大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(21) 「新オバケのQ太郎」

藤子不二雄先生の「新オバケのQ太郎」(小学館刊)です。
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ご存知、藤子不二雄…つまり藤子不二雄A先生と藤子・F・不二雄先生による最後の合作作品がこれ、「オバケのQ太郎」の続編である「新オバケのQ太郎」です。

まず「オバケのQ太郎」ですが、1964年に週刊少年サンデーで初めて登場したコンビ初の大ヒット作で"藤子不二雄作品の原点"とまで呼ばれるほど重要な作品でもあり、3度のアニメ化もされている正に国民的な存在ですね。通称オバQ。
しかし、二人の藤子不二雄先生はおろか石森章太郎先生や赤塚不二夫先生やつのだじろう先生等の"スタジオ・ゼロ"メンバーまでもが作画協力しているために版権の問題が複雑になり、単行本が全部絶版になったまま20年以上が経ってしまいました。
いや絶版になっている理由としては、他にも諸説あるのですが、とにかく現在は新刊では入手できず、古本市場でも高値で取り引きされているのです。

実際に初期「オバケのQ太郎」は、今でいう藤子・F・不二雄先生がQ太郎藤子不二雄A先生が正太を描き、赤塚先生が背景、石森先生がよっちゃんゴジラを描いているのだから…豪華すぎます。だからこそ、これでは今後も復刻は難しいと予想されます…

そして今回紹介する「新オバケのQ太郎」は、「オバケのQ太郎」の連載終了から5年後に読者の要望に答えて小学館の学年誌上で1971年から1973年まで連載された作品で、単行本はてんとう虫コミックス版で全4巻。
今度はほぼ藤子・F・不二雄先生が描いているように見えるのですが、こちらの方が作品の完成度が高いのです。
いつの時代になっても面白く読める普遍性があって、微笑ましく、やさしい気持ちになって可愛いキャラ達を見守ってしまいます。

誰もが知ってるとは思いますが、一応簡単にキャラクターのおさらいをしますと…

主人公のオバケがQ太郎ことQちゃんで、竹藪で生まれて普通の家庭(大原家)に居候し、そこの息子である正太と親友になりました。
とにかく無芸大食で、犬が苦手。空を飛べるし消える事も出来ますが、化けるのが苦手。
あの姿ですが一枚布の服を着てますので、3本の毛と目と口、そして足の一部だけしか見えてないんですよね。

他のオバケはアメリカ・テキサス出身の出来るヤツ・ドロンパ、口が可愛い柔道の達人で乱暴な女オバケのU子、Q太郎の妹で美少女オバケのP子、その下の弟が「新オバケのQ太郎」から登場した『バケラッタ』のO次郎ですね。

そのオバケ達がそれぞれの家に居候しているわけですが、そこにはほとんど子供がいて、QちゃんとO次郎がいる大原家は弱虫だけど優しい正太とその兄の伸一、ドロンパだけ子供がいないカミナリ親父の神成雷蔵と住んでいて、U子は人間ではヒロイン役のよっちゃんこと小泉美子の家、P子はユカリちゃんちなのですが新オバQではユカリは出てきません。
この全て家の主人達はオバケの事も実の子供のように扱っていて、なかなか泣けます。

他にジャイアンの原型キャラとなった乱暴者がゴジラこと西郷強、その子分のキザオ、イナリ、タヌキ、発明好きでダブダブの服を着ているハカセは新オバQでは眉毛左目右目でハ、カ、セの字になっていて受けます。
河伊伊奈子という伸一が憧れるクラスメートは新オバQのみの登場でした。

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さて「新オバケのQ太郎」は続編という事で、Qちゃんが5年ぶりに大原家に帰ってくる話から始まりますが、この1話目がいきなりいいのです。
懐かしの皆に弟のO次郎も連れて会いに来たのに、何故か皆は冷たくあしらう…喜んでくれたのが神成さんだけだったのですが、それはドロンパが頻繁にQちゃんに化けて皆を騙していたからで、本物だと思われなかったのです。
ドロンパの居候先の神成さんだけはそれを受けて無いから喜んだと。
ショックを受けたQちゃんはあわやオバケの国に帰ってしまう所でしたが、とにかく無事に再会を涙流して喜び合えました。

