大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(63) 福満しげゆき 5 「まだ旅立ってもいないのに」

今夜は久々に福満しげゆき作品で、初の単行本でもある短編集の「まだ旅立ってもいないのに」(青林工藝舎刊)です。
FUKUMITSU-madatabidattemo-inainoni.jpg

福満しげゆき先生といえばデビュー前からガロの読者投稿コーナーである"4コマガロ"(4ガロ)の常連投稿家だったわけですが、本名の福満茂之名義で本誌にも入選してデビューしたのが1997年2月号の「娘味」
FUKUMITSU-garo1997-2.jpg
この時は嬉しかったですよ~。4ガロで大ファンだった福満しげゆき(福満茂之)先生の記念すべきデビューに加え、あの超名作「Palepoli」の連載を終了させてしばらく休んでいた古屋兎丸先生がさらなる問題作「エミちゃん」の連載を初めてますし…
この漫画マニア達の間で異常に騒がれた「エミちゃん」はガロの問題で連載中断しましたが、後に二冊目の単行本「Garden」に収録されています。
そして超蛇足ながらですね…この号の4ガロに、この私の投稿漫画も載っています!そう、私も実は投稿漫画部門の4ガロに何度か載せてもらっていたのです。今度から、あの福満しげゆき先生や古屋兎丸先生とガロで共演した事を自慢のネタにしよう。
(あまりにもひどい漫画なので、見せてと言われたら困りますが…)

さて単行本「まだ旅立ってもいないのに」に話を戻しますが、何故かこれにはデビュー作「娘味」は収録されていません。
カニバリズムや親殺しを題材に使われている作品だからまずかったのでしょうか。

収録されているのは11編で、そのほとんどは確実に福満しげゆき先生の自伝的作品であると思える、ネガティブ思考あふれる傑作揃いです。
暗い青春の悩みを描く名手の福満作品、確かにどれもそうなのですが、その設定はシュールな夢のような話だったりSFだったりする事もありますが、共通しているのは気の弱い主人公のネガティブ思考と言えるのではなしでしょうか。
その声があまりにもリアルで、いやそれは不特定多数ではなくて思春期にガロなんか読んでたような奴(絶対モテない)だけが対象なのでしょうが、響くのです。

しかもよく分からない芸術作品なんか一つも無く、ちゃんと読者の目を意識したエンターテイメント作品としても面白い…と、私は思います。
読んだ事が無い方は勘違いするかもしれませんが、こんなテーマながらも本気で暗いわけではなくて、むしろ笑える…と、私は思います。
初期作品にして、これらの絶妙なセンスや目の付け所は素晴らしい。

表題作「まだ旅立ってもいないのに」のような幻想作品を始め、ハズレなしと言えるほどいい作品ばかりなのですが…
ラストに収録されている「知らないトコロの知らないロボット」。これはデビューしてすぐ後のガロに載っていた作品でしたが、たった8ページの短編で夢と現実を交互に、そしてその位置を間違えている少年の話の傑作で、感動したものでした。
これはずっと前に紹介した「10年たって彼らはまた何故ここにいるのか・・・」(幻堂出版刊)という、
FUKUMITSU-junen1.jpg
デビューの前に描いて初めてガロに持ち込み、ボツを喰らっていた作品と同じく少年とロボットの話で、空想や妄想という世界を描いた内容も共通しています。

そう、後にこの「10年たって彼らはまた何故ここにいるのか・・・」が限定500部とはいえ本になった時も驚いたものでした。
これはカバーを外すと出てくるバージョンの表紙↓
FUKUMITSU-junen2.jpg

本当に好きで、しかも同世代であるためデビュー前から見れている思い入れもある漫画家で、ずっと売れて欲しいと願っていた福満しげゆき先生は順風満帆に…
とまではいかずにマイナー誌やエロ本を中心にして描いていて、見かけると買うようにはしていましたが、モーニング(講談社刊)で「僕の小規模な失敗」の続編「僕の小規模な生活」の掲載開始した辺りからでしょうか。
徐々に徐々に名前を巷で見かける事が多くなってきて、今年はついに少年誌、しかもド級のメジャー誌である週刊少年マガジンにも進出して「東村山あたりの夕日」を掲載しましたからね。
この歴史的な日は私、一人で祝杯を上げた(大勢でワイワイは福満しげゆき先生に似合わないし)ものでした。

「あしたのジョー」「巨人の星」「空手バカ一代」「愛と誠」も「デビルマン」「ゲゲゲの鬼太郎」「天才バカボン」「釣りキチ三平」も、少年マガジンから生まれた…
「翔んだカップル」とかの'80ラブコメ路線こそ全く興味ないので知りませんが、私の世代だと「コータローまかりとおる!」「湘南純愛組!」「カメレオン」「疾風伝説 特攻の拓」「金田一少年の事件簿」「GTO」「サイコメトラーEIJI」あたり…
現在でも「はじめの一歩」とか「ゼロセン」なら読んでる方も多いでしょう。

そして今、福満しげゆき先生の「東村山あたりの夕日」ですよ。
エロ本で修行していたキャリアを生かして、今やセクシーな女性を描かせても第一人者となった福満先生!
今後の活躍にも大いに期待したいと思います。でも敗北感あふれるのが魅力の作風はあまり失わずに…


何で僕はいつもこうなんだ…
世間はいつだって華やかじゃないか…
それに比べて僕は何なんだ…
恋人もいない……
…と言うか友だちもいないじゃないか…
味方はどこにもいないのか…



スポンサーサイト
  1. 2009/03/19(木) 23:27:44|
  2. 月刊漫画ガロ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<月刊漫画ガロ(64) 福満しげゆき 6 「カワイコちゃんを2度見る」 | ホーム | 月刊漫画ガロ(62) 秋山亜由子 2 「虫けら様」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/732-c7347bda
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する