大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(6) 好美のぼる 1 「妖怪屋敷」「亡霊先生」「呪いの肌着」

YOSHIMI-NOBORU.jpg

異色のホラー漫画家、好美のぼる先生を紹介しましょう。

1920年の兵庫県生まれで、苦学して日大に行ったという好美先生の、漫画家デビュー時のペンネームは原やすみでした。
漫画家になった当初は小学生向けの少女漫画を描いてたようですが、その後は貨本漫画家→B級ホラーの書き下ろし単行本漫画家と進んだパターンの方で、当然このコースを歩む漫画家の例にもれず『とにかく描け』とばかりに作品を量産していました。
1989年に漫画家を引退するまでに長いキャリアで量産し、膨大な著作を上梓しているわけですが、その全部が何かズレてる、一貫した変漫画。
ホラー漫画家引退後は得意のおり紙(可愛い!)で教室を開いたり、本も出してます。
そして、1996年に亡くなられました。

私が好美のぼる先生を注目し始めたのはちょっと遅く、中学生の時。
それで『遅く』と言えるのかは分かりませんが、ホラーを本当に怖がれる小学低学年の時に日野日出志先生、森由岐子先生、さがみゆき先生らには出会ってましたからね。

ほら、もう中学生になると、一応読者を怖がらせる目的で描かれたのであろうB級ホラーを、お笑いとして捉えてましたから。
今回紹介している好美先生との出会いのきっかけ、それは大槻ケンヂ氏(オーケン)の著作「のほほん雑記帳」の中の、お薦め本紹介ページでした。
私はこの当時オーケンを愛してましたので、とにかく関連音源や書籍は全部集めるように心がけてましたし、彼が薦める本・映画・音楽を全て追っていたわけです。

そこでオーケンが薦めてた好美のぼる作品は、「妖怪屋敷」(曙出版刊)。
これは、大学浪人生の主人公が家庭教師をするため訪ねた大屋敷を舞台に、ただただ怖がるだけの話です。ほんと~に怖がるだけ!

--------
「妖怪屋敷」・・・・

ある部屋の扉を開けると、そこには前に来た家庭教師のものと思われる死体があり、屋敷中の部屋全てを調査するのですが、どの扉を開けてもそこには妖怪がいるのです。

逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
また逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまたまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまたまたまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまたまたまたまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて…

これを何と全部、一妖怪ごとに見開きページを使い、50ページかけて25匹の妖怪を登場させるという、とんでもないアイデアを使った大爆笑の…おっと、大恐怖の名作なのです。
妖怪図鑑としても役立つ事は言うまでもありませんね。
前書きには『日本の妖怪たちを この一冊に全部封じ込めた』と、あります。

この「妖怪屋敷」はあまりにも有名なので、他の作品をもうニつほど紹介しましょう。
基本的に好美作品はどれも突っ込み所満載なのでどの作品でもいいのですが、「妖怪屋敷」と違って入手が容易な作品を選んで…

--------
まずはそうだ、「亡霊先生」にします。(画像左)

女子中学に赴任してきた美人教師・相沢ミツ子はすぐに皆の憧れの的となりますが、何故か主人公の少女・乙馬千代子だけがその教師に嫌われ、しだいにミツ子先生ファンのクラスメートからもいじめられ始めます。
千代子以外は放課後の特別講習を受けるのですが、こっそりあとを付けてみたら場所は墓場で、化け物に襲われる…。
その次々と襲ってくる化け物ですが、毛むくじゃらのモノは水木しげる漫画の妖怪のようですし、ウニョウニョと湧き出て体に這い上がってくる蛆虫のようなモノは日野日出志漫画を彷彿とさせます。(その両先生の10分の1の時間で描いたような下手な絵ですけど)

まぁそんな話なのですが、タネを明かしてしまうとミツ子先生は実は亡霊で(タイトルでばらしてますが)、彼女は自分が生き返るために生徒達の精気を吸っていたのです。
定番の怪談的展開ですね~。
その後、何故千代子だけが精気を吸われなかったのか分かるのですが、それはいつも持ってるお守りのおかげでした。
さらにお守りを持たせてくれてる母親から、"攻めのお守り"というのも授かり、妖怪退治漫画のごとき展開になっていくのです。

