大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(49) 石森章太郎 39 「番長惑星」

今夜の石森章太郎作品は、「番長惑星」(秋田書店刊)です。
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1975年から一年と少し週刊少年チャンピオンにて掲載された作品で、単行本は全5巻。

既に紹介した「リュウの道」「原始少年リュウ」から続く"リュウ三部作"の最後を飾る作品ですが、舞台となる時代設定はその2作の真ん中に当たる、現代です。
主人公の名前がリュウである事以外には関連性は無いこの三部作ですが…

しかし「番長惑星」というタイトルはどうかと思いますよね。
番長+惑星というミスマッチな単語を合わせた意外さを出したかったのでしょうが、どうしても車田正美先生の「男坂」的な…番長連合が抗争を繰り広げている惑星の図が浮かんできてしまうではないですか。
なのに実際は番長、不良やケンカの漫画ではない純然たるSFです。

星城中学校の生徒であるリュウこと等々力竜が、稲荷神社の大木に開いてる穴からパラレルワールド(多重世界)へ入り込んでしまう…
その日からリュウはそっくり同じ地球、同じ日本でありながら時間と空間のズレた世界で生活する事になるのですが、実はその世界はいろんな面で違っていて、殺人許可証の持ち主は許可さえあれば殺人もできるし、警官は全てロボット、動物や乗り物なんかも違う。
ポルノは解禁されていて、カップルは街中でキス…どころかセックスすら平気でしています!

しかもリュウはこの世界にいたリュウと合体して、力も倍になったようです。意識や記憶は元いた世界のリュウの部分が生きているのですが。
強いだけでなく勇敢で正義感も強く、"リュウ三部作"の他2作と比べてひょうきんでもあるリュウは、こちらの世界でもいろんな出会いがあり仲間を増やしていきます。同時に娯楽色が確実に一番強いですね。

唯一前の世界でもいたのは、頭のいいハカセこと左巻ツトム。
爆弾作りの名手のバクダンこと伴太郎。
傷だらけの顔したツギハギこと五井四狼は、同じ石森章太郎先生の代表作「サイボーグ009」におけるアルベルト・ハインリヒ(004)のように身体の大部分を機械化してマシンガン等の様々な武器を内蔵していて、やはり性格も渋い。
他にも逃げ足の哲こと富田哲朗、葉巻くわえてるネズミ、片目のオカマでカタメ等、仲間達が個性的でいいです!

基本的に1話完結の連作なのですが、「リュウとドラゴン」という話ではいきなり扉がブルース・リー(BRUCE LEE)なのが嬉しいです。
ここではブロース竜(ドラゴン)という負け知らずの決闘男が登場して、当然ヌンチャクも使うカンフーの達人。
『あっちの世界にブルース・リーという男がいたんだ…!
空手使いあがりの映画スターなんだが…顔がそっくりなんだよ!もっともその男は もう死んでるがな
…こっちとあっちには すこしずつのズレがある
なまえや運命はちがうが……あのブロース竜はあっちではブルース・リーなのかもしれないな』

とはリュウの談ですが、その後二人は対決して…結果としてリュウが始めて殺人をする事になります。
こちらの世界では許可証があれば殺人してもいい事になっていますが、そんな事は関係なく傷付いて落ち込むリュウでした。

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そのうちにこちらの世界を支配しているらしい"影(シャドウ)"という正体不明の存在に気付いたリュウは、その正体を暴いて倒して自由を取り戻すという目的を持ち、それから「番長惑星」はいかにもな少年漫画の展開に変わって長編が増えていくのです。

同じくシャドウを倒すべく活動しているゲリラ組織の"サンシャイン"と協力し、戦いのスケールも大きくなっていき…
こちらの世界の両親はあっさり殺されちゃいました。
最初は悩んでいたリュウも、もう普通に人を殺しまくってますよ!!

「番長惑星」はリュウの周りに美人が多く登場して、ヒロインを特定しにくいのも特筆すべきでしょうが、パンチラやヌードにラブシーンまであったのはスケバン転校生のポルノちゃんこと秋津久美。
何と彼女はアトランチスに住んでた"マヤ一族"の末裔で、シャドウに追われて地底に隠れ住んでいるのです。
彼女によって超能力にも覚醒したリュウは、ますます力を増して怖いくらいです。

次々と強力な仲間も増えてきたリュウですが、極め付けはシャドウから逃げ出して天魔城に立てこもっていた反乱ロボット兵三千体の集団でしょうか。
シャドウ側にとっても脅威の力を付けたリュウの一族とのアーマゲドン(最終決戦)が、いよいよ開始されます…

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本編の最後を飾る話でもあり単行本1冊とちょっとかけた"アーマゲドン"の章では、イースター島のモアイ、ナスカの地上絵やインカ帝国、バミューダトライアングルにピラミッド…
それらの石森章太郎先生が大好きな地球に残る不思議な超古代文明を題材にして、独自の推理や空想を交えた展開で戦いを描きます。
1970年代はオカルト、UFOや超能力なんかもブームだったのでそれらを題材にした作品もとにかく多い。いい時代だったんですよね。

ピラミッドの中で全ての謎が解け、シャドウの正体や人類の行く道も分かって力も与えられたリュウ…その姿は学生服ですが、悟りを開いて神のようになっていますね。
その大きな謎の答えがまた壮大な話なのですが、ここでは明記せずにおきます(理屈がややこしいし)。

もっともっとリュウやその仲間達の活躍は見たかったのですが…最後はあっさりしています。
とにかくリュウが元々いた世界に帰って、こちらではまだ生きている両親に会いに家の玄関へ向かって終わるラストはなかなか泣かせるではないですか。
読んでいて面白い上に、古代文明その他いろんな事に興味を持つきっかけにもなる古き良き少年漫画であり、個人的な思い入れも深い「番長惑星」でした。


…オレはこわい……
オレは…生きてゆくには"愛"も必要だと思うのに…………
オレの目ざめた もうひとつの心は…………
闘うことをよろこんでいる……!!



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  1. 2009/07/23(木) 23:45:01|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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