大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(80) 上村一夫 4 「おきせの乳房」

続いての上村一夫作品は、「おきせの乳房」(ソフトマジック刊)です。
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昨夜の「鹿の園」に続く、ソフトマジックから単行本未発表作品の復刻で上梓された"怪奇エロス傑作選"の第2弾で、表題作は週間漫画TIMES(芳文社刊)にて1976年11月から掲載された作品になります。
さらに言うと、実はこれは「怨霊十三夜」のタイトルで同誌に連載されていたもので、つまりタイトルの通り十三編の独立した怪談作品の中の『その二夜』として描かれた作品でした。

怨霊十三夜…その二夜「おきせの乳房」です。
女ざかりのおきせが、鳥を描かせたら当代随一という絵師・菱川重信という夫と息子の真与太郎と共に、絵のために江戸を離れて山里で暮らしている時に、偶然出会った逞しい猟師の男と出会い、許されぬ関係に走っていく話。

おきせが真与太郎に乳を吸わせていた、その乳房を見た猟師はすっかり心を奪われて鈴鹿神社の"乳房祭り"の時におきせを手篭めにし、おきせの方も男の肉体が忘れられなくなってしまった…
『強い男に抱かれてこそ はじめて女にはやすらぎが訪れるものだったのね………』
そうして背徳の愛で性の喜びに目覚めたおきせ。

しかし菱川が飼いならしたキツツキがおきせを監視し、果ては襲い…
そして猟師は菱川を殺してしまうのですが、キツツキが傷付けたおきせの乳房からは、鳥の大群が皮膚を突き破って飛び出してくる。
そんな不条理モノの怪談として終わりましたが、人間の嫉妬や妄執を描いた傑作でありました。


さらにこの本には同じ「怨霊十三夜」の『その十一夜』にあたる短編「刺青心中」も収録されています。
こちらも人妻の身である志野が、蛇の刺青を持つ男と出会って結ばれてしまったために知った愛と、待ち受ける終末を描いた悲しい作品でした。


そして…何故か幻のデビュー作品である「カワイコ小百合ちゃんの堕落」と、その続編「カワイコ小百合ちゃんの昇天」も収録されています!
これは1967年に月刊タウン(アサヒ芸能刊)の創刊号にて発表した作品で、イラストレーター志望だった上村一夫先生が、その本名ではなくカワイコ・プロという名義で描いたアメコミ風の画風を用いてオールカラーで掲載したもの。
当時の政治・風俗を皮肉った時事漫画で、もちろん上村一夫作品の持つ特徴はまるでないし、あまりにもつまらないのですが…それも歴史として、貴重な作品ではありました。


こいつを彫った彫り師が言ってやした…
この蛇は人間の業を嘆き悲しんでいる蛇なんだと……
それがわかるあんたも きっと淋しい女(ひと)なんでしょうねぇ……



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  1. 2009/03/27(金) 23:29:18|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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