大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

日野日出志(52) 「私家版 今昔物語」

今夜は日野日出志先生の「私家版 今昔物語」(新潮社刊)です。
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「今昔物語」といえばもちろんあの平安時代の怪奇・幽玄な説話集なのですが、それを題材にして日野日出志先生が自分なりに『咀嚼し、まったく新たな世界を描いてみた』という作品集で、6編が収録されています。
同じく「今昔物語」を題材にした映画「アギ 鬼神の怒り」で美術デザインを担当した事もあり、元々時代劇に傾倒する日野先生ですので、この世界に違和感は全くありません。

ただスプラッター要素を最大の見物にしながらも、単にそれだけでは終わらずに人間の愚かさや醜さ、弱者の悲しみなんかを描いた日野日出志先生らしい世界ではあるのですが、これは1991年…イマイチ凄味が無くなっている時期に描かれた作品ですので、正直物足りない部分が目立ちます。
もちろん私のように、全作品を集めなくてはならない使命を勝手に持つファンには必需品ですが、まぁこれから読んでみたいという人には、あえて薦められるものではないでしょう。

「第弐話 雨の章 蛇小町鱗怪談」に見られる、娘に手を出した男の両手両足を切り落として物置小屋に放り込み、
『下郎め 日頃の恩を忘れ仇で返すとは!! 犬畜生にも劣るやつ!!
そこでじわじわと虫ケラのように死んでゆくがいい!!』

と言い放つ父親の話が好きですが…
何とこの男、自分の両手両足を食べて生き延びて、不思議な力で復讐を遂げるのですからね。

他の話もなかなかですし、絵の魅力もそれはあるのですが、やはり初期日野日出志のような鬼気迫る迫力は感じられないのです。
本書のあとがきで日野先生自らホラー漫画家としてレッテルを貼られる事を良しとしない事や、どうせ満足に食える商売ではないので本当にやりたいことだけをやっていきたい旨を書いていますのでね、その突破口になったのだとしたら日野日出志史において重要な意味を持つ作品、という事になるのですが…


人の心は こうもたやすく変わるものなのか…………
お前さま お怨み申しますぞ……!!



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  1. 2009/08/06(木) 23:04:18|
  2. 日野日出志
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

>Re ネットだから見せれる

>さゆさま

私も、ネットだから見せれる自分だらけです。
そもそも、こんな漫画の話を会社やそこらで会う誰が興味を持つというのか!!
  1. 2009/08/15(土) 00:30:13 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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