大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(78) 永島慎二 14 「少年期たち」

今夜の永島慎二作品は「少年期たち」(朝日ソノラマ刊)です。
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かつてこのサンコミックスの朝日ソノラマが刊行していた、マンガ少年で1970年代後半に連載された作品で、連載ながらそれぞれが独立した話の短編であり、共通するのは主人公が"少年"である事だけ。
"シリーズ青いカモメSIDE③風がとおる道"と題された単行本は全2巻で、合わせて23話が収録されています。
実は"シリーズ赤い風船SIDE①愉しかりし日々"として連載されていた作品も混ざっているのですが、区別は付かないのでまぁ関係ないでしょう。

今回の絵柄はわざと走り書きのようにラフな感じにした少年向けの物で、内容はどれもノスタルジックでかつての"少年たち"…つまり今のおっさん達も、かつて持っていた感情を呼び起こされます。
是非とも読んで、涙して欲しいですね。

少年とノラ犬の交流と別れ、野球が上手で自慢のあんちゃんを持つチビ、鍵ッ子少年の冒険、少しだけ女体を意識したり、怪傑冒険太郎くんの探偵話だとか、バタ屋の息子で"くされ"と呼べれ嫌われてクラスで嫌われている少年の待っていた出会い、宇宙人にさらわれて童貞を奪われた二人の話なんかも…
と他にもいろいろ多種多用で、長さも主人公の年齢にも幅があるのですが、永島慎二先生はよくもこんなに傑作ばかり量産できたものです。

そんな中から特に好きな作品を挙げると・・・・

まずはこれだけ少し暗い雰囲気の、ドラムカンをかぶった乞食とさとる君の交流を描いた「ドラムカン乞食」
安部公房の長編小説「箱男」がヒントになっているのでしょうか。
さとる君が乞食に顔を見せて欲しいと頼むと。
『見せてほしければ ドラムカンをたおせばいい でも いっておくけど
……わたしはおそらく世界で一番みにくい存在だから
……後悔すると思うよ……』

などと言っています。

「とまった時の間」は、小学5年生の時から自殺に興味を持った中学生・目米彦一が、ほんとうに死にたい、死のう!!と思ったその時に小さなエンバンが現れるとその中からユートピア星人が顔を出し、『むかえにきたよカモン!!』なんて言ってきます。
そのエンバンの中で彦一は不思議な話を聞かされるのです。その話の内容がまた面白いものなので、是非とも読んでみてください。

極めつけの名作は「夏休み」で、これは優秀な兄を持って自分は出来が悪いと思われている千平少年が、雑木林で何度かすれ違った事があるだけの老人が倒れて死ぬ所に立ち合い、自分の死体を海に捨てて欲しいと頼まれる話。
約束してしまった千平は、少年ながらどうしたら周りにばれずに出来るかフル回転で考え、実行するのですが…
これが本当にリアルで、作戦を練って何日もかけて少しずつ運んで行くのです。
老人の死体は少しずつ腐って悪臭を放つし、あと一歩の所で警察に捕まってしまいますが、口は割らない。ここからラストまで、完璧です。
少年が腐った老人の死体を運ぶなんて…猟奇的な話に思えますが、悲しさの方が前面に漂う感じになっています。

そんんわけで「少年期たち」・・・これも永島慎二先生の代表作の一つとして、決して忘れてはならないでしょう。


人間…の どくとくの孤独という問題になるよ…
ほかの地球上の生物は すべて孤独なんだけど
その孤独の深さを感じることができない…………
人間はじつはこの孤独によって動いている…
いつでも人間の中心にあって…その人間を支配していることを…我々は知っているのだ……………

ふつうしあわせにきた人が…この線をこえると…死にたくなる
その深さに到達した人間をえらび…
わがユートピア星を見せることで 我々の支配下におき
時代時代の各分野におけるリーダーに仕事をさせてきたのだよ

この孤独にきちんと立ちむかって生きるか…
逃げて…逃げて生きるかは…
これは個人の自由としてみとめてんのよ我々はね…



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  1. 2009/06/26(金) 23:09:56|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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