今夜も
藤子・F・不二雄先生の
『大長編ドラえもんシリーズ』で続けて、
「大長編ドラえもん VOL.11 のび太のドラビアンナイト」(
小学館刊)です。
月刊コロコロコミックにて1990年から翌年まで連載された作品で、タイトルでお分かりの通り今回は
「アラビアンナイト」をモチーフにしています。
夏休みには大冒険を求める
ジャイアンと
スネ夫ですが、
『大むかしの恐竜時代、宇宙のはて、深い海の底、大魔境……。』と、もう小学生にして大抵の所に行っちゃった彼らが今回冒険する舞台として選ばれたのが
「アラビアンナイト」。
つまり正式にはアラビア語の説話物語集
「千夜一夜物語」と呼ばれる超名作で、特に日本で有名な
「シンドバッドの冒険」、そして
「アリババと40人の盗賊」「アラジンと魔法のランプ」あたりも見事に
「ドラえもん」世界と絡んでいるのが嬉しい。
絵本の中に入り込んで、実際にその場でリアルに物語を体験できる
ドラえもんのひみつ道具
『絵本入りこみぐつ』で
のび太と
しずかが遊んでいるうちに、先に出てきたジャイアンとスネ夫がボロボロの絵本ページをバラバラに混ぜてでたらめな世界を作り…
そのせいでしずかが迷子になり、ようやく
「アラビアンナイト」の世界にいるらしいと分かったいつものメンバーが助けに向かいます。
しずかが絵本に入ったままのび太のママが絵本を焼いてしまい、かなりのピンチに陥りますが
「アラビアンナイト」には実在の人物が登場している事から、
『タイムマシン』で現実世界で794年のバグダッドへと旅立つのです。
そこは
ハールーン・アル・ラシード王が統治している時代。
しずかは何と、悪徳奴隷商人・
アブジルの手に落ちて辛い目にあっています。でも読者向けには…ご安心ください、今回は泉で全裸になるシーンもあります。
ドラえもん達は22世紀の時間旅行公社から
ミクジンというガイドロボットを雇ってこの時代に行きますが、彼はドジなようで…でもいい所で活躍してくれました。
今回の敵はしずかを捕らえていたアブジル、そして"サソリ団"の首領・
カシム。
どちらもマヌケな所があって敵としての怖さには欠けますが、カシムにはドラえもんの
四次元ポケットが盗まれてしまうピンチもありました。
その時ののび太、ジャイアン、スネ夫のいい様が面白く、
『ポケットのないドラえもんなんて ただの中古ロボットじゃんか!!』とまで言って、ドラえもんは『そこまでいわなくても……』と泣いてます。
大長編ドラえもんではゲストキャラクターが毎回おなじみですが、
「のび太のドラビアンナイト」中で重要なのは、もちろん一番有名でもある
船乗りシンドバッド。
あの
「シンドバッドの冒険」の主人公ですが、ここで
藤子F先生は思い切ってシンドバッドファンのイメージを壊してます。何と、今作の冒頭にてのび太が絵本で見た彼の姿と大違い、おじいさんになった姿なのです!
それでも王様として黄金宮で暮らして、魔法のコレクションをたくさん持っています。今回はドラえもんのひみつ道具より、あの魔法のランプを始めとしたシンドバッドのコレクションの方が目立つくらいです。
しかしピンチの時には愚痴っぽくなり、駄々っ子のようにわめいたりして…まぁそこは未来の世界で自分が大スターになっていると聞いて奮起する、いいシーンにつながるわけですが。
それにラストは自らの手で黄金宮を乗っ取ったアブジルを倒すし、ドラえもん達の世界を理解して友情も生まれる素晴らしい人物像が見えて、スターの力を見せてくれます。
砂漠で日射病にかかり倒れたのび太を自分も辛いのに体が強い分のび太を背負って歩くジャイアン、そしてアブジルに苛められてる所からしずかを助けて遠い過去世界で涙の対面…等、名シーンも多いし、
「オバケのQ太郎」から
Q太郎が1コマだけ出演しています。
それに夢いっぱいの
「アラビアンナイト」の世界が楽しめるわけで、かなりいい作品といえるでしょう。

↑今回の藤子・F・不二雄先生です。
…と、今まで大長編ドラえもんシリーズを紹介するついでに作者の写真を載せていましたが、見ての通り前作と同じ写真を使い回しています。しかもしばらくずっとこの写真になるので(背景の色だけ変えてますが)、次からここはお休みしましょう。
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- 2010/01/27(水) 23:31:14|
- 藤子不二雄
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