大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(71) 永島慎二 7 「四畳半の物語」

今夜の永島慎二作品は、「四畳半の物語」(朝日ソノラマ刊)です。
NAGASHIMA-yojohan-story.jpg
この単行本の約半分が表題作「四畳半の物語」という中編で、1971年にガロで掲載された作品になっています。

胃癌のため四畳半の部屋でただ死を待って寝ていた三四郎の所へ強盗の助六が押し入り、貧乏人の部屋からその強盗が盗んでいった物は…
コオリ一パイの童話と散文詩の原稿でした。

それを読んだ強盗が後日再び現れて、弟子入りをせがんで、
『あっしは この2日間一歩も外に出ず このぬすましてもらった原稿を読みふけっていたんだ…
…おもしろかった…!
なんというかコオリ一パイの原稿には人間が人間であることと生きるために 遠くはるかにすて去った恥の心がぎっしりだ
あっぢは正直…泣けちまった!
はかなく なんとも悲しく それなのにへんなぬくもりが……心につたわる
あっしは何かを読んでこんなに感動したことは…ない!』

などと言い、思いつく限りの献身的な無償の愛を捧げるのです。
三四郎は自分の病気を治せる金を出してもらえるというのにそれを断って残り短い生命を楽しむ事に決め、それから助六の娘・小夜と三四郎が恋仲になったあげくに迎える意外な悲劇!
何とも胸を打つ傑作ではないですか…

それから続く4編の短編も東京の貧乏生活感があふれる「あつい室」、友情と裏切りを描きながら人間性や生きる事を考えさせる「トコトホの丘」、そして"シリーズ黄色い涙"の第3部である「ラ・ジョローナ」「馬鹿狩り」という傑作が収録されているのです。

「ラ・ジョローナ」という言葉の意味は全く別の作品である「四畳半の物語」の中で
『泣き女って意味らしい………
メキシコ南部の民謡で作者不明のワルツさ
とても悲しい恋の物語でね 河に身をなげて死んだ娘がいて
夜になるとその河の中から娘の泣き声が聞こえてくるって唄なんだ……』

と三四郎が説明してくれています。
つまりその唄の日本人…それも悩み苦しむ若者版であるのですが、あまりにも美しすぎる。

とにかくこの「四畳半の物語」に収録されている永島慎二作品に共通する特徴としては、センチメントすぎる話ばかりという所でしょうか。
これをいいと思うかどうかは貴方次第でしょうが、私はこの斬新なコマ割り一つにも将棋の手のように一つ一つ意味があって、こうじゃなきゃいけないんだなんて考えながら読み込んだその昔を思い出しています。


よーく考えてみると金があって美人の女房がいて……友達がいる…するとな……
べつにとりたてて やることなんて、ねえもんなんだ……
とりあえず腹ごしらえしてから相談しようってことで…
すきやき食ってた訳だ わかるかお前に!

なるほどな そういわれてみりゃあ、今の日本で、
貴重な金を使ってほんとに楽しませてくれるところなんて……なかったな

きたねえ四畳半だけど、こうしているとな、今まで感じたことのなかった、
あたたかさがここにはあるんだ



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  1. 2009/06/02(火) 23:49:32|
  2. 月刊漫画ガロ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

BRUCE様へ、

「四畳半の物語」を、とても読みたくなりました。

現在の日本人が忘れてしまった心に出会えるようなきがします。
  1. 2009/06/04(木) 13:05:54 |
  2. URL |
  3. さるちゃん #-
  4. [ 編集]

四畳半・・・・

>さるちゃん

それでは、この「四畳半の物語」は是非ともプレゼントさせてください。
送りたいのですが、福井の住所聞いてなかったので、後でメールで送ってください!
  1. 2009/06/05(金) 20:38:23 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

BRUCE様へ、

プレゼントしていただけるなんて、ありがとうございます。

わざわざ送っていただくなんて申し訳ないので、次にお会いした時でいいですよ。

さるも、お返しに何かプレゼントしますよ。

では、次にお会い出来るのを楽しみにしています。

  1. 2009/06/06(土) 13:01:38 |
  2. URL |
  3. さるちゃん #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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