大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(98) 川崎三枝子 1 滝沢解 4 「黒衣の女」

今日は6月6日・・・・666の悪魔の日ですね。こんな日にふさわしいのはこれでしょう。

滝沢解原作、川崎三枝子作画の「黒衣の女」(双葉社刊)。
TAKIZAWA-KAWASAKI-the-woman-in-black.jpg

川崎三枝子先生はこのブログ初登場でしたので簡単に説明しますと、1949年生まれの鳥取県出身で、十代半ばで上京して…何と、佐藤まさあき先生のアシスタントになっています!
となると兄弟子には松森正先生がいたりして絵の勉強には良かったのでしょうが、何で十代女子が佐藤まさあき先生の元へ…
それが人生を決定付けてしまったのか、15歳にして少女漫画デビューするも、後に青年誌デビューして"劇画界の魔女"だとか呼ばれ、女性とは思えないほどエグイSex&Violence描写も満載な「姫」「妖あどろ」「首狩族」といった傑作を描くようになるのです。

そんな川崎三枝子先生の青年誌デビュー作品こそが、1971年の「黒衣の女」なのですね。
しかも原作は70年代の劇画シーンの立役者ながら、設定がいいかげんですぐ矛盾するのでも有名な(しかし圧倒的な力がある)…あの滝沢解先生。
見事に青年向け劇画家としても開花した川崎先生は、滝沢解原作に全く違和感無くなじんで、オカルト・エロ劇画の名作に仕上がりました。

話は読みきり連作方式で進んで、単行本は全2巻。
単行本の1,2巻それぞれに「愛の葬儀人」「愛の呪縛」なるサブタイトルも付いているのですが、さらに1話1話にも付けられたタイトルを見てみると、例えば
「降霊術(シッティング)」「宴(サバト)」「騒ぐ霊現象(ポルターガイストフェノメナ)」「20世紀黒魔術」「使い魔(ラルヴァ)」「血のロマンス」「吸血鬼ユリシーズ」「霊光(オーラ)」「走る魔女(ウィッチ・ストリーカー)」「魔女狩り」「ねむれ魔女よ」…等、ゴシック的でもあり666の悪魔の日にピッタリな感じじゃないですか。

話の内容はといえば"関東女子大学"の生徒であり、あまりにも美しい魔子が、魔子にふられて自殺した元恋人・佐伯の霊に苦しめられる、というもの。
魔子に近づく男は次々と呪い殺されていくのです。
『男は』と書きましたが、その通りで嫉妬深い佐伯の霊も同性愛(レズビアン)には寛大です。

いつも佐伯の霊に付きまとわれる、善良な美人の魔子…
というのは開始当初だけで、嫌な男を排除するのに霊を利用して殺させたり、エクトプラズムを吐いて人を襲ったり"使い魔"も使ったり、回を重ねるにつれてだんだん魔子自身が恐ろしい姿の魔女のようになってきましたよ。

いつもの通り滝沢解先生が飽きただけなのでしょうが、魔子が悪魔の子を妊娠したりもして…
自殺したただの情けない男の霊ではスケールが追いつかなくなり、途中から佐伯の霊の存在自体が無かった事になった感じです。
その代わり、もはや魔子は完全に魔女!

作品タイトルと対をなすような「白衣の女」と名付けられた話もあります。
これは南シナ海に不時着した飛行機の生存者達が織り成す、カニバリズムネタのヤバイ話。
当然そこに魔子も乗っていて、生き延びるために先に死んだ犠牲者の肉を食べるとなった時に
『焼きかげんはレアでおねがいするわ』
なんて言ってます。
その後も展開も凄まじい事になるのですが…とにかく、決して自分は人肉に手を付けようとしない信心深いシスターを地獄に落とすのです。

