大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(35) 「みきおとミキオ」

今夜の藤子不二雄作品は、「みきおとミキオ」(小学館刊)です。
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掲載誌は小学館の学習雑誌。学年別に幼稚園向けから小学六年生向けまである、いわゆる『学年誌』で…
1974年の小学四年生、1975年の小学五年生で連載されました。

懐かしいですね、小学○年生。あれは小学三年生を毎年読むとかではなく、自分の学年に合わせて三年生になったら小学三年生を読み、四年生になったら小学四年生を読むわけじゃないですか。ほぼ100パーセント読者ターゲットが絞れるこの雑誌には、漫画も面白い作品がいくつも載っていました。そして、どの学年のにも載っていたのは「ドラえもん」でしょう。
しかも藤子F先生は、それぞれの学年ごとに内容も描き分けた「ドラえもん」を載せていたんですよね。同じ小学生でも学年ごとに違う「ドラえもん」を読んでいたわけです。
『学習』する雑誌という名目では親も認めざるを得ないからいつも堂々と読めて、絶対に藤子不二雄作品を読めた素晴らしい学年誌…思い出すと甘酸っぱい感じです。

今回の「みきおとミキオ」に関しては掲載当時読んでいた人は私よりかなり上の世代になりますが、この時代は今では信じられない事に「ドラえもん」がテレビアニメ化されるも低視聴率のためすぐに打ち切りとなっています。
そのせいで学年誌でも「ドラえもん」を止め、新たに売り出そうと考えて「みきおとミキオ」が連載開始されたのです。しかし「ドラえもん」に未練があった藤子F先生の意向で連載は継続したまま2本同時に学年誌で連載していた所、ついに「ドラえもん」人気に火が付いたため「みきおとミキオ」の方は短期打ち切りとなったそうです。
てんとう虫コミックスの上記単行本には1巻という表記はありますが、2巻以降は存在せず全1巻。

私がもう一種類持っているのは"藤子不二雄ランド"(中央公論社刊)版で、
FUZIKO-mikio-to-mikio2.jpg
てんとう虫コミックス版と同じ話が収録されているこちらには、しっかり全1巻表記もありますね。

いずれも何故か、10年以上前からずっと品切れ状態のままで再発されなかったために軽くレア化していたのですが、つい近年の2006年になって復刻の文庫版が出ちゃいました。
FUZIKO-mikio-to-mikio3.gif
こちらの小学館コロコロ文庫版には、それまで未収録作品だった「ひみつのタイムトンネル」が入り、つまり一番多くの話を読めるようになっています。でもやっぱり文庫版って物欲がそそられないんですけどね…
これでもまだ、連載当時に描かれた作品から残り3話が原稿紛失のため読む事が出来ません。

さて「みきおとミキオ」のストーリーですが、藤子F先生お得意のタイムスリップを利用したSFギャグ漫画です。
主人公は普通の小学生であるみきおで、家に入って勝手にいろんな物をくわえて行ってしまう変な容貌の犬を追って、裏山にある太平洋戦争中に使われていた防空壕まで行き、その中で偶然にタイムトンネルを発見します。
そして100年後の世界へ迷い込むのです。このタイムトンネルは他の時代は無しで100年後の東京に住むミキオ少年の家のベランダのみ、行けます。そして何度でも往復自由。

あの変な犬はミキオの飼い犬・ポンチでした。
そしてミキオ。彼はみきおと瓜二つだった事から定期的に入れ替わり、みきおとミキオ…過去と未来の交換生活をするのです。そしてお互いの世界における常識の違いから来る発見やカルチャーショックを楽しむ、といった展開を1話完結の連作形式で繰り広げるのです。

藤子F先生による連載漫画には付き物の、「ドラえもん」におけるジャイアン(ガキ大将)やスネ夫(その取り巻き)やしずか(ヒロイン)といった役割のキャラ達も登場するのですが、連載自体が短かった事もあり出番は少なく終わってしまいました。
一応名前を書いておくと、現在では
ガキ大将=フグラ、取り巻き=ラッキョ、ヒロイン=ユリ子
未来では
ガキ大将=ブクラ、取り巻き=トンキョ、ヒロイン=マリコ
と、共に名前も顔もそっくりです。彼らは全て子孫だという設定は無いと思うのですが、まぁ偶然という事で…
「みきおとミキオ」は、みきおの未来世界体験ばかりを追っていて、ミキオの過去世界体験についてはほとんど描かれる事がなかったので、その同級生3者達も未来の方がまだ多く出てきます。

さあ、貴方もしっかり描写される100年後の世界を楽しみましょう。まぁSFにおける典型的な未来世界なのですが…
それに連載開始時から数えると既に40年近く経っているため、まだ半分までは行かないけど確実に未来の方へ近づいていますね。
そんな途上の時代にあたる2010年現在の視点から見て、科学は既に超えてると思える所(例えば携帯電話は無い)もありますが、しかしあと60年ちょっとでここまで行かないだろうと思える所(例えば子供の宇宙旅行)等もあり、いろんな想像もしながら読んだら楽しいと思います。

「モジャ公」等、他の藤子F作品と同じように未来人は便利な機械に頼りすぎたために簡単な計算も自分の頭では出来ず、体の力も弱くなっています。
この設定もどうなんですかね…だからこそ、みきおが『盲人の国では片目の男が王様だ』の思想的なスカッとした活躍を見せてくれる場面も生まれたわけですが。

1974年当時の「みきおとミキオ」読者だった小学生は幸運だと思いますが、しかし我々は『未来』描写を楽しむ他に、ここで描かれる既に『過去』になっている『現在』も楽しめるのはよりお得で良いかもしれません。
最も100年間というたかがそれだけの時間でどうこう考えている読者に対し、単行本最後のページでのみきおとマリコの会話はこう、
『おんなじだ!百年前の日の出とちっともかわりない。』
『かわるわけないでしょう。人間の歴史がはじまった五千年前から……いえ、何十億年もむかしから太陽は同じように輝いていたのよ。』
『そうだね。宇宙の歴史から見れば人間なんて、まだ赤ちゃんなんだね。
そして、これからあとの歴史は、ぼくらがこの手でつくっていくんだよね。』

そう言って細かい事にチマチマ悩む現代人を壮大なスケールで反省させてくれます。
未来が…いや今でも既に科学力を得ると同時に失った貴重な物を考え、人類としてこの後どう進んでいくのか考えてみましょう。

絵柄も可愛い「みきおとミキオ」。ここでは細かく1つ1つのエピソードを語ってはいられませんが、藤子F先生の様式美あふれる面白くて心も温まる作品ばかりですので、読んでみてくださいね。



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  1. 2010/02/05(金) 23:16:25|
  2. 藤子不二雄
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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