大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(97) 篠原とおる 1 「現代牝犬物語」

今夜は篠原とおる先生です。

強い"女"を劇画にした最初の人だとか、闘う女(ヒロイン)を描かせたら右に出る者がいない、そんな印象を持っている方も多い篠原とおる先生は、1936年生まれの愛媛県出身。
実はあの劇画黎明期の人々が集まった"日の丸文庫"で描いていた人ですので、劇画家として凄い方なのです。

「女豹マコ」「ズベ公探偵ラン」「人間昆虫記」といったヒロイン物作品が1967年ですので、この位の時期から早くも"目覚めた"のですね。
そして1970年にはビッグコミック(小学館刊)にて、"女囚モノ"の古典となった「さそり」の連載開始です。

これはもう漫画について語るより、これを原作として映画化した「女囚さそり」シリーズの名前を出せば早いでしょう。
KAJI-sasori.gif
梶芽衣子主演のこの映画版も名作すぎで、海外で賞を取ったりするようなアートがかった日本映画の何倍も素晴らしいエンターテイメント作だと思ってます。
クエンティン・タランティーノもこのシリーズが好きだそうで、「キル・ビル」「女囚さそり」の主題歌「怨み節」を使ったわけですが、あの時はオタクに愛されるカルト映画だったこのシリーズが、オシャレ系みたいな雑誌とかに流行で追われちゃって辟易しました。
でもおかげでDVD化された…そんな嬉しい副産物もありました。
1990年代に入って作られたVシネマ版、つまりは岡本夏生とか小松千春主演の作品も喜んで観てますし、もはや松島ナミことさそりによって性癖まで影響を受けたと言っても過言ではない私…
いや、映画版の話は長くなるのでここまでにしましょう。

「さそり」以外にも「ワニ分署」「0課の女」等、いくつも映画化している篠原とおる作品の中から、今回は「現代牝犬物語」(大都社刊)です。
SHINOHARA-mesuneko.jpg

単純に「さそり」は長いので薦めても誰も読んでくれないという問題もありますが、実はこの「現代牝犬物語」は私が初めて出会った篠原とおる作品で、面白くて驚いたものでした。
だいたいタイトルが素晴らしい。当たり前ですが"牝犬"と付くのは犬漫画だからじゃなくて、したたかな女性をそのように呼んでいるわけです。

連作の短編集なのですが、大抵は心に何かを秘めているオンナの狂気を描き、時には人を殺してしまったり…ほとんど不幸な結末が用意されています。
「現代牝犬物語」として7話が収録されているので、それぞれの話について語ろうかと思ったのですが…何か思い直して止めちゃいました。
ただ女の怖さを知ったり、逆に時に同情したりしたい、そんな人はこれを読むべきでしょう。

この単行本にはさらに「新昆虫記」という女を昆虫となぞらえた傑作が3編、さらに独立した短編傑が4編…それも最後の「牝の狼はふるえて眠る」だけ原作に阿久悠を迎えていて、これが一人の女の過去に迫る放送作家を描いたいい出来の作品なのです。
歌謡曲等の作詞で偉大な功績を残した阿久悠ですが、私としてはそんな詞なんかに集中してないで漫画原作に力を入れていれ、これや上村一夫作品に書いてたレベルの物を書き続けていたら、私の愛するこちらのジャンルでも小池一夫先生クラスの活躍をしていたのかもしれない…そんな事も思ってしまいます。

それはさておき篠原とおる作品ですが、やはり梶芽衣子のように冷たい眼をしたヒロイン…でもどこかで見せる人情や浪花節が魅力で、絵もいいしハズレが少ない先生だと思うので、未読の方はどれか読んでみては如何でしょうか。


ほんとに馬鹿げている!
狂っているわ………なにもかも………
学校が なんなの!? 家庭がなんなの!?
社会が………馬鹿げているわ!

狂っているわ!
オスとメス………犬や猫………
みんな狂気の群れ!
ふふふふふ………おかしく………
馬鹿げている!



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  1. 2009/05/16(土) 23:34:50|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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