大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(83) 永島慎二 19 「フーテン」

今夜の永島慎二作品は、まずほとんどの人が真っ先に思い浮かぶであろう代表作「フーテン」(青林堂刊)です。
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あのCOM(虫プロ商事刊)にて1967年から連載された作品で、何度も単行本化されている私小説…ならぬ私漫画ですが、この青林堂の上下巻に分冊された全2巻が一番一般的でしょう。
1967年スタートといえば、その翌年がいくつも抱えて人気を博していた連載を全て休んでアメリカ旅行へ行ってしまった時に重なりますね。もちろん「フーテン」も中断し…
仕切り直しは1969年から、プレイコミック(秋田書店刊)に移って始まります。

主人公は自称児童漫画家の長暇貧治。『ながひまひんじ』と読みまして、そのまま永島慎二の事だと考えて問題ないでしょう。あだ名はハナのダンさん
阿佐ヶ谷で結婚生活をして子供もいたのに『ご家庭とやらにおさまってヌクヌクしている自分に腹がたち』、漫画を描けなくなって家を出て上井草に安アパートを借りたのです。本物のフーテンにもなりきれず、しかし彼らの相談役的な人物として物語の狂言回し役になります。

その長暇と、周りに集まる新宿のフーテンたちを描いた物語が「フーテン」で、これも「漫画家残酷物語」と同じく"シリーズ黄色い涙"

フーテンには定番キャラも1回だけの登場キャラもいますが、個性的なヤツ揃いですね。

いつもスーツながら、フーテン達にまじって仕事始まるまで遊んでるカッコいいサラリーマンが緑川ヒロキ
『みんなフーテン フーテンって さもなにかこう新しいことでもおっぱじめたように考えてるみたいだけど…べつにぼくは新しいことだとも思えないんだな
遠いむかし西行とか円空なんて人物がいたからね』

とか言ってて、個人的に大好きなヤツ。

新宿のフーテン仲間たちの有名人はコート氏
両親によって人生の目標と設定された東大に入ってしまうと、自分の人生がそこで終わったような気がして…その時から自分のために生きる事にした、味わい深い人物。

1話完結の長暇貧治がほとんど登場しない話では、ダイこと村上大吾を描いた暗い劇画タッチの話が好きで、若い苛立ち、どうにもならない気持ちなんかも表現した傑作です。

若者たちの他にも大会社の社長がからんできたり、もちろん女の子も出てくる青春群像。
最終話は芸術色の強い、集大成的な無言劇で終わるのですが…どうやらこれも本当の完結ではなく、「フーテン」は未完のまま連載終了した、という事になっているようです。
ほとんどが1話完結の連作形式なので問題ありませんが。
ただ、まだ続くのならもっともっと長暇貧治や他のフーテン達の物語を読みたかった。

ちなみに、単行本収録作の中で「はたちの夜」「漂流者たち」、そして「青春裁判」にも収録されている「星の降った夜」はそれぞれ傑作ではありますが、この3話はフーテンがテーマの話だから同シリーズへ入れたようなのですが、本来は連作「フーテン」とは関係ない話のようです。

近年まんだらけ出版より、編集にこだわった完全版的な「フーテン」が上梓されましたね。
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ここでは作品発表順の収録…とか、さすがのこだわりもともかくとして、とにかく「残光」と題された「フーテン」の後日談、長暇貧治の十年後が描かれた貴重な作品を収録しているのが凄い!!
これは1975年にマイナー誌でひっそりと掲載された作品だったのです。

個人的にはこちらのちくま文庫版、これを10代の時に初めて買って衝撃を受け何度も読み返したため、一番深い思い入れはあるのですけどね。
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悲しい話が多いし、時に胸が痛くもなりますが・・・・今夜は泣いて寝ましょう。


都会はいい……
本当に孤独になれるところだ………



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  1. 2009/07/09(木) 23:24:57|
  2. 月刊漫画ガロ
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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