大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(17) 「海の王子」

今夜の藤子不二雄作品は、「海の王子」(中央公論社刊)。
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おなじみの"藤子不二雄ランド"版で全5巻ですが、この「海の王子」第1巻こそが、全301巻(プラス別冊が全30巻)に渡って出版されたFFランドの記念すべき1冊目となりました。
ちなみにFFランドは巻末に新連載漫画が毎回1話載っていたのですが、まずはここで「ウルトラB」の1話目が登場しています。

「海の王子」週刊少年サンデー(小学館刊)にて1959年から掲載された作品で、約2年の連載が終わった後も別冊少年サンデーや学年誌等で描き継がれた人気漫画でした。
藤子不二雄先生にとって初の週刊誌連載漫画でもありますね。
スタート当初は海を舞台にした作品を得意とする小説家の高垣葵を原案者として使っているため、藤子作品としては珍しい科学海洋冒険物語に仕上がっています。ちなみに中盤以降は高垣葵は関わっていないようです。

何度か装丁を変えて単行本化されてきた「海の王子」ですが、現在は残念ながら全てが絶版。
その理由としては、やはり分かれてしまった二人の藤子不二雄の権利関係の問題でしょう。
何故ならこの作品、正義(海の王子側)を藤本弘=藤子・F・不二雄先生が描き、悪側のキャラクターを安孫子素雄=藤子不二雄A先生が描いた、完全なる共作なだからなのです。
だから単行本の表紙だけ見るとF先生の単独作品かと思われそうですが、ページをめくればA先生の描く魅力的な悪者達であふれていますよ!
ギリギリこの時までは、名義だけの関係ではなく本当に一つの作品を二人で共作していたんですよねぇ…

FUZIKO-prince-of-sea3-4.jpg

さて、そんな「海の王子」はどんな話なのか。
主人公は深海にある"カイン王国"の王子である…その名も海の王子。そう、海の王子ってのが名前なんだからしょうがない。
その海の王子が妹のチマとで世界一ハイテクな愛機"はやぶさ号"に乗って、世界征服を企む様々な悪者達と戦うもの。
またこの妹のチマが『おにいさま』と呼んでくるし、従順で可愛いのですね。

昔の少年漫画らしく単純ではありますが、世界各地で起きる事件の内容や敵の組織の能力なんかは、本当にバラエティに富んでいます!
黒いおおかみ、海へび大帝、鉄の獅子、恐龍王、ピラニア総統、砂漠の鷹、プロトン皇帝、デビル、アーメス大佐…
海底のアトランチス帝国の海神ポセイドンや、さらには宇宙人の赤いサソリや、はやぶさ号を改良したロケットを作って月世界旅行までして昆虫の化物みたいな奴らとも戦いました。
もっと凄いのは、何と四次元の世界からの侵略者・カメレオン4Dでしょうか。

どいつもがハイテクな武器やロボットと野望を持って襲ってくるのを、海の王子とチマがはやぶさ号で撃退して世界を守るのですが、時には負けた後で雪辱を果たす事もありました。
こんな奴らと対面し、戦っていながら海の王子は『お化けなんかいるはずないよ』とか言ってるのですが…
超電圧を使って攻撃してくるナマズ首領と戦う時は、海の王子が自分の体に電圧を流して体を電気に慣らしていたりと、カワイ目の絵柄ながら意外にもスポ根漫画のような努力をしていました。

FUZIKO-prince-of-sea5.jpg
ところで海の王子とチマのヒーロー衣装、表紙を見て分かる通りカッコいいですね。手袋と長靴にピッタリしたユニフォームですが、
『それだけだと軽くなりすぎるので、主人公にはロングのコートを着せたんだネ。このコートのデザインを盗用したのが、その後流行したマキシ・コートだド!というのはホントのウソデース。』
というのは、「藤子不二雄まんがスクール」より作者の言葉です。

海の王子とチマの他で重要な登場人物としては、まずチエノ博士がいます。
チエノ科学研究所を主宰する彼は、日本が世界に誇る科学者にして海の王子達への一番の協力者。

他に毎回のように出るのは毎朝新聞の事件記者であるハナさん、こと獅子花夫
彼はとにかく食べるのが好きで、『ぼくはおなかがすくと 腹がへるんでねえ』とか言ってるユニークなキャラで、その好奇心のせいで事件に巻き込まれてばかりいました。

「砂漠の戦艦シーラカンス」の回だけしか出てきませんが、ギャング姿の二人組の名前はハムサラダンでした。
するとファンなら当然吉田忠先生の「藤子不二雄物語 ハムサラダくん」を思い出すわけですが…二人の藤子不二雄ハムとサラダというあだ名にした同作品に、なにか関係があるのでしょうか。

ユニークなロボットや武器なんかがひっきりなしに出てくる作品でもありますので、メカ好きにはたまらない作品でもあるでしょう「海の王子」ですが…
その最強の敵を迎えた最終話は『不死身のハイドラ』。
ここで人類を救うために海の王子は、地殻に穴を開けて火山を造るためにはやぶさ号で地球の中心へ突っ込んでいくのです。
そんな事をすれば当然死ぬわけですが、そうと分かっていながら行動を共にするチマ!
結果それで世界は救われるのですが、海の王子の命は人類にとってあまりにも大きな損失でした…


人間どもはたがいに争いあって 今に地球を破滅させてしまうだろう
そうならぬ先に わしがおろかな人間どもを消して 新しいロボットの世界を建設するぞ!
昔 神が人間の世界を創りたもうたように 今度はわしが神の代わりとなって
地球の支配を人間からロボットに交代させるのじゃ!!

わしはくるってなんかおらんぞ
くるってないわしを くるってるという
おまえたちこそくるってるのじゃ



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  1. 2009/03/03(火) 23:25:43|
  2. 藤子不二雄
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

お久しぶりです。

二回目のコメントになります。

重大ニュースがあります。
それは、なんと
「藤子・F・不二雄大全集」の刊行がこの度決定したとのこと!http://www.shogakukan.co.jp/fzenshu/

「藤子・F・不二雄先生の生み出された漫画作品完全網羅を目指す」
「あますところなく網羅した究極の大全集」とのことなので、今まで埋もれていた初期作品や単行本未収録作品がついに陽の目を見ることになりそうです。
第1期は2009年7月下旬から2010年6月にかけて刊行。その第1期収録作品を見ると、『ドラえもん』や『パーマン』『キテレツ大百科』『エスパー魔美』といった馴染み深いタイトルをはじめ、なんと、『オバケのQ太郎』や『海の王子』まであるのです。
長く封印状態にされてきた『オバケのQ太郎』をはじめ、『海の王子』のような藤子不二雄A先生との合作も刊行されるということです。
  1. 2009/03/07(土) 21:29:33 |
  2. URL |
  3. ゆうき #uUFy5gNg
  4. [ 編集]

それは凄い!!

>ゆうきさま

情報ありがとうございます!
ついに…藤子・F・不二雄大全集ですか。
権利の問題に諦めてた作品も、読める日が来るのですね。逆に既に所持しているレアな本は価値が暴落しちゃいそうですが…
お互い、今後の展開に期待しましょう!
  1. 2009/03/10(火) 03:34:06 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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