大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(90) 上村一夫 14 「山手線外廻り」

今夜の上村一夫作品も、"上村一夫珠玉作品集"で続けて全4巻の最後を飾った「山手線外廻り」(愛育社刊)です。
KAMIMURA-yamanotesen-sotomawari.jpg
今回は全部で6編が収録されていて全てが初単行本化作品なのですが、またも名作揃い。

うちフィクションながら上村一夫先生自身がモデルと思われる主人公が出る作品が2作あって、表題作の「山手線外廻り」は美術学校に通っている時代、「ボクが女を描くとき」はもう漫画家になってから起こった事件を描いています。
自分をところんだらしなく、カッコ悪く描いている所が笑えます。そして、エロくていい!

「心中ポルノ考」はヒロインのスウェーデン女性・モニカが美しく、車椅子の男が悲しい、心中美を描いた作品。
『あたしの国の男達はこういう涙を流さないだろう
あたしはこの国へ来てはじめて 東洋の神秘を垣間見た』


「その後のオール・ジャパン・デビル・バンド」は、先日紹介した「悪魔のようなあいつ」と同じく阿久悠原作による作品で、かつて『世のすべての良識と退屈に挑戦した60年代のヒーローだった』というオール・ジャパン・デビル・バンドとそれにかかわった二人の女の、現在を描いた作品。
ドキッとするシーンもはさみながら、人の人生の何たるかを描いた…というほどでもないかもしれませんが、面白い。
ちなみにここで登場するオール・ジャパン・デビル・バンド、本当に阿久悠作詞で存在したのですね。もちろん時代もスタイルも全然違う同名の別バンドですが、漫画で復活させるくらい阿久悠のお気に入りだったのでしょう。

「屋根の上のワイン」は金持ちの夫妻とその家の前のアパートに住む女子大生・珠子との男女関係を、ワインとか絡めながらまとめています。
収録作品中一番新しい1984年と、晩年の作品でもあるだけに上村一夫作品にしてはディープさは無いのですが、人の心の表現とか上手くて感服します。

ラストが「ぼくの晩年 夜間飛行」
これは昨年出た「語り継ぐ特攻」(宙出版刊)というオムニバス本にも収録されていましたが、
KAMIMURA-tokko.jpg
このタイトルとジャケが思わすような戦争漫画でも鎮魂漫画でもなく、あの戦争を生き長らえて"零式建設株式会社"を興して成功した社長の、少しコミカルですらある晩年を描いた物語。
レズもホモも出るし、しかも最後は未確認飛行物体…という凄い作品でした。


たしかだ!その正常なわしが狂っとる東京都民を眠りからさましてやるのだ!
くっきりと染めぬかれた日の丸とゼロ戦の機体 そしてその爆音とでな!
泰平の眠りからさましてやるのだ!
焼夷弾の降る街の下にも平和はあった!
家族が手をとって逃げるだけの平和はあった!
病死よりも殉死を選ぶ!



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  1. 2009/04/23(木) 23:00:29|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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