

次に登場するのは城山信康
"ハッピーツーリスト"という小さな旅行会社の店長なのですが、こいつが善良ながらも小さい人間で、カルト教団にだまされる被害者側の主人公となるのです。

近所の古本屋"岩尾書店"の老人・三蔵さんちで卓球やるのがストレス発散方法という気の弱い男なのですが、妻の麗子は元は店に来たお客で、大手不動産業若林グループの社長令嬢…つまり高嶺の花なのですが、努力の奇跡が起きて結婚できたのです。
生まれた子供が利治で、中学校受験が控えています。

彼らの神の郷との関わりは…
"啓発塾"という塾。ここが実は、神の郷が信者獲得と金集めのためにやってる塾でした。
神の郷は麗子が若林グループ令嬢だという事を嗅ぎ付け、子供の受験をダシに狙ってくるのですが、この、麗子の風貌があのカルトに狂って死んだ神郷宝仙の母・佐代子そっくりだったのが問題です。
メシアの神郷宝仙自らが『彼女のすべてを手に入れてみせる!』と決意。

言葉たくみに"悟りの会"なるセミナーに参加させられて…
山奥の合宿場でマントラを唱えさせられ続ける。
『私は誓う 永久の帰依を! 私は誓うメシアと一体になることを!』
と繰り返し、頭にはヘッドホンです。
ヘッドホン!既にどの教団が神の郷のモデルになっているかは分かっていましたが、ここまで露骨に!!
それから麗子は教育部の真山千夏の言葉によって心の暗部が開かれていく…ちう所で、続きはまた次回です。


私は全知全能の神の化身
この世に私の知らないことなど存在しないのだ



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  1. 2008/11/11(火) 23:26:01|
  2. 劇画
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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