大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(72) 永島慎二 8 「はだしのブン」

今夜の永島慎二作品は、「はだしのブン」(朝日ソノラマ刊)です。
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1971年に週刊少年サンデー(小学館刊)にて連載された作品で、単行本は全2巻。

わずか一文字違いのタイトルで中沢啓治先生による、あの大傑作「はだしのゲン」があり、絵を見ないと間違える方もいるかもしれませんが…その内容は似ても似つかないので安心してください。ちなみに、永島先生の本作の方がずっと早く誕生しています。

他の永島慎二作品よりも児童向けを意識して描かれた愛情いっぱいの名作ですが、しかし永島先生は甘くないのです。
本校と分教場(分校)の、つまりは人間の差別問題を描き、その対立によって子供達から死人まで出てしまいますから…

舞台となるのは東京から北へ百キロほど離れた田舎の農村である、かげとこケ原の柿村。
走るのが好きで、嬉しい時も悲しい時も思いっきり野山を走るはだしの小学生・ブンが主人公ですが、他の分教場の児童達全員にちゃんと名前も個性もあるのだから凄い。

分教場の児童達を山ザルと馬鹿にし続ける本校と、少人数ながらそれに抵抗する分教場の対立は小学生ながら棒とか使っての殴り合いから…肥溜めに落としたり、監禁して馬糞を喰わせたりもあり、児童向けに描いた絵柄じゃ無かったらちょっとヤバイ内容でもありますね。
そして全校あげての大決戦では、分教場で一番の上級生(6年生)であるデベソの一郎が命を落とすのです。

しかし本校で一番体がでかいジャイアントウスラなる奴がいるのですが、こいつはどもりだし、その白痴っぷりもヤバイ…

とにかく一郎を亡くして失意の分教場児童達のもとに、本校と合同での運動会の誘いが来ました。
それに出場して本校を倒す事を誓う分教場の子供は厳しい練習を繰り返し、ついに迎えた決戦!
これはもう、読者は大人子供の区別なく手に汗にぎりながら分教場の児童達を応援してしまうでしょう。

圧倒的な走る力を見せ付けるブンでしたが、町の人々の噂話がきっかけとなってここで初めて自分の親について教えられます。
ブンの記憶にない父親の名前は、立原文。何と…人殺しだったのです。
その殺しも差別問題に絡んだ、どうしてもやらなくてはいけないと思い込んでしまった行為だったのかもしれませんが、児童漫画の姿を借りたこの作品で、ここへきてこんなディープなネタが出てくるのだから驚きます。
その事実を知ったブンは、泣くかわりに力のかぎり走る決意を強め、そして迎える大団円!
最後まで見せ続けるその根性は、感動で胸を打ちますよ。


全2巻の下巻の方にはさらに2編の短編が収録されてます。
それが「とおりゃんせ」と、そしてまた"シリーズ黄色い涙"の第3部である「つきにつかれた男」
このどちらも高レベルなストーリーとメッセージ性、永島慎二作品なんだから当然ながら絵も素晴らしく、多くの方に読んでもらいたい作品でした。


な、なぜなんだ!! なぜ、おれたちが山ザルなんだ!! 同じ人間じゃないのかよ!!
本校のものといったいどこがちがうっていうんだ!? え、いってみろ!!

くさかったらばかにしてもいいのか…え、おまえたちがさきに、人をからかったりバカにしたんだぞ!!
あやまるのは、そっちのほうなんだ!!



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  1. 2009/06/04(木) 23:59:00|
  2. 月刊漫画ガロ
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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