大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(89) 上村一夫 13 「子年のお岩」

今夜は上村一夫先生の「子年のお岩」(愛育社刊)です。
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これは"上村一夫珠玉作品集"として、埋もれていた中短編作品を2003年から2004年の間に全4巻で初単行本化したもの。
私のようなファンは当然のように全部購入するわけですが、すると全4冊購入者プレゼントとして非売品の美しいポストカードを頂きました。
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この第1巻が「子年のお岩」で、表題作は以前にも触れた週間漫画TIMES(芳文社刊)掲載の"怨霊十三夜"シリーズ、『その一夜』でもあります。
この"怨霊十三夜"は独立した中短編だとはいえ、何とか一夜から十三夜までまとめて続けた形で復刻できないものでしょうか…
傑作が近年まで単行本化されていなかった事だって、出版界の大きな過失なわけですし。

さて「子年のお岩」は、簡単にいえば上村一夫版の「四谷怪談」です。
数ある日本の怪談の中でも一番有名な「四谷怪談」。元禄時代の事件を基にして創作された、お岩伊右衛門に惨殺されて幽霊となって復讐を果たす、あの話です。

定番怪談だけに、何度も映画、舞台、小説…様々なジャンルで様々な解釈をされている作品でもあります。
しかし漫画(劇画)版の決定版は、この「子年のお岩」で決まりでしょう。
上村一夫先生1976年の作品ですので、まず絵が素晴らしくて…得意の江戸モノでもありますし、他の漫画家がこれに匹敵する物を描けるとは思えません。

--------------
お岩の父親を殺してしまった伊右衛門が、それを逆手に取って敵討ちを手伝うとか言葉たくみに言い寄り、手篭めにします。
するとその場に安置してあった父の死体が動いている!
かけてあった毛布を取ってみると、ネズミが父の内臓を喰い荒らしていたのですが…ネズミの大群はこの後も何度か出てきて重要な役割を果たします。

伊右衛門も最初のやり口は卑怯でしたが、それも本当にお岩を愛するが故。
二人で貧しくも愛しあって暮らし始めるのですが、隣に引っ越してきた伊藤喜兵衛とその娘、が引っ越してきて自体は急変します。

伊藤は親切な顔して、病に倒れたお岩に薬だと差し出した物は…九頭蘭の毒薬。
これによりお岩は有名な醜い姿になり、そうした伊藤の陰謀とは、伊右衛門を顔の一部に醜い痣があった綾の婿にする事でした。
それも綾が伊右衛門に恋してしまったから…

さらに金と媚薬で伊右衛門を綾とのセックス漬けにして家に返さないでいる間に、お岩は父親殺しの目撃者でもある按摩のふりした宅悦全てをばらされ、また犯されそうになった上に抵抗の末、死んでしまうのです。
その時の姿は顔の右側の皮がずる剥けになり、髪も抜けて醜い姿。それで騙されていた事を知ったばかりで死ぬのでは、可哀想すぎる…。

三途の川まで行ってしまったお岩は、そこで伊右衛門や伊藤家の二人への恨みを確信し、怨霊となって恨みをはらす。
そしてその後は、死後の世界でまた分かり合い、愛し合って幸せに暮らすお岩と伊右衛門…
死んでからとはいえ、やっと邪魔も入らない幸せな世界に行けた二人の純愛物語でした。

続いて暗く悲しい心中を描いた短編「神泉隠亡谷心中」を収録し、上村一夫先生の実子である上村汀氏による、父の事を語った貴重なエッセイも収録して幕を閉じます。


父を殺したのもあなたの仕業だったのね……
父がひとりで渡った川を娘のあたしは渡りません
ひとりで渡ればあまりにみじめ……
あなたとともに渡りたい!
恨みますぞえ 伊右衛門さま!
恨みを背負ったこのお岩……
あなたを迎えに参ります…



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  1. 2009/04/22(水) 23:57:54|
  2. 劇画
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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