そして例によって藤子不二雄先生お得意の、いやこの作品から得意になる生活ギャグ漫画が続いていくのです。
F先生が描いているので、特に絵の可愛らしさに胸キュン間違いなしですよ。

新オバQにおいては、新オバQのみ登場のO次郎が重要ですが、この子は本当に可愛い。
赤ん坊オバケなので『バケラッタ』、または『カエラッタ』『ハテラッタ』『ドコラッタ』『ナニラッタ』『バカラッタ』…等とにかく○○ラッタしか言えないのですが、実は『バケラッタ』一つ取ってもニュアンスの違いがあって、これで多分全ての日本語くらいは話せてるのです。ただ、Qちゃんしか理解できないのですが…
しかし既にばけるのはQちゃんよりはるかに上手で、タヌキが弟子入りするエピソードもありました。

絵もお話も完成度が高いから、描かれた時代が古いのも子供向けなのも関係なく、普通におっさんが読んでても吹き出してしまいます。何て面白いんだ…

Qちゃんのマヌケぶりったら完全に白痴の域に達していて、やる事なす事面白い。
U子には柔道の稽古相手にされたり、家事をやらされたりしてばかりなのに一途に愛し続け、
『あの美しさは、この世のオバケともおもえないもんねえ
ギョロッとしたあのひとみ。ぶあついくちびる。ふとめのほっぺた。はげた頭。』

…と褒めています。

大飯ぐらいが個性と言えるQちゃんですが、正太達が子供ばかりのくせに"やみじるパーティー"として…つまり闇鍋をする話では、靴下や草履なんかも喜んで全部食べてしまいました。
そこまで何でも食べると早く知っていたら、ママも家のご飯をいつも全部食われなくても良かったのに。

F先生の絵だから気付かないかもしれませんが、実はかなりブラックなネタもあったりしながら進むこのドタバタ劇の最終話は…
Qちゃんが一人前のオバケになるためにオバケ学校へ入ろうと決意したため、また正ちゃん達と別れてオバケの国へ帰る話でした。
この悲しい悲しいお別れの日も、最後までうっかり者のQちゃんが帰る日を一日勘違いしていて、でもそのおかげで正ちゃんとゆっくり話が出来る事になりました。
『今夜はねないでしゃべりあかそう
ずうっと今夜だといいね。いつまでも いつまでも。』

そうして二人が語り合うシルエットで終わり。


いや~、愛すべき名作です。
古本コレクターは普通、レアな本を自分が持っていたら再発されるのは絶対反対するわけですが、こればかりはそんな小さい事ではいけません。是非とも次の世代にも広く読み継いでもらいたいと思います。

ちなみに、この「新オバケのQ太郎」のさらに続編に当たる作品もあるのですが…
それは1976年に月刊少年ジャンプで掲載された読み切り作品「劇画・オバQ」
オバQ最後の作品となったこれが、別れから15年後のエピソードで…もはや完全に大人になった正ちゃん達に、相変わらずのQちゃんはすれ違い、来なきゃ良かったと今度は本当にすぐオバケの国へ帰って行く、シリアスで切ない作品になってしまいました。
まぁこれに関しては続編というよりあくまでパロディであり、ギャグ漫画を劇画にして遊んでみただけ…だと思いたいですね。
いや、大人になって社会で苦労している身としては「劇画・オバQ」の正ちゃん達の方がよほどリアルで気持ちも分かるし、劇画として面白いのですが…やはりあのオバQとは別物と考えたい。


オバQは他の漫画家の様々な作品や別ジャンルにも影響を与えていますね。
これはただ名前使われただけですが、あの「ジョジョの奇妙な冒険」の第三部で、空条承太郎がエンヤ婆の宿に泊まった時に警戒して名前を『空条Q太郎』と書いたエピソードが妙に嬉しかったのを思い出しました。


正ちゃんがそんなことするわけないじゃないか。
日本の人口が一億として
九千九百九十九万九千九百九十九人が正ちゃんをうたがったとしても、
ぼくだけは信じるよ。



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  1. 2009/03/23(月) 23:40:05|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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