大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(66) 永島慎二 2 「漫画家残酷物語」

今夜は永島慎二先生の「漫画家残酷物語」(朝日ソノラマ刊)です。
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貸本時代の伝説の短編誌・刑事(東京トップ社刊)にて、1961年から1964年にかけて掲載された作品を集めた短編集で、単行本は全3巻。

これは永島慎二先生の出世作にして代表作であり、日本の漫画史上に残る名作であり、詩的で文学的で、そして私の中で…特に若者時代にバイブルだった作品です。
結婚して子供も生まれながら世間を知るため勉強したいと奥さんに断り、ふろしきに漫画を描く道具を包んで家出した永島先生が上井草に下宿を借り、毎日のように新宿に出てフーテンみたいな生活を二年半に渡ってしている間に描いた漫画家残酷物語・・・・"シリーズ黄色い涙"
登場人物も作風さえも違う作品でつづる短編集ながら、そのタイトルの通り漫画家や漫画に関わる人達を描いている所が共通しています。
しかし主人公はけっして普通の売れっ子漫画家ではなく、夢と現実の違いに悩み苦しむ貧乏な漫画家…いや漫画家志望の人なんかが中心で、悲劇的な青春の話が多いのです。
時代的に、まだピカドンを受けた戦災孤児の話なんかもありますよ。

永島慎二作品に正義の味方のようなヒーローはいらない。はたから見たらただ酔っ払って管を巻いてだけの人なんかをリアルに描くのです。
正に私小説…じゃなくて私漫画で、大人になると忘れがちな、痛くなるような若い時代の痛みとか思い出すためにも読んだ方がいいでしょう。

夢を捨てられずに葛藤する大人の姿を見て、私はもう自分がそこから離れてしまった事に気付かされたり…
『サラリーマンをしていて その日その日をなんとなく……
それほど大きな喜びもないかわりに……大きな悲しみもない
そんな毎日になれて知らぬ間に……年をとってしまうのが おそろしい………』


永島慎二先生(ダンさん)本人がそのまま漫画家の役で出て、「フーテン」等の他作品でもおなじみのサラリーマン・緑川ヒロキや他のフーテン仲間と交流を描いている話もあります。
そこで永島先生、
『ケッ なにがすばらしいだウスラ奴がよ エエ チクショウメ
オイよく聞けヤ オラァな もう漫画なんかスッパリやめた
やめてどうするって あたりめえよ 旅に出るのよ 旅に!』

なんて言ってる話もありますが…
これ、後に本当に全く同じ行動を梶原一騎原作の「柔道一直線」執筆時にやってるじゃないですか!

NAGASHIMA-mangaka-zankoku-monogatari3.jpg
正に珠玉の短編集ですので、一話一話の細かいストーリーもここで紹介したいのですが、時間の都合で省略します。
そして、この作品は本当に自分の眼で読んで頂きたいのです。若者なら特に!

そして私が永島慎二作品を愛し続けているわけは、実はそのストーリーと同じように研ぎ澄まされている絵があまりにもいいからでもあります。
特に後期は挿絵の仕事もかなりやっていますが、単純に上手いとか下手じゃなくてとにかく魅力のある絵で、絵画を観るように楽しむ事もできるレベルですよね。
永島先生が開発したので有名な手法でもあり特徴的な、白目と黒目が逆になっている眼、または全部黒目とか全部白目、スクリーントーンの眼もいいですね。


そうだ みんなおなじ穴のムジナだな
ヤレバイタリティだ ヤレ実存だと口をひらきゃ えらそうだけどよ
けっきょく てきとうにあそんで……
そこそこの年がくりゃ おちつくところにおちつく……

ヘッ いやじゃございませんか おきまりのコース
今までの敵で地獄があんがいーと住みよい社会で
金さえありゃあけっこう幸せ

人間と云う名前のドーブツに進化するわけだ……



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  1. 2009/05/26(火) 23:55:37|
  2. 月刊漫画ガロ
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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