大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(43) 水野英子 4 「薔薇幻想」「薔薇夜話」

今夜は水野英子作品で、「薔薇幻想」「薔薇夜話」(共に廣済堂刊)です。
MIZUNO-rose.jpg

何故別のタイトルの作品を2つ並べているかというと…実はこの2作、全く同じ内容なのです。
最初に「薔薇幻想」が出版された数年後に「薔薇夜話」と、タイトルと表紙を変えて再発した、まぁ廣済堂では珍しくないインチキ商売だったのですが、片方の名で進めて紛らわしくなるといけないので両方とも一緒に扱いました。

独立した4編を収録していて、前者は"恐怖ロマン"と書いてあり、後者は"恐怖シリーズ"となっているのですが、どれも正直恐怖的な要素はほとんどなく、言うなれば幻想作品集です。

そもそも私は少女向けの漫画は内容が薄っぺらい物が多すぎて、まぁ絵も苦手であまり読む気がしないのですが、それでも女性が描いているだけあって男性には描けない美しい雰囲気を持っている作品なんかもありますよね。
この水野英子先生は、そんな女性特有の美しさや可愛さがありながら、内容も凄い。

あのトキワ荘の住人になって、赤塚不二夫先生や石森章太郎先生と共に行動し、いやその前も中学卒業後に女工として労働していた経験も手伝ってか、劇画の影響も受けて少女漫画にしては骨太すぎる印象すらあります。

しかも今回の「薔薇幻想」「薔薇夜話」は、1980年代に出版された本なのですが、収録作品は特にレベルの高い1960年代に描かれた作品を中心に集めています。

まず燃える火のバラにまつわる陰謀の物語で、「ローヌジュレエの庭」
生でも死でもない世界の花園でバラを作ってきた男・ジャミールが現われると…!
もちろんこの作品が本のタイトルの元になったのでしょう。ラストのまとめも好きな作品です。

次に「10月のセラフィーヌ」
二人で山の中に住んで村人に魔女と思われていた祖母が死んで残された可愛い孫のセラフィーヌと、墓掘りの若者ロージーとの恋の物語。
…といっても村人によるリンチや黒死病(ペスト)も絡んで、重い内容になっています。
セラフィーヌが虐げられて本当に魔女になる様や、本当は何にも出来ない司祭の十字架を魔力で壊し、『おまえたちが そんなものにたよっているかぎり こわくはない』と言い放つのがカッコいいです。
ちなみにその後、司祭はロージーに鍬で頭を叩き割られます。
それから輪廻転生の話になってタイトルの意味も分かる、名作ですね。

次の「真珠」は海に"炎の真珠"を取りに行く話で、たった8ページの短編ながら見事すぎます。

最後の「にれ屋敷」だけ絵が少し低学年向けの初期(1964年)作品ですが、内容はアレクサンドル・デュマ・ペール「モンテ・クリスト伯」に似た復讐劇。
陰謀により投獄されたはずのアランが約束通りユリアを迎えに来て、復讐も果たし…
ラストがファンタジーになっていて、これもいい作品でした。


おまえが親切にしたって あいつらにはわからないんだ
よけいなおせっかいはやめておけ
つごうの悪いことは悪魔のせいにすればやりやすい
おまえは いいうっぷんばらしなのさ
人にできないことのできるものは やっかまれる
おまえはやさしい いい子だが それさえねたみの種なんだ
おぼえておけ 世の中そんなやつのほうが多い



スポンサーサイト
  1. 2009/04/20(月) 23:31:49|
  2. トキワ荘
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<劇画(89) 上村一夫 13 「子年のお岩」 | ホーム | 旅行・紀行・街(62) 東京都杉並区西荻窪 2 善福寺公園>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/760-ff8f71cc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する