大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(74) 山口貴由 7 「覚悟のススメ」 2

哀れなり 葉隠一族
守るに値しない おぞましい人間ごときを
疑いもせず 親子二代に渡り守り続けるのか!
何という愚かな思想!哀れな魂!
最終審判 この掌が救済つかまつる!



昨夜に続いて山口貴由先生の「覚悟のススメ」(秋田書店刊)です。
YAMAGUCHI-kakugo-no-susume7-8.jpg

主人公の葉隠覚悟は、最大の敵である兄の葉隠散がいる"ガラン城"に攻め入り、かげばらを斬って挑んできた部下の御典医・腑露舞(ぶろぶ)という炎の龍へ変身する敵をも倒し…
あ、この勝負の最中にいきなり覚悟がばおっと1ページ使った大コマで全裸になり、敵に『ヘンタイか覚悟ーー』と突っ込まれる名シーンがありました。
まぁ「覚悟のススメ」は兄や父も含めて、全裸描写の多い作品なのですが。

正調零式防衛術 葉隠覚悟+意志持つ超鋼 強化外骨格「零」
VS
天上天下零式防衛術 葉隠散+地獄に咲く黒い薔薇「霞」

この対決はすぐには描かれず、父の葉隠朧による最後の訓練が終了し、散が霞によって変わった…いや、目覚めた瞬間に地獄が開始する過去のいきさつが丹念に描かれます。
人を乗り越えて究極の肉体を手に入れたと称する散は男なのに美しい女性のような肉体を持ち、曾祖父葉隠四郎と同じ悪鬼の邪眼になる。
そして強化外骨格「雹」を着装した父と戦い、殺すのです…

あと散が解脱者ガランを一撃で殺してガラン城、その正体は移動菩薩G(ジャイアント)・ガラン…という要塞を手に入れた時の事も分かります。
この元の持ち主だったガランは、山口貴由先生の「悪鬼御用 ガラン」の主人公の後の姿…なわけはないですよね?

さてさて、ついに宿敵散の目前まで迫った覚悟は、
『あの扉の向こうでヤツがどんな陣を構え どんな武器を手にしていようと…俺は驚かない!』
と宣言して扉の前に立っていたのですが、実際に開いた扉の向こうにいた散を見て…結局は驚いてしまいました。
その覚悟の想像の範疇を超えた散の姿は…ウェディングドレスでした!

しかもあっさり眠らされた覚悟。
散の『一線を越える!』という宣言の後に兄弟で交わろうとする危ないシーンが続くのですが、この描写が大丈夫だったのだから週刊少年チャンピオンは凄い。
ただの性描写ではなく、近親相姦の上にホモですからね。「覚悟のススメ」は他にも変態描写の多い作品ですが。

YAMAGUCHI-kakugo-no-susume9-10.jpg
覚悟の強化外骨格「零」に宿る三千の英霊(怨霊)は、一度成仏させられて天国に行ってしまいましたが、光と安らぎに満ちた平安な世界から…
『私は軍人! 安らぎは受け取らぬ!』と、覚悟のいる世界へ戻るため『天国で割腹!』を遂げて戻ってきました!
永遠の安らぎに背を向けて…このシーンも凄かった。
その零に宿る英霊は今まで無数の頭蓋骨でしたが、この時は「シグルイ」岩本虎眼を若くしたようなハンサムな一人の男の姿になっていましたよ。

移動し始めたG・ガランは中国、黒龍江省松花江の河畔にある哈爾浜(ハルピン)へと向かい、ここの"血涙島"で覚悟と散、ついに血を分けた兄弟の対決です。
覚悟は『果てしなく牙を持たぬ人のために』戦い、散は『物言わぬ土と緑と動くもののために』戦う。
どちらが正義でどとちらが真実なのか、それは誰にも分かりません。

作者も覚悟よりも散の方を強くカッコ良く描いてるふしがありますので、散ファンも多いはずですね。
戦術鬼達と一緒に『はららさま~』と叫びながら読む読者達…うん、いるでしょう。
それに散の必殺技である螺旋波紋掌打は作中最高のインパクトを持つ技でしょうし。
掌から螺旋状の波動を相手の体内に叩き込むと、喰らった者の口から内臓が飛び出す…双手螺旋渦(トルネード)螺旋等、これの応用技も凄い。

散の強化外骨格「霞」に宿る犬養冥という怨霊の壮絶な話や、霞に一度殺されていた散の秘密等の話にも飛びながら、ついに激しい兄弟対決は…

YAMAGUCHI-kakugo-no-susume11.jpg
この兄弟対決は、単純にどちらが強いかの問題ではなくなり、最後は覚悟による『生命を断つ拳ではなく生命を吹き込む拳』によって決着。
もう一つの問題、犬養冥の激しい怨念…
『あれが人間の本性なのだ!全ての人間はどす汚れている!
見よ!青くない地球!誰が虫の住めぬ土にした?誰が魚の住めぬ水にした?
絶えゆくもの言えぬ動くものたち!殺したのは誰だ?誰だ?』

そんな激しい数十年に及ぶ思いも、ヒロイン・掘江罪子の活躍でようやく消えました!

最後は119歳で大戦当時の姿を保ち、強化外骨格「霆」(てい)をまとって登場した全ての元凶・葉隠四郎も、何と宿敵同士となっていた兄弟の連携プレイで倒しました!
いきなり生きて出てきた四郎は、散を悪役で終わらせたくなかった作者が代わりに用意した"最後の敵"といった役どころでしょうか。

当然ながら葉隠四郎のモデルは、あの731部隊(石井部隊)の創設者である石井四郎ですね。
あ、石井四郎といえば香港映画の「黒い太陽731」は皆さん観てますかね。
森村誠一のノンフィクション…と称したプロパガンダ本「悪魔の飽食」(日本人にとって正に悪魔の書物!)を元にしているので内容はヒドイものなのですが、かなーり気持ち悪い残虐な人体実験シーンを撮影していて、私はホラー映画大好きだった高校時代に観たにも関わらず、かなりダークな気分になりながら、しかし自分の中に何かを残したものです。
ビデオは当時購入して三部作全部を持っていますが、DVD化とかされないんだろうなぁ…

そして「覚悟のススメ」は感動の大団円へ。
本当にこのラストにしっかりページ数をかけた映画のような、いやそこらの映画では太刀打ちできようもないエンディングは素晴らしい。震えます。

名シーン満載で、台詞のほとんどが日本語の力の強さを感じる名台詞でもある、そしていろんな部分で異常、変なパワーに溢れた作品。
原形となった「平成武装正義団」をはるかに発展させてヒット作ともなった「覚悟のススメ」…これは読んでおきましょう。


たとえ太陽が凍りついても くじけない歌を覚えているなら
手をつなぎ生命のぬくもりを分けよう 体をよせあい星を数えよう
きびしい宿命も 不思議な出会いに 恵まれ守られ 乗り越えてゆく
僕たちは人間を信じているから くじけない歌を翼に変える
君がいる限り戦い続ける!



スポンサーサイト
  1. 2009/02/06(金) 23:42:41|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<旅行・紀行・街(52) 東京都三鷹市 3 国立天文台三鷹キャンパス…等 | ホーム | 劇画(73) 山口貴由 6 「覚悟のススメ」 1>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/694-33f3909b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する