大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(81) 上村一夫 5 「蛇の辻」

今夜の上村一夫作品は、「蛇の辻」(ソフトマジック刊)。
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例のソフトマジックから出た、単行本未発表作品の復刻シリーズ"怪奇エロス傑作選"の第3弾にして、最後を飾る作品になります。

この本には2作品が収録されていて、昨夜の「おきせの乳房」と同じく週間漫画TIMES(芳文社刊)にて掲載された「怨霊十三夜」のうち、『その四夜』として描かれた「蛇の辻」、そして『その九夜』として描かれた「蝦蟇」です。

まずは「蛇の辻」
先日の「鹿の園」では架空の映画企画として登場した、上田秋成「蛇性の淫」をモチーフに構成されています。

舞台は府外渋谷村。辺りが湿地帯となっていて蛇の群れが辻を横切るために"蛇の辻"と呼ばれている、そんな辻の近くに住んでる兄妹が主人公。
さる武家のお嬢さまとの婚姻の話が出た頃から、寝込むようになってしまった病弱な兄に対していけない想いを寄せる妹の小雪
美人なのですが、兄の留守中に兄を慕って自慰行為にふけるような、いけない娘です。

しかし兄の性癖には、とある秘密がありました。
要はホモであるという事なのですが、病弱なのも結婚が嫌でしていたポーズだったのですね。
その兄が隣りに越してきた米次郎という…葛飾北斎の弟子である蛇好きの絵師と恋仲になってしまいました。
北斎の弟子といえば、上村一夫先生の代表作にして日本の劇画が生んだ大名作でもある「狂人関係」捨八を思い出だしますが、米次郎も捨八と多少キャラがかぶる所があって嬉しいですね。
北斎自身の風貌はほぼ同じだし、娘のお栄も一応登場します。

で、兄と米次郎の男同士の絡みを目撃してしまった小雪は、裸になって米次郎にせまったあげくに拒否されて刺し殺してしまいました!
死体を隠してしまうと、空き家になった隣りに北斎の娘・お栄を名乗る女が引っ越してきて、今度は小雪がこの女によって女と女の肉体の快楽を教え込まれる。
上村一夫先生はタブーな愛の形を描くのが得意で、多用もする方ではありますが、ここでは近親相姦→ホモ→レズときてしまいました。それに嫉妬や殺人も絡めているのだから、盛りだくさんです。

この後で葛飾北斎その人と本物のお栄が引っ越してきて、あのレズを仕込んだお栄は偽者だったと分かるのですが、この直後に小雪は蛇の大群によって無残な最期を遂げます。
あの偽のお栄は蛇の化身で、米次郎の敵を討った、という話だったのでしょう。
兄の方も米次郎を失ってからすっかり狂ってしまい、女装して客引きなんかするようになってしまいました…
怪奇エロス傑作選なだけあって、怪奇の要素も見事に表現された怪談の傑作でした。


次の「蝦蟇」は今度は母親に異常な愛情を持つ変態息子・進之介が蝦蟇に似た主人を殺す話でした。
しかしその行為は裏目に出て…最後の死体を伴った登場シーンまで、短編ながらかなり良く出来たミステリー作品になっていて、個人的に大好きな作品でもあります。


あいつは…米次郎はきさまらとは比べものにならぬほど やさしさも思いやりも持っている……!
それに比べておまえら女の醜さときたらなんだ!
その醜いかたちをした肉体は ただ男を喰らうためだけにしか用立たずだッ!
豚め!肉体しか持てぬ豚と同じだっ!



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  1. 2009/03/28(土) 23:24:06|
  2. 劇画
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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