大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(34) 「大長編ドラえもん VOL.12 のび太と雲の王国」

藤子・F・不二雄先生の『大長編ドラえもんシリーズ』、次は「大長編ドラえもん VOL.12 のび太と雲の王国」(小学館刊)です。
FUZIKO-doraemon-vol12.jpg

いつものように月刊コロコロコミックにて1991年から翌年まで掲載されましたが、この第12作目は藤子F先生がガンである事を公表して体調不良のため最後の2回分を残して連載中断し、数年後にドラえもんクラブで描き下ろされたという、いわく付きの作品になりました。
よって単行本は次作にあたる「のび太とブリキの迷宮」よりも後から刊行されたし、連載中のコロコロにおいては藤子F先生の代わりに藤子・F・不二雄プロ制作として『絵物語』で載せてごまかす事となったのです…
藤子制作の絵物語は後に描かれた原作の完結篇と結末は異なるし、こちらの方が今では貴重ですね。

どこかの無人島で暮らす家族3人が光に包まれた謎のUFOに警告を受けて天の底が抜けたような大雨に見舞われる、壮大なオープニングに続いて…
日本の小学校では、授業で先生が雲は大気中の水分が冷えて水の粒となったものだと説明しています。
雲の上には天国があると信じていたのび太ジャイアンスネ夫らに馬鹿にされ、珍しく図書室にこもって天国研究のための資料を集めますが、やはり雲の上にそんなものはないとドラえもんにまで説明付きで断言されて夢が破れてしまいました。

しかし優しいドラえもんは、それなら雲の上に自分で夢の天国、雲の王国を作ろうと提案して手伝ってくれるのです。
『雲かためガス』『雲よせ機』『雲ローラー』等、どんどん出てくるひみつ道具で敷地を広げて行き、工事を早く進めるにはお金が必要とあれば雲の王国を1株100円の株式王国とする事にして、いつものメンバーに声かけて資金集めまでやりました。
スネ夫は300株(3万円)出してくれましたが、あとはしずか1株(100円)、ジャイアン半株(50円)でしたが。
雲で作った王国ながら、ちゃんと山も平原も森も湖などの自然もあり、王宮やレストラン、図書館、ゲームセンター、野球場など、遊び場にも事かかない自分たちだけの秘密の王国…子供の夢を体現した素晴らしい場所だと思います。

ついに完成した雲の王国の建国記念に何をやるかと話し合った時に、ジャイアンが『建国記念ジャイアンリサイタル』をやると地獄の提案をした時、それいにスネ夫が逆らって
『よせよ、くだらない!! なんべんでもいってやる!きみのオンチにはみんながめいわくしているんだ。この国ではぜったいに歌わせないからな!!』
などと命にかかわる発言をする珍しいシーンがありました。これは自分が300株の大株主だから一番偉いと思って出た発言でしたが、その後は『雲の国王冠』をかぶったのび太に助けられるまで可哀想な目に…

さて、雲の王国を完成させたドラえもん一行は、偶然に別の雲の王国を発見した事から今回の冒険につながります。
あれだけ『絶対無い』と言われた雲の上の世界ですが、あっさりと『ある』のです…
それは12の州から成り立つ天上世界で、宇宙の他の星とも広く交流し力のある天上人が住んでいます。
その天上人から今作のヒロインがパルパル。そもそも天上人は地球人(地上人)と同じ種族ですので、人間のカワイ子ちゃんキャラです。

天上世界はソーラーパネルの太陽電池発電等の設備が発達していているエコな世界で、自然に恵まれ、地球上で既に絶滅している動物を多数保護している絶滅動物の保護地区もありますが、その管理員がパルパル。
同じく管理員の男・グリオと共に自然を破壊し公害を垂れ流す地球人を敵視してますが、徐々にドラえもん達の考え方にも理解を示し、後に重要な議会で弁護もしてくれました。

しかし天上人では、自分達の世界にまで多大な被害を及ぼしている地球をこれ以上放ってはおけず、大洪水で地上文明を洗い流して破壊する"ノア計画"の実行を企んでいました!
地球代表のドラえもん達は何とか阻止しようとしますが、何と人口の雷に打たれたドラえもんが故障してしまいます。ドラえもんの故障はこれがシリーズ初ですが、今作では手強い強敵が出ない分このような形でピンチを描いたのでしょう。
壊れたドラえもんのキ○ガイ状態は、なかなか見ものですよ。

もうお分かりの通り、「のび太と雲の王国」は二つ前の「大長編ドラえもん VOL.10 のび太とアニマル惑星」と同じく藤子・F・不二雄先生が憂いる環境問題を告発するメッセージ色の強い作品になっています。
しかもこれまでの集大成作品となっていて、大長編ではない通常の「ドラえもん」原作で登場した懐かしいキャラクター達が多数出てきますよ!

故障が治ったドラえもんは、天上人に洪水をやめさせて地球を守るため『雲もどしガス』を使って脅迫します。『雲かためガス』の逆の効果があるこれを使われたら、雲で出来た王国はひとたまりもありません。
もちろん本当に使うつもりはなく切り札として…つまり現代の地球上における核兵器保有国の理論と同じで、保有する事で戦争を抑止できるという思想ですね。
『力には力だ。話し合おうと思っても天上人とつりあうだけ こっちも強くしないと相手にされないだろ。』
とドラえもんも言っているのですが、ただ逃げるだけで平和だどうだと主張して国際社会でなめられてる日本国民としては耳が痛いですね。

そんな脅しのために作っていた『雲もどしガス』の砲台ですが、ケニアでゾウを密猟していたら天上世界へ吸い上げられた地球の密猟者4人組がドラえもん達の作った雲の王国を乗っ取ったあげくに天上界に発砲して重要な州を一つ破壊してしまいました!
自身のひみつ道具を悪用されて手も足も出なくなったドラえもんが、残された最後の武器である石頭で特攻し、『雲もどしガス』のタンクを壊して雲の王国もろとも悪人を退治すると(ドラえもん2回目の故障!)、その犠牲精神や今まで助ってきた動物らからの援助もあり、天上人はノア計画を中止する決議をしてくれました…

今回の悪役は天上人にはいなくて普通の地球人である密猟者達だけでしたが、環境問題に対するメッセージ色を強くしながらも地球を救う話。
夢の世界や絶滅動物をたくさんと、しずかちゃんのシャワーシーンできわどいヌードも見れて、子供にはとても勉強にもなる傑作ですね。


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  1. 2010/01/31(日) 23:41:03|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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