この最後の決戦に現れた千代子の顔は、小泉八雲「耳無し芳一の話」のごとく、全身にお経が書かれているのですが、まともに字が書いてあるのは最初の登場シーンだけで、次のコマから簡単な線だけでごまかしてます。
完全に好美先生、手抜きです!(そもそも作品自体が手抜きなのか…)

最後はお約束の不幸話で、ミツ子先生はこんな目にあったのだから亡霊になっても仕方ないんだとばかりに語られ、
『もう二度と先生の霊が出てくることはないでしょう』
のナレーションで終わり。

好美のぼる先生の作品は、吹き出し以外の書き文字が面白いですよ。
声も擬音も同じ扱いで、
アッ ミンナガ キエタッ キエタッ
カァサン ドウシテ
ギャッ ウワー ギョッ

といった具合に使われてます。
何故かカタカナになるのですね~。

あとは、意地悪な事を考える人に必ず浮かぶ眉間シワがいい感じですね。

--------
次は「呪いの肌着」。(画像右)

父と娘の幸せな家庭に嫁いできた継母・加代は、実は隠し子がいる上に前夫の残した莫大な借金があった。
そこで、どんな悩みもある人を呪えば解決できるという"万霊教"の力を借りるのです。
そして何故か義理の娘・三也子を呪うのですが、さらに何故か三也子の肌着(下着)に呪いをかけるのです。
その肌着を着ている呪われた三也子は、夜中に髪と目が真っ白になる変身して、通行人や動物を襲うようになって…

と、こんな感じの出だしですが、好美のぼる作品において、ストーリーだけを語る事にはほとんど意味が無いし、つまらないのでやめておきましょう。

ただ「呪いの肌着」は、いくらなんでもひどい、無理矢理すぎるハッピーエンドだけでも、お間抜けバカ漫画(いちいち言うのも何ですが、それはいい事ですよ!)の殿堂入りなのです。
それと何度か出てくる、ステレオタイプな田舎者描写が可笑しいです。

--------
絵が下手すぎなのは見てもらえば分かるのですが、漫画の魅力は絵の上手さではありません!
特にこういったB級ホラーでは、『そこがいい』って事にもなるのです。

どうも今回は好美のぼる先生の良さを伝えきれませんでしたが、今までマークしていなかった方も名前だけ覚えてから、今夜は寝て欲しいですね。
それではおやすみなさい。


スポンサーサイト
  1. 2006/12/02(土) 18:52:36|
  2. ホラー漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<週刊少年ジャンプ(12) 岸虎次郎 1 「COLORFUL」 | ホーム | 月刊漫画ガロ(23) 花くまゆうさく 1 「東京ゾンビ」>>

コメント

好美さん

昔この方の家の畳替えさせて頂きました。呪いのホクロの単行本にサインもらって今もあります。
  1. 2010/04/18(日) 19:01:02 |
  2. URL |
  3. たたみいぬ #-
  4. [ 編集]

とにかく、羨ましいです…

>たたみいぬさま

えーっ!!
生前の好美のぼる先生ご本人にお会いしたどころか、御宅の畳替えまで!!しかし畳替えとは…盲点でした。それは貴重すぎる体験ですね。
そのような方にこのブログまで辿り着いて頂いて、光栄です。
一緒に撮った写真とかは存在しないのでしょうか?
  1. 2010/04/20(火) 10:34:20 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

それが

当時子どもだったんで、知らないけどとりあえず漫画家の方のサインもらっとこうという、失礼な気持ちで写真とかまでは無いんですよ。それどころかサイン本も引越しの際に捨てようとして、その前にネットで見て意外に価値あったんだと気付いたくらいです。
  1. 2010/04/21(水) 14:12:09 |
  2. URL |
  3. たたみいぬ #-
  4. [ 編集]

なるほどー。

>たたみいぬさま

そうですか。
とりあえず、好美のぼる先生の貴重なサイン本が捨てられなくて良かったです…
漫画の内容は好き嫌いもあると思いますが、惜しくも亡くなってしまった大御所ですし、サインは多分ほとんど現存していないと思うので、大事にしてくださいね。
  1. 2010/05/04(火) 08:49:22 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/70-370f00c5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する