大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(77) 永島慎二 13 「青春裁判」

●フーテンをすすめる唄


まず親を裏切れ
次に兄弟もあったら裏切れ
今 君が中学生だったら勉強を投げ出せ
高校生なら学校をやめてしまえ
話はそれからなんだ

もし君が本を持っていたら
それをたたき売って旅に出よう
決して働くな 勉強するな
努力なんかなおさらするな

そこで君は
自然がすでに我々を
決して楽しませてくれるものでないことを知るだろう
そこで君は
おのれが自然の一部であることをはじるだろう

そこで君は
祈ることを知るだろう

遊べ 遊べ 力のかぎり遊ぶのだ
金を盗め 友情を盗め 女を盗め
元気のない奴はふんづけていけ
そして傷つけ血を流せ
その血を大地に吸わせる事こそ
愛なのだ

という事を知った時
君はひとりのフーテンに進化する
フーテンばんざい
何にもするな 気にするな
遊べ 遊べ ただ遊べ
なまけずに……


今夜の永島慎二作品は、↑こんな唄から始まる短編集で、"ダンさんコレクション"の8冊目になる「青春裁判」(朝日ソノラマ刊)です。
NAGASHIMA-seisyunsaiban1.jpg
私が数十冊持っている永島慎二作品の中で、上位5冊を挙げろと言われたら確実にこの「青春裁判」は入る…大好きな作品集です。

サンコミ版は再発でして、こちらが最初…1968年に出た虫コミックス(虫プロ商事刊)版の「青春裁判」
NAGASHIMA-seisyunsaiban2.jpg

60's後半くらいに描かれた質の高い作品ばかりで10編以上収録されているので、これを細かく語っていくと大変長くなってしまいます。
タイトルだけ列挙していくと、
「旅人たち」「悲しみの午後」「帰郷」「孤独な日々のあそび」「赤春」「かたみの言葉」「人形劇」「星の降った夜」「仮面」「青春裁判」
おまけ的に「Danサンのおしゃれコーナー」というのもあり、それもいい。

例によって素晴らしい絵で、心に訴えかけてくる美しくもセンチメンタルすぎる作品群は熱い…何でこんなにセンスがいいのだ。
これは確実に芸術です。というと、つまらない高尚な物を想像されてしまうかもしれませんが、永島慎二作品ですので当然面白いのです。
コマの細かい所までかなり神経が行き届いてるのが分かりますし。

表題作の「青春裁判」は、あい・うえお柿久圭子という16歳の悩める一組のカップルについて、裁判形式で証人が次々と証言していく…
事実のとらえ方は証言によって違うという、芥川龍之介の短編小説「藪の中」的な作品でもありますね。

うえおが恋の苦しみから逃げ出したために、圭子は彼を待ち続けた末に自殺してしまった事が分かり、最後は生き残ったうえおに
『判決! 被告あい・うえおは その青春を血にそめた罪により……
今後一生 生あるかぎりにおいて 人間を愛してはならない!
たとえ結婚するようなことがあってもである!』

という重い判決が下されて青春裁判を閉廷するのです。
証人の一人だった、阿佐ヶ谷の喫茶店アモーレで11年サンドイッチマンをしているというピエロによる作品締め括りの質問が印象に残ります。

『裁判長 ひとつだけ……お聞きしたいことがあります
血を流さない青春なんてあるんでしょうか』

と。
ちなみにピエロは、永島慎二先生が最も好きなキャラクターだった事は有名ですね。

そういえば統一教会の元信者が"青春を返せ裁判"てのを起こして、ひと時話題になりましたが…この永島作品を思い起こさせる名前の有名裁判が、そんな物なのは腹立たしさすら覚えたものでした。

とにかく短編集、1冊の本としての「青春裁判」
こんなにも短いそれぞれの作品が、その中で訴えてくるメッセージは大事にしたいものです。


さあ行こうか!
どこって……どこか遠くへさ!
俺たちのような者が生きてけるようなところを……
これからさがすのさ!



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  1. 2009/06/18(木) 23:59:59|
  2. 月刊漫画ガロ
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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