大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(65) 水木しげる 9 「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪VS宇宙人」

今夜は水木しげる先生の作品で、「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪VS宇宙人」(講談社刊)です。
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数多くの名作を生み出してきた水木しげる先生の作品群の中でも、一般的には間違いなく知名度が一番高い「ゲゲゲの鬼太郎」

私も以前「墓場の鬼太郎」収録の「鬼太郎の誕生」を紹介した事がありましたが、現在知られる形の「ゲゲゲの鬼太郎」の歴史を丁寧に語ると長くなりすぎるので省略します。
いや極簡単にだけ書けば、元ネタとなった民話や紙芝居があって、それを改良してオリジナル紙芝居にしたものの、人気が出なくて設定を変えて、貸本漫画家に転身してから現在の鬼太郎の基礎が出来て、ねずみ男も生まれて…作者の長い貧乏生活を経て週刊少年マガジンに進出するも人気は出ず、しかし先に「悪魔くん」が成功した事により水木しげる先生の知名度が増し、しかも初期のグロさを無くした少年向けの内容になって生まれ変わった鬼太郎の話はついにメジャー化、タイトルを「墓場の鬼太郎」から「ゲゲゲの鬼太郎」に変えてテレビアニメ化まで果たし、妖怪ブームを巻き起こして鬼太郎は初期の作風ではありえなかった国民的ヒーローの位置にまで出世したのでした。

その後も各誌で描き続けられた鬼太郎は、近年に至るまで何度もアニメ化されてどの世代でも知っているキャラにして日本の漫画史上重要な位置付けされているので、単行本も各社から膨大な数が出ています。
現在でも止まる事無く続々出版される、誰々が選ぶとかのベスト版みたいなのから、時代別やジャンル別(猫特集、魔界特集、ねずみ男特集…)とかの編集本の多さも鬼太郎人気の高さを物語っていますね。
私も大好きな鬼太郎はいろんな時代の各種単行本を集めていますが、今回はそんな編集本の一冊から、1997年に初版発行された「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪VS宇宙人」

まずは鬼太郎ファミリーの主要キャラクターからすると…って、そんな事をしてたらこの本の話をするまで随分かかってしまいますね。
加えて鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男、一反木綿ぬりかべ猫娘砂かけ婆子泣き爺…これらのキャラは漫画に興味のない、そこら辺のおばちゃんとかでも知ってるでしょうから、もういいでしょう。

「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪VS宇宙人」は、そのタイトルの通り宇宙人と闘う話を集めた単行本。
水木しげる作品で妖怪モノは当たり前ですが、宇宙人モノは意外と少ないので興味を持つ方も多いのではないでしょうか。

まず巻頭口絵として「世界の大妖怪」がありまして、これは妖怪図鑑として楽しめるのですが、それより私の世代の子供達もよく読んでた"小学館入門百科シリーズ"
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おそらくアレのどれかと同内容になっているので、懐かしさが先立ちます。

そして、漫画作品が5編。

まずは「UFOの秘密」で、突然どこからともなく姿を現したUFOが土葬の墓だけを狙って死者を甦らせ、そのリビングデッド達が生きてる人間達の世界を占領しようとする話です。
『亡者の行進』は続き、次々と人間を滅ぼしていき…そこで驚いた日本の首相は幽霊族の鬼太郎やその仲間達と会談し、『正義のためだ 人類のためだ』と言葉たくみに担ぎ上げて亡者と戦わせます。
鬼太郎も一度はUFO人のダルマ博士が呼んだUFOの光線によってミイラにされますが、目玉おやじが妖怪SOSを発して悪魔のベールゼブブを中近東から招き、妖怪と悪魔が協力して激しい攻防の末に人類は守られるのです。
しかしベールゼブブ…元々は神様だったハエの王様ですが、姿がハエをそのまま人間サイズくらいに大きくしだけの姿をしてまして、恐ろしいよるも滑稽な感じがしてしまいます。

この作品の面白さはこんな単純なストーリーなんかではなく、鬼太郎達が行く『妙な世界』の描写と奇想ですね。
UFO人は地下人であると分かるのですが、『北極の穴』から入る地球内部の極楽のような世界に住んでます。
それが何で地上に混乱を巻き起こしたのか、その理由も明確にしているので是非読んでみてください。

残りの4編は全て"新ゲゲゲの鬼太郎"シリーズからで、まずは「UFO宇宙突撃隊」
小惑星女王星と妖怪達が闘う変なSF作品ですが、一反木綿に乗って女王星に乗り込む途中で寄ったタケノコのような星の住人の姿とか、あと女王星人はあのステレオタイプなタコ型火星人みたいだし…笑ってしまう名作です。

次の「火星人現る」は地球に運ばれた"火星の石"からミイラ化していた一つ目の火星人が復活し、ねずみ男や警官らを次々と吸い込んでいきますが、鬼太郎を吸い込んだらその強力なエネルギーによって逆に消化されてしまう話。
ラストで鬼太郎は『今度のは危なかったヨ』と語っています。

「ムーン大王」は、あの"ムー大陸"の王であるムーン大王が子供達に掘り起こされて目覚めてしまい、地球を支配しようと企みます。
月のような頭を持った可笑しく可愛い風貌をしていますが、その本体は頭の中に入っていた液体の方で、何でも食べて巨大化していく…
これは貸本時代の作品「地獄の水」で使われたネタであり、嬉しいリメイクである事が分かりますね。
「地獄の水」では水人間を石油五十トンまいて焼き殺しましたが、「ムーン大王」ではコンクリートで固めて窒息死させるオチになってました。

ラストは「終末株式会社」で、立派なヒゲを蓄えたねずみ男が地球の終末ブームを巻き起こし、自分だけは助かりたい大金持ち達から大金を巻き上げる話。
終末株式会社は金持ち達に終末をお届けする会社だった…水木しげる先生の風刺漫画家の部分が強く出た作品でした。

さらに巻末には特製ポストカードが2枚付録になっていて定価は普通に500円!
新作無しながら宇宙人マニアには嬉しい作品だけを読めるし、なかなか良心的な企画本でした。


UFO人は一人一人が総理大臣みたいなものです
あらゆる情報は脳電気でながされ……すなわち
知能が極限まで発達しますと みな同じになってしまうのです
地球人のように発達未発達がさまざまだと
支配されたり支配したり いろいろなことがおきますが
それはわれわれの世界ではありません



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  1. 2009/04/06(月) 23:34:55|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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