大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(39) 北沢しげる 1 「夜歩く死体」

今夜は北沢しげる先生の「夜歩く死体」(立風書房刊)です。
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歴史モノ…特に戦記モノを得意とする北沢しげる先生の手による、珍しいホラー漫画です。

話を簡単に説明すると、死体を生き返らせるという神と大自然を冒涜する実験を続けたために王立医学会から追放された天才科学者が、ついには田舎の不気味な"悪魔の館"でその実験を成功させて…というもの。

そう、つまりはメアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」の話を基にしていて、博士(本当は小説では学生ですが)の名もフランケンシュタイン
それでも本当のコミカライズではなく、当然著作権は無視しているであろう似て非なる話になっています。

背徳の実験が繰り返されている悪魔の館では、フランケンシュタインの他に助手のピーター、小間使いのアンナが住んでいまして、そこに旅の爺さんが訪ねて来る事から始まります。

甦った死体、つまりは"フランケンシュタインの怪物"が後半まで全然出てこないのですが、ゴシック的な雰囲気と人間関係だけで飽きさせずにもっていく劇画なのが好感を持てます。
それほど個性的な絵柄ではないのですが、登場人物の顔に味があるし、英国人(英国が舞台)の描き方が上手い!

怪物は小説のように繊細ではなく、やはり知性は低いのですが…死んで脳味噌を使われた爺さんが最後に知性を持ってアンナを助けるためにフランケンシュタイン博士を襲い、自分も焼けて溶けて死ぬクライマックス。

もっと怪物にされた人間の悲哀を描いて欲しかった反面、冷血漢に思えたフランケンシュタインの行動は全て死んだ妻グレースを生き返らせるためであり、その一本気な愛ゆえに他の何者も犠牲にしてもいいと考えていたのだとラストで分かる哀しい作品なのでした…
やってる実験がバレて村人に詰め寄られても、『だまれ ど百姓ども!!お前らに何がわかるか!!』と強気に対応し、罪の意識に目覚めてアンナへの愛に気付いたピーターに対しては『冷血動物が愛にもえたとき…それは死ぬときなのだ!!』などと言って罠にはめるというのに、実は自分が誰よりも勝手な愛を妄信していたのです。

つまり悪人というわけではなく、ただ絶対の価値観を守るために罪の意識を無くしていただけ。
最後は自分で作った怪物に殺されて、特殊な液に漬けられて10年間も生きてる時のようにやわらかく保存されていたグレースと共に炎に包まれましたが、これも気付かなかった幸せかもしれませんね。


人間は……
猿から進化したものだとしたら完全すぎるし
神がお創りになられたものだとしたら
あまりにも不完全すぎる
そして皮肉なことには
人間は完全欲が強すぎる



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  1. 2009/01/31(土) 22:35:22|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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