それから満月の夜に変身してしまう狼男…じゃない、普段は美人で狼女のメイと仲間になり、あれ?前に一度出たけど死んだはずの吸血女の李白麗も仲間になってます。
一応普段は美女の姿をしながらも、モンスターである三人が共に行動するって…もう最初と全然別物になっていますね。

それからメイが人間の銃弾に倒れて、その復讐のために狼を使って警官30人を食い殺させた魔子と白麗は、今までの殺人もいくつかばれたようで警官隊に包囲され、撃たれてしまいますが…
悪魔の手先に冷凍保存され、
ねむれ魔女よ 氷に閉ざされた棺の中で 百年も千年も一万年でも……
今日の死者は明日の生者 いつの日にか再び訪れる魔女の時代
その日のためにグッスリと眠りたまえ 魔女たちよ…………

と、物語の幕を閉じてしまいました。

インテリの滝沢解先生らしく、それぞれの話で文学者や哲学者の引用を使ったオープニングもカッコいいし、『黒魔術は一つの生き方であり 自己実現(テーゼ)である』とか大げさに説明した後で話の最後で魔子に『黒魔術なんてサーカス団が考え出したイカサマだよ!』と笑いものにさせたり…
そもそも話がメチャクチャな破壊の作風に川崎三枝子先生の繊細な劇画。いいですね、とっても。
同コンビの作品としては、他にトンデモなロック劇画「炎のクイーン」がお薦めです。


ウフフフ……
無理でしょうね 死霊があたしを護ってくれてるから
そうよ あたしは死人に愛されて生きているのよ
死人に食べさせてもらってるのよ!
生きてる奴なんかあてになるもんか!



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  1. 2009/06/06(土) 06:06:06|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

松森正ですね。かざま鋭二も佐藤プロです。川崎三枝子のアシスタントをしていたのが、うしおとトラ、からくりサーカスの藤田かずひろ、ロリ漫画の巨匠 遊人です。
  1. 2012/03/12(月) 18:29:23 |
  2. URL |
  3. 玄米 #-
  4. [ 編集]

佐藤プロダクションの人脈!

>玄米さま

コメントありがとうございます。

冒頭の『松森正ですね。』というのは、何を指して言っているのでしょうか。ちなみに私、松森作品はいくつか好きなのがありますが、小池一夫原作の「海渡勇次郎伝 拳神」は、全劇画の中でもトップクラスに好きな作品です。

佐藤プロの人脈の凄さは川崎三枝子先生のアシスタント…つまり佐藤まさあき先生の孫弟子にまで及ぶのですね。あの藤田和日郎先生までがそうだったとは、全然知りませんでした。
絵が上手いだけじゃなくちゃんと個性も持って一流漫画家になった方をそれだけ輩出しているのだから、感服します。
  1. 2012/03/13(火) 10:30:52 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

文中の村森正というのが松森正の間違いかと・・思いまして。
  1. 2012/03/17(土) 12:44:59 |
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  3. 玄米 #-
  4. [ 編集]

ありがとうございます。

>玄米さま

ほ、本当だ・・・すみません、恥ずかしい誤字でしたね。
自分でも前に書いた記事読み直すと、文章も含めて直さなくてはならない箇所が多すぎるため、大変だから読み返す事もせずそのままにしているような状態で、本当にお恥ずかしい限りですが…ここは直しておきます!
ご指摘、ありがとうございました!
  1. 2012/03/17(土) 14:05:07 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

川崎三枝子のエピソードとして有名なのがアシスタントとの駆け落ちです。炎のクィーン連載時駆け落ちをしたそうですよ。
  1. 2012/03/19(月) 10:50:38 |
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  3. 玄米 #-
  4. [ 編集]

炎のクイーン

>玄米さま

ははは、川崎三枝子先生ひどい・・・
あのトンデモ劇画の名作「炎のクイーン」の舞台裏には、それだけの事があるものなんですね!
  1. 2012/03/20(火) 11:36:42 |
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  3. BRUCE #-
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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