大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(74) 永島慎二 10 「東京最後の日」

今夜の永島慎二作品は、短編集"ダンさんコレクション"の5冊目「東京最後の日」(朝日ソノラマ刊)です。
NAGASHIMA-tokyo-last-day.jpg

この「東京最後の日」こそ、私がまだ10代の時に初めて買った永島慎二作品にして、辛い日常を送っていた時に影響を受け、進む道の指針となった本…。
10編を収録した短編集ですが、どれもレベルが高くて個人的には「漫画家残酷物語」にも負けないほど好きで、宝物と言える一冊ですね。

1話目は表題作「東京最後の日」で、結婚したばかりの妻・女Bと二人暮らしをしている平凡なサラリーマンである男Aが、ちょうど一年後に大地震が起こって東京が壊滅する夢を見る話。
そう・・・夢なのですが、Aには正夢を見るクセがあったのです。つまりちょうど一年後には確実に東京は壊滅する。
そうと分かったAとBは、余命1年間をどう生きるか考え、徹底的に楽しむ事を決意するのです。
いろんな事を試しながら楽しんで時は過ぎて行きますが、あと二ヶ月になった所で"労働"が欲しくなって働き出したり…ラストのオチも面白いですが、一応は終末モノなのに全くSFっぽくない所はさすが永島慎二先生。

続く2作品は、私が特に愛してやまない作品です。

まず「アシスタント」は、主人公の清水谷偵紀が児童漫画家・北横路米丸のチーフアシスタントを務める男。
師匠の作品がテレビ化されて収入が良くなりましたが…仕事で忙しすぎて人間らしい生活とか、何かをゆっくり考える事も出来なくなっていて、胸のどこかに穴が開いているような音が聞こえてます。

思い出すのは、東北の水のみ百姓の長男として育ち、父親に殴られたり原稿やぶかれたりしながらもどうしても漫画家になりたくて
『とうちゃん わかってくれ おら百姓がきらいだなんて いっちゃいねえ
おら漫画家になりてえんだ なぐって気がすむものならいくらなぐられてもいい・・・・
でも頭がわるくなるとこまるから その前に東京へ行くことにした
だれがなんといっても 今のおらをとめることはできねえ
おら漫画家になるんだ 体に気をつけて心配しねえでくれ』
そう書置きして家出し、あてもなく出版社を訪ねて紹介された先生のうちへ向かうも、金が無くて中野までしか切符を買えなくて国分寺まで25時間も歩いた16歳の時の記憶。
あの時の自分を動かしていたのは何だったのか、あの時見た空の輝きは、今無くしてしまった物は…

次の「その周辺」も同傾向の作品で、今度は確実に永島慎二先生本人がモデルと思われる売れっ子漫画家が悩み、考える。
まだ幼い息子に人間に飼われるようになったノラ犬の話をして、自分の立場だったらこのまま人間に飼われるか、それとも鎖を切って自由になるかと質問します。
そして返ってきた答えは
『ぼくが犬だったら………そんなに考えないで 逃げるね!
そ そりゃきびしいけどさ…そのくらいのきびしさになれとかないと
先が思いやられるよ 生きていいてもしょうがないと思うね!』
というもので、収入は安定だけはしていた仕事をしながらも田舎でつまらない生活をしていた当時の私は、登場人物の漫画家と同じく考え、影響を受けまくったわけです。

それから「赤貧」「かやの中」「虹」「井上陽子の場合」「男と女」「マドンナの宝石」「マリン」と続く作品が、まさにどれも輝く名作。
ちょっとセンチメンタルすぎるこれらの作品を理解し、感動するには思春期に読む必要があるかもしれませんが…
私にとって好きすぎる作品ばかりなため、それぞれ語りたい事もありますがきりがなくなるので、平日の今夜はここまでにしておきましょう。


君にだけは…ぼくのこの気持 わかってもらえると思っていた……
人間 小さな頃 誰でもが1度や2度は思うことがあるだろう…あれなんだよ…
誰も知らない遠くへ行ってしまいたいと…
オレの場合…とくにそれが強かった…
夢は夢として…夢だけで終わらせたくなかった……



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  1. 2009/06/10(水) 23:17:33|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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