大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(56) 黒田みのる 1 「死神天使」

まだこのホラー漫画界の大御所を紹介してませんでした…
今回は黒田みのる先生です。

1928年の東京生まれである黒田みのる先生は、大学在学中から老人になった現在まで真面目に心霊現象の研究を続けている方で、1958年の漫画家デビュー。日本初の本格的心霊漫画家だなんていう評価もされてます。
書物で霊の世界を広め続けていますが、それ以外にもご自身が"ス光光波世界神団"という宗教団体を設立して教祖になっています。
自身の漫画でも"手かざし"という行為を絶対の力であるかのように描いているように、ス光光波世界神団設立以前は"崇教真光"に在籍していました。

同じく新興宗教らしき物の教祖様になってしまった美内すずえ先生や山本鈴美香先生の教団と違って、ス光光波世界神団は宗教法人に認定されている団体ですし、黒田みのる作品で言っている事も普通に悪い事したら地獄に行くとか、おじいちゃんがいいそうな事ばかりな印象があります。

その漫画作品はどうかといえば、絵は例えば日野日出志先生や楳図かずお先生のような超ビッグネームに比べて特徴も無いし見劣りします。
話の方も、まぁ説教くさくてエンターテイメントとしては辛い所もあるのですが、その啓蒙的な内容は他の誰もやらない部分であり、何か妙に感動したりしますし、ひねくれ者は…その怪しい世界を信じきって真面目に語る姿を笑って読むのだってそれも読み方の一つでしょう。

一応読者サービスも考えているとみえて、一部の作品では女性の霊は裸で出まくります。心霊について説明するシーンでも…意味無く女性の裸が使われていたりします!
とにかくそんな、私自身もそこまでファンじゃないけどどこか愛すべき黒田みのる作品。

1回目の今回は「死神天使」(笠倉出版社刊)でいきましょう。
KURODA-death-angel1-2.jpg
単行本は全3巻で、著者は黒田みのる先生ともう一人、古出幸子先生とのダブルネームになっていて、 後者はアシスタントなのですが、この作品に関しては少女漫画チックな絵柄を見ると作画のほぼ全部を受け持っていると思われます。

話は今(といっても昭和52年)から4百年前の時代からスタートします。
お城のお姫さま(やはり姫カット)が敗走中、味方の裏切りで危ない所を顔が火傷だらけで姫に怖がられてる醜い家来によって命がけで助けられました。

山の奥に隠されて一人ぼっち、しかも体が動かない姫はお腹が空きすぎて目がくらんでいます。
そこへ討死にした両親の霊魂が励ますために現れ、また宇宙人みたいな姿をした死神の小僧も来て諦めて死ぬようにとほのめかします。
姫はついに力尽きて生きるのを諦めると、霊魂が体から抜けるのですが…この魂に顔が付いた霊魂の表情や姿が可愛いすぎる!

死んで霊魂になった姫は精霊界でいろんな教えを受けた後、死体のある山の奥地に戻されるのですが、自分の死体を見て第一声が
『やだーッ わたしが死んでるーッ ミジメーッ』
なんて言ってますよ。4百年前のお姫さまなのに!
この作品全体を通してこんな感じの軽さがあり、絵が可愛いのも女性漫画家である古出幸子先生に任せたのが良かったかもしれません。

姫の肉体はボロボロに腐って骨となって土にかえり、それから4百年が経つと…
山を切り開く工事によって精霊界も何もかも壊されて行き所が無くなった、姫の霊魂。

しかしこの工事中にある事件が続発し、それは姫の姿を見た者が次々と死んでいく、というもの。
自分が死神になってしまったのかと泣く姫は、霊魂なのに山に遊びにくる現代の女の子たちの服装や髪型を真似ますが、これがカラーリングとカールした髪型になってしまって失笑します。
『いまのみなさんのようなニュースタイル』『街のヤングたちの服装にひきつけられて』との事で…いやオシャレで可愛いのですが。

そこへ死神の小僧が登場!
『ひさしぶりだったね………お姫さまよ
四百年もみないうちにモダンにスカッとなっちゃって………まぁッ』

とか言っていろいろ教えてくれるのですが、本当に姫も死神の仲間になってしまったのか。

例によって霊界の仕組み等の説明や、人が自然を壊す事に対する警告やら含めながら進められる物語。途中で突っ込み所がたくさんありますが…
とにかく、姫は死神みどりと名付けられて本当に死神の仲間入りをしてしまいました。

