大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(9) 「手塚治虫 THE BEST 1 1985への出発」

今夜は手塚治虫先生のTHE BESTシリーズから、1巻目の「1985への出発」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best1-1985.jpg

そう、THE BESTシリーズ。
1998年から2002までかけて刊行された物で、厳選された珠玉の中短編を収録した全20巻の作品集です。
私としては嬉しい試みだったので、手塚治虫初心者向けの内容だし既に持ってる本で読める内容でしたが、少しは寄付というか、大好きな手塚作品の売り上げに貢献する意味も含めて集めたのです。
集英社から出てるので、どうせすぐに絶版になってしまうでしょうし…

帯にでっかく『漫画はここから始まった。』とあるように、日本のストーリー漫画の原点を造り上げた巨匠の作品に寄せて、その手法を用いて現代の週刊少年ジャンプで活躍している人気漫画家達がコメントも寄せています。

1巻には「ONE PIECE」尾田栄一郎先生!
『作品から僕達が受けたM(メッセージ)は、人間が人間で生きていること。ゆえに、手塚治虫氏は神と呼ばれたのではないでしょうか。』
ですって。さすが、分かってますね~。これからは少しだけ、「ONE PIECE」も応援しようかな。

さて記念すべき第1巻の「1985への出発」ですが、これをシリーズの最初に選ぶとは、なかなか選択が渋い!
6編の短編が収録されていますが、まずは表題作「1985への出発」。1985年に月刊少年ジャンプで掲載された作品で、終戦直後の戦災孤児、カズオキミコ、そしてまだ幼いテツの3人が、40年後の未来である1985年にタイムスリップする話です。

そして3人は大人になった自分達と出会い、何とカズオとキミコは結婚してオモチャ会社で大成功しているのですが(テツは専務です)、扱っているオモチャが戦争ゲームで使う兵器なのでした…
それが戦災で傷付いた子供の純粋さゆえにが許せず、また戦後に戻るとそんな未来を歩まないため、3人は分かれて別々の道へ進むのです。

続く作品は、「ZEPHYRUS(ゼフィルス)」「モンモン山が泣いてるよ」「ゴッドファーザーの息子」「紙の砦」「すきっ腹のブルース」・・・
知ってる人はタイトル聞けば分かりますね。この1冊、全部反戦漫画なのです。

名作揃いのこの中でも、私は特に「紙の砦」が好きです。
戦時下に殴られながら漫画を描いていた手塚治虫先生の実体験を基にした作品で、大寒鉄郎なる、明らかに手塚先生なキャラが岡本京子というオペラ歌手を目指す美しい少女と友達になるのですが…
京子は空襲で傷を負って酷い顔になってしまい、ついに終戦を迎えた時に興奮した鉄郎が、
『マンガをかくぞっ ぼくは…これからだれにも えんりょせずにマンガをかいてやるぞっ
京子ちゃんっ きみもオペラ歌手に…』

とまで言って指を指した時に、その顔の傷を思い出してはっと黙る。京子も無言で涙を流す…これは私も一緒に泣いてしまいます。

そんなわけで"手塚治虫 THE BEST"シリーズの1巻は、世の中にある物で戦争が一番みじめだと思う手塚治虫先生の、少年達に向けたメッセージが詰まった反戦漫画集でした。
それも、説教くさい内容ではなくて、今読んでもどれもエンターテイメント作品として確実に面白い。

サルまんこと、「サルでも描けるまんが教室」竹熊健太郎先生が主張していたように、
『戦後のストーリーまんがは、 その手法において全て手塚治虫氏のパクリだ』
といった意見もあるほどですが、手法を模倣してさらに発展もさせているでしょうが、やはり質・量ともに結局誰もこの神様の仕事には追いついてないような気がします。少なくとも、少年漫画においては。


もーたくさんだ おいカズオ キミコ テツ……未来の三人よ よくききな
親兄弟を殺され 浮浪児になってさ 二度と戦争はごめんだって ちかったんだぜ…
それを四十年もたったら ケロッとわすれやがって!!

おれたちは二度とこんなものをつくらせねえ
おれたちは四十年まえへもどる そしてでなおす!



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  1. 2009/04/12(日) 23:40:23|
  2. 手塚治虫
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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