大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(95) 小池一夫 8 松森正 1 「片恋さぶろう」 1

今夜も思い入れたっぷりの小池一夫原作作品で、「片恋さぶろう」(スタジオシップ刊)。
KOIKE-MURAMORI-katakoi-saburo1-2.jpg

作画担当は、中学生の時に読んだからという理由も大きいでしょうが、個人的には偉大なる小池一夫(雄)作品全ての中でも一番好きな「拳神 海渡勇次郎伝」と同じ…
松森正先生。

松森正先生は1947年生まれの熊本県出身で、劇画の第一人者である佐藤まさあき先生のアシスタントを経て、1984年に「黒い疾走の終わり」でデビューしています。
その魅力的な"絵"のみに集中して描くためか、ほとんど原作付きの作品ばかりですが…組んだ原作者としては小池一夫先生の他にも、代表作になっている「湯けむりスナイパー」ひじかた憂峰名義を使った狩撫麻礼先生だし、関川夏央先生や滝沢解先生といった凄い面々が揃っています。

今回紹介する「片恋さぶろう」週刊現代(講談社刊)にて1992年から連載された作品で、単行本は全7巻です。

ストーリーの大筋は単純で、舞台は江戸時代最初期・・・
主人公は徳川家康直参で"大捨流"の使い手・片乞三郎信綱で、家康が死ぬ間際の遺言を聞きます。
それは徳川家の安泰を図るために孫娘の和子姫を入内(皇室に嫁がせる事)させて天皇と親戚になる事で、すると入内を反対する公卿どもに狙われる事になる和子を守ってくれ、というもの。

その言葉通りに和子(ひいさま)の命を狙って次々と刺客を送られますが、和子はこの時まだ9歳。
作中一貫して和子の守護神のように守り続ける、当代無双の片乞三郎はそろそろ27歳…
この二人の決して実る事は無い恋愛も作品後半には描かれ、つまり「無法松の一生」タイプの許されぬ愛も描いていると分かるのです。
それでタイトルは、無私の献身を行う主人公の名字である片乞(かたこい)を片恋と変えたのですね。
それに恐ろしい作戦を立てる敵を様々な方法で迎え撃つ、バトル物としても楽しめる作品です。

刺客を送られても、江戸から後に和子が入内する京を攻めるわけにはいかず、そこで片乞三郎曰く、
『攻めるも戦なら 守るも戦かと心得まするッ なればここは守りぬくべきなと!!
攻めても攻めても難攻不落と相手に思わせれば この戦は勝ちにございまするッ』


黒蛙という強敵から和子を守った時に毒でやられ、生命は助かりながらも死んだ事にする作戦で呪詛を使う千早矢なる黒巫女と黒幕をも倒し…
和子の入内を邪魔する徒輩を一網打尽にするのですが、和子自身が祖父の家康亡き後は片乞三郎が全てのようになってしまったため、殿に頼まれてそのまま他人眼につかぬ二荒山の中へひっそりと身を隠しました!

命がけで和子を守り続けたのに山中で世捨て人生活をさせられる仕打ちを…4年!
それどころか和子の危機を知るや、
『南無不動明王ッ 吾を阿修羅と化させ姫を守らせ給えッ』
と、自ら顔を焼いて髪を白く染めた醜い糞虫となって新たに出てきた"鞍馬金剛党"からを守るのです。

KOIKE-MURAMORI-katakoi-saburo3-4.jpg
ところで13歳になった和子は、美しく成長しています。お姫さまだけに、髪型は姫カット!

和子に生きている事を伏せる命令を受けたために、主人公なのに顔を焼いて醜い糞虫にまでなった片乞三郎ですが、結局糞虫は三郎であると和子に看破されました。
嫁ぎ先から命を狙われる事に苦悩している和子は、自分は祖父家康の野望の犠牲なのか…そういった問いかけにも答えなくてはならない三郎。

帝の守護神を名乗る鞍馬金剛党の鞍馬大浄介…その正体は陰陽師であり、公家にして鞍馬古流という戦いの奥義を極めた裏辻信忠
こいつは凄い強敵でしたが、闇に棲む陰陽師に合わせて闇に潜み、何と和子を連れて京にまで乗り込んだ片乞三郎が勝利しました。

片乞三郎の持つ武士道、男気と強さ、そして特にその知略の凄さに…つまりは小池一夫先生の凄さに感服するわけです。
いちいち出てくる理屈、小池節が面白い!
…続きはまた次回。


心まではその毒もとどくまい!
この身朽ち果つるとも わが心は常にひいさまと共にあり
わが魂もまた ひいさまのお側にありて
守護し奉らンッ!



スポンサーサイト
  1. 2009/05/13(水) 23:58:20|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<劇画(96) 小池一夫 9 松森正 2 「片恋さぶろう」 2 | ホーム | 劇画(94) 筒井康隆 1 「筒井康隆漫画全集」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/774-5242e85d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する