KURODA-death-angel3.jpg
相変わらず死神になるという運命を受け入れられずにいるみどりは、白い光の神や日本の妖怪たちに脅されたりしながらも、指導霊に助けられたり。

指導霊に説明を受けた事によると、おおもとの神様の真下にある美しい日本の国も自然が壊され精霊界が無くなり、神の光が通りにくくなって外国の悪魔たちに狙われ、日本の力がない死神たちも外国の集団と手を結んだ…とか、そっちの世界でもそういった争いが熾烈を極めている事が分かります。

みどりは死神の小僧は、何だか漫才のコンビのように突っ込みやなにやらで結局仲良しみたいにも見えてきましたが…
ついに外国の悪霊、それも悪魔の帝王・サタンが登場!
4百年前に姫(みどり)を助けた火傷顔の家来の霊まで操られて罪の無い女の子を殺そうとしますが、そこで何と!死神の小僧が身を挺して阻止し、サタン達は逃げていきました。
強大な力を持っているはずの外国の悪霊って…あまりにもショボイです。

傷付いたみどりも死神の小僧も一緒に消えていきますが、みどりは最後まで人の命を奪う死神になる事を気高く拒否し、死神の小僧も最後だけは死神じゃなかった。
火傷顔の家来の霊だけはこの世に残されて泣き、感動の大団円です。一応。
それからこの作品通して何度も出てくるのですが、長い文章で自然を壊す事に対する警告とかあって終わりました。

自身が新興宗教の教祖になったというのがまずキてますが、その内容からしてもカルト作、という意味ではホラー漫画界の最右翼と言っても過言ではない黒田みのる作品を、貴方もいかがでしょうか。


描くこころ

◇死神を描こうとすると あっちからもこっちからも いろんな霊が原稿をのぞきこむ
◇そのなかに死神がまじっていて どうか描かないでくれと かなしそうなかおで みている
 わたしは しらんかおして描くと死神の目に涙がひかった

ーみのるー



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  1. 2009/05/23(土) 23:39:25|
  2. ホラー漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

BRUCE様へ、
ホラー特集、楽しく読ませていただいております。

漫画ブログを読むようになって、まだまだ知らない漫画の世界との新たな出会いが、とても嬉しく思います。

これからも色々な漫画を紹介していってください。



  1. 2009/05/24(日) 10:09:58 |
  2. URL |
  3. さるちゃん #-
  4. [ 編集]

ホラー

>さるちゃん

こんなホラー漫画続きで、おそらく多くの方が『またかよ』と思っているでしょうに、そのような暖かい言葉をかけてくれて嬉しいです!!
そろそろまた他ジャンルのに移ろうと思いますが…ありがとうございました!
  1. 2009/05/25(月) 06:04:59 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

ホラー大好き

3人の子持ち主婦ですけど、小さい頃からホラー漫画大好きです。
黒田みのるさん、こういう少女コミックも描いてらっしゃったんですね~。 知らなかった。電子本でも最近、この「死神天使」も出されたようですね。読んでようかなぁ…。
黒田みのるさん、レディースの雑誌で描かれてたものがいくつもあって、当時、私の周りでは人気があったんですよ。ホラーなんだけど、ジーンときて、名作揃いだったと思います。
  1. 2010/06/11(金) 17:33:43 |
  2. URL |
  3. ベジピザママ #-
  4. [ 編集]

オシャレなホラーです。

>ベジピザママ さん

コメントありがとうございます。
ホラー漫画大好きな母って、3人のお子様達が羨ましいです。
でもあまり小さい頃から楳図かずお先生の「ママがこわい」とか読ませて嫌われ(怖がられ)たりしてないか心配です。
数ある黒田みのる作品でも、この「死神天使」のように古出幸子先生とのダブルネームだと自分は原作といった役割なんでしょうね。でも少女向け作品も良いですよ!
仰るレディース雑誌で描かれてた作品は私、あまり読んでないと思います…そうですか、名作揃いでしたか。単行本になってますかね。タイトルとか思い出せたら教えてくださいね。
  1. 2010/06/23(水) 01:52:03 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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