大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(18) 「藤子不二雄SF短編傑作劇場 SFシアター」

今夜は藤子不二雄先生の「藤子不二雄SF短編傑作劇場 SFシアター」(双葉社刊)です。
FUZIKO-sf-theater.jpg

ジャケは何故か松下日出男というイラストレーターの手によるもので、タイトルに『シアター』と付く事でも分かるように"映画"を意識しているのでしょう。
内容は全て1980年代に描かれた11編収録の短編集ですが、それぞれMOVIE.1、MOVIE.2という風にこれも藤子・F・不二雄監督の映画を11本上映していく…というコンセプトだったのでしょうね。
おっとそうです、A先生とF先生どちらの藤子不二雄作品かといえば、絵を観ると全てが藤子・F・不二雄作品である事が一目瞭然です。

藤子・F・不二雄先生の言う"SF"とは『SUKOSHI FUSHIGI』、つまり『すこしふしぎ』という意味である事はご存知でしょう。
この「藤子不二雄SF短編傑作劇場 SFシアター」収録の作品も、SFとは言っても『サイエンス・フィクション』の方の花形である壮大なスペース・オペラも無ければサイバー・パンクも無く、奇想ネタ一発勝負といった感じ。


まずは主人公の浪人生鷲塚与太三郎を通してアイドルに憧れるダメな少年達に夢を与えてくれる「有名人販売株式会社」で幕を開けます。
クローン人間を生む技術を開発した有名人販売会社が、人気アイドルの亜伊ドールのクローンを間違って与太三郎に配達し、その子に恋をした与太三郎は!
…ちょっと胸キュンな濡れ場もあり、クローン人間の問題にも触れた名作でしょう。

続いて地球を征服するために来て少年に憑依した、宇宙最高の智性体オーバーロードがマヌケな結末を迎える「侵略者」、土地不足の不動産問題とタイムとラベルを絡めた「マイホーム」、宇宙人に"需要探知機"を売りつけられた無能なセールスマンの話は「求む!求める人」で、恵まれすぎた現代人のもとへ来てしまった福の神の話は「福来たる」、核爆弾の恐怖に怯える人とそれを上から調査している宇宙人の話は「マイシェルター」

そして続く「倍速」は、藤子不二雄ファンと話す時にたまに語り草にもなる作品。
暗豚(クラブタ)などというあだ名を付けられているノロマな倉札速雄が、狂気の天才 町の発明家・魔土災炎に"倍速時計"を手渡された事によって素早い男に変身する話。
魔土災炎…そう、「パーマン」全悪連の依頼を受けて数々の発明をする、あのマッドサイエンティストが出ているのです!もうちょっと詳しい人は名作短編「換身」にも出ている事を指摘するでしょうね。
しかも!この「倍速」での倍速時計を手渡すシーンでは、手が何とドラえもんの手になっているのです!確かに「ドラえもん」のひみつ道具的ではありますが…これは藤子先生のうっかりミスだったのかな。
ちなみに速度を制するようになって成功人生を歩むクラブタのオチも最高で、憧れの桜田さんも手に入れて、
『おれは結婚した 誰のじゃまも入るスキのない早技だった
クラブタなどと呼ばせないぞ おれは今や世界一素早い男なのだ!!』

そう意気込んで行った新婚旅行、迎えた初夜に…
『あなた早いのね』
と言われて終わるのです!意味は分かりますよね!?

続いての「裏町裏通り名画館」は、公開されたばかりの「南極物語」と「スターウォーズ」が2本立てで公開されていると思ったら…それは「北極物語」と「ヌターウォーズ」というヒドイ映画だった、というだけのうらめしい話なのですが、『ウラ』という語をラップのように韻を踏む部分が見所でしょうか。

「昨日のオレは今日の敵」はタイムトラベルに関わるコメディで、ラストに収録の「征地球論」は宇宙人達が会議で地球を滅ぼすべきかどうか討論する話なのですが…
この本一冊通しても異色なのが残る「殺され屋」で、つまり全くSFが絡まないタネありのペテン師の話なのでした。

そんなわけで皆様も、くだらない流行の映画を観によりこちらの映画…
「藤子不二雄SF短編傑作劇場 SFシアター」をいかがでしょうか。


この少年の心は爆発寸前にある
他の者は誰一人気づかないが
追いつめられ絶望的になって
大きく軌道をふみ外そうとしているのだ



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  1. 2009/03/11(水) 23:12:37|
  2. 藤子不二雄
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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