大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

梶原一騎(40) 石井いさみ 3 「野獣の弟」

今夜は梶原一騎原作、石井いさみ絵による「野獣の弟」(立風書房刊)です。
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1970年にスタートして中一コース中ニコースにて掲載された作品で単行本は全2巻、『青春編』『怒涛編』と別れた野球漫画です。

日本の漫画史にあまりにも多大な影響を残した偉大なる梶原一騎先生ですが、長らく絶版のまま復刻されていない作品はいくつもあります
しかも誰からも復刻を望む声は上がらず、完全に忘れ去られている作品も…
今回の「野獣の弟」も、そんな一つと言えるでしょう。
確かに傑作とは呼べない内容ですが、梶原一騎作品だと愛情数十%アップして読んでしまう私にとっては大事な作品なのですが。

まず絵の担当が梶原一騎先生と交流が深かった、そして自身も後に売れっ子漫画家になる石井いさみ先生ですが、この時はまだまだ下手くそであり、構成力が弱くて出てきたキャラも生かしきれずにすぐ消えるし、そもそも主人公の性格すらイマイチつかめないし絵柄がころころ変わる始末ですよ。
それでも男気や根性の尊さを学べるし、トンデモ漫画としても突っ込み所満載なので、そこらへんを楽しんでもらいたい。


昭和四十五年のある日…巨人軍の長島茂雄が多摩川グラウンドでトレーニングしていると、ありあえない事に赤ちゃんが一人でハイハイして『ながちまあ~』などと、ばぶばぶ言いながらグラウンドに入ってきて、長島の打球が直撃しそうになったその時!
続けて突如現れた少年が素手で球を捕球して赤ちゃんを助けるのです。この男こそが本作の主人公・海童猛巳

海童はお礼ならプロのピッチャーのタマをじかに打席に立って対面してみたいと、勝負を申し込むのですが、期待させといてその勝負の結果は手も足も出ない無様な三振。
赤ハジさらして逃げていった海童ですが、ただ一人…長島茂雄は彼のメチャクチャなフォームの中から恐るべき野獣の臭い、限りなき可能性を嗅いだと、自宅にまで連れ帰って秘密計画を打ち明けるのです。
曰く海童猛巳は長島と同類の野獣…つまり野獣の弟であるというわけで、巨人軍が今後も勝ち続けていくために必要になる長島の後継者に仕立て上げる、そんなストーリー。

早速長島家の地下室で始まる特訓ですが、心眼を開くために壁の八ヶ所からランダムに出てくるボールを素手で取る事から始まります。
後ろから来るボールも心眼で捕るべく、連日血まみれになりながらや続けた特訓がついに実を結ぶと…次は本場の野球を経験すべくアメリカへ飛びます。
そこでもまたヘンテコな特訓や厳しい生存競争に身を晒されながら、海童は
『日本男児が毛唐やニグロなんぞにへいこらできるかよ!!』
と根性と才能で乗り切り、長島と文通しながら、ついには大リーグのサンフランシスコ・ジャイアンツの一員としてメジャー・デビューしました!

そして野獣の才能を開花させます。
海童が出塁すると本作のヒロイン的な(アメリカ編しか出ませんが)、アメリカ版ウルトラかわい子ちゃん・ドリス曰く、
『さあダイヤモンドがジャングルと化すのね 野獣がとびかかり かみまくるジャングルに!!』
というわけで、実は頭脳プレイも得意な事を見せて大活躍。

そしていよいよ長島から帰国指令が下り、共に伊豆の山ごもりで
『野獣のおきては…かみさくか かみさかれるか ふたつにひとつ
オ オレはかむ…息をしているかぎり かみさくがわにまわってやる』

と、ど根性を見せて最終テストにも合格。
長島茂雄が個人費用で後継者の育成をしていた段階が終わり、ついに川上監督に引き合わされるのです。
さらに海童は巨人の2軍相手のテスト試合で監督のド肝を抜くと、何と実績も無い無名の選手ながら(元大リーガーのはずですが…)2軍を飛び越え1軍の巨人軍選手として出場!
その背番号は4。4は死に通じると誰もが嫌う番号を平然としょいこんだケンカ野球男の誕生です。

見事に長島の期待に答えた野獣の弟・海童猛巳でしたが、中日から大利根豪なる…二軍戦で審判をKOして相手チームの選手十数人と一人で大乱闘を演じた末にその半数を病院送りしたというケンカ狂の投手が海童潰しのために登場し、一度は惨敗を喫します。
しかし野獣はキバのあるかぎり、とどめをささぬかぎりうかつに手を出すと跳ね起きてかみつく!雪辱を果たして、ペナントレースの結果は巨人軍の優勝(この時代はこれで7連覇ですよ!)。
実はこれらの勝負にも、プロ選手が欲を出すとどうなるか、その人間の精神性を描いた部分があって面白いです。

さて実際に作品タイトルの通り野獣の弟に成長した海童猛巳。
これで今作も終了する所ですが…最後にオフシーズンに行われる、対大リーグのオリオールズとの日米親善試合が描かれます。
そこでは日本人がヤンキーとの体力差、パワーの差を見せ付けられる展開になってしまうのですが、野獣のアニキ…長島だけはキバでものを言って実際に打ちます。
とはいえ、この「野獣の弟」連載時は既に34、5歳で体力の衰えが現れてきている時代であり、だからこそ『野獣の後継者』問題に目を付けた作品「野獣の弟」が生まれたわけです。
で、注目の主人公・海童猛巳のオリオールズ相手になる打席、それは作品の最終ページを飾る事にもなるのですが、ここでこそ梶原一騎先生の思想を見せた単なる凡退。

この試合では負けて終わる結果となりましたが、他の梶原で多くみられるような絶望的な敗戦ではなく、今日は負けても次の勝利に続けるべく終わりです。
作中観客のヤジの中にあったように、同原作者の代表作「巨人の星」じゃなくて紳士ジャイアンツらしくもなくガラが悪いから巨人の黒星…そんな海童猛巳の物語でした。


てやんでえ!!
オレの母国の日本は読んで字のごとく日の本 日いずる国だぞっ
先祖代々太陽は神サマなんでえ!!

日本じゃイワシの頭も信心からといってよ 信ずりゃなんでも神サマなんだっ
オレはガキのころから太陽の無限のエネルギーにほれた
だから神にした どこがわるい!!



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  1. 2009/11/18(水) 23:48:53|
  2. 梶原一騎
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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