藤子・F・不二雄先生の『大長編ドラえもん』シリーズ。続きは
「大長編ドラえもん Vol.22 のび太とロボット王国」(
小学館刊)です。

もちろん今回も
藤子・F・不二雄プロによって漫画化され、2002年の
月刊コロコロコミックで掲載されました。
『王国』は『キングダム』と読みます。
シリーズ全体に言える事ですが、タイトルとオープニングでほとんど今回は何が題材に使われるのか、分かりますよね。
いつもの空き地で遊ぶ
のび太、
しずか、
ジャイアン、
スネ夫…って、これだけ毎回毎回一緒だと彼らは一体どれだけ仲良しなんだとか他に友達はいないのかとか思ってしまいますが、とにかく今回はですね、スネ夫そっくりの犬型ペットロボット・アソボを自慢されたのび太もペットロボットを欲しがる。
つまり
「のび太とロボット王国」ではロボットがメインの題材になります。そう、過去に何度か使われている題材だけに目新しさはゼロですね。それだけロボットは人気が高いのかもしれませんし、そもそもこの近年の作品から観始めている子供向けに作っているから良い、と言われるかもしれません。
加えてこれもアニメ映画版の製作者が原作にもかなり関わっているのでしょう。
藤子・F・不二雄色が薄いのですが、これも時代の流れです。
さてさて、ドラえもんという未来の『ネコ型ロボット』がいるにも関わらず今更現代のペットロボットなどを欲しがるダメなのび太は、"未来デパート"から勝手にロボットを注文してしまうのですが…その数100体!
ロボット達は大騒動を起こした後ですぐに返品されてしまいますが、100体もいるそのロボットの中には何と、
「21エモン」のキャラクターである芋掘りロボットの
ゴンスケがいてセリフもありますし、他に
「キテレツ大百科」の
コロ助、
「パーマン」の
Pマン、そして
「オバケのQ太郎」の
Q太郎と
O次郎…をロボットにしたような奴が登場しているのを確認できます。
こんな所でちゃんと古い
藤子不二雄ファンも喜ばせてくれるのは、にくい演出ですね。そのわりにはしずちゃんの入浴シーンが、またも入れられてませんが…
ただ彼らは重要ではなく、あくまでサービス場面だったわけですが、紛れ込んでのび太の部屋に来てしまい、100体のロボットが返品された後も1体だけ残ってしまったロボットがいます。
それは少年型のロボット・
ポコ。壊れかけているのですが、調べてみたら地球のロボットではない。そこでドラえもん達は『なおすにはこの子が作られた世界へ行くしかない』と、彼を連れ帰すべく
『タイムマシン』に
『時空間ナビ』を装備して彼の来た道をたどり、超空間を旅するのでした。
その際に超空間内で謎のロボットに襲われ、戦闘に使えそうな
ひみつ道具をほとんど落としてしまいますが、何とか
『ペタンコアイロン』で撃退してたどり着いたのがポコがいた世界。物語の主要な舞台となり、地球から遠く離れた異星かつ恐らくは未来に存在する
"ロボット王国"です!
高度に発達した科学を誇るこの王国では、人間と感情を持つロボット達が仲良く共存する社会を実現していたのですが、
ジャンヌ女王の代より悪法
『ロボット改造計画』が実施され、次々とロボットの感情が抜き取られていく。
壊されかけて超空間へ逃れてきたポコも、ジャンヌ女王の手先である
ドロイド兵から逃げる途中だったのですね。しかもジャンヌの幼少時代から遊び相手として弟のように育っていたのですが…
ロボット王国でドラえもんまで『未処理ロボット』としてドロイド兵に捕らえられてしまい、
"鋼鉄バトル"なる、金持ちが自分の格闘ロボットを闘わせるゲームに参加させられる事となるのですが、その舞台となる闘技場はローマのコロッセオのような、いやもっとカッコよくして外壁を巨大ロボ数体が囲うデザインの円形闘技場でして、これはいいですね~。
ドラえもんが闘う相手は
コングファイターという300戦無敗の相手ですが、これを
『時限バカ弾』『たつまきストロー』『くすぐりノミ』という手持ちのひみつ道具で何とか撃退。
そのうちにロボット王国でジャンヌ女王にロボット改造命令を実行するようそそのかしたのは
デスター司令官だと分かり、さらにはジャンヌを片付けて自身が王位に就く野望が実行させられますが、ドラえもん達はデスターと最終兵器の…何と王の住む"ドロイド宮"自身が動き出した巨大ロボを倒す事が出来るのか!?
ちなみに
チャペック博士という人間でロボット専門の医者、また発明家である重要人物がいるのですが、当然ながら彼の名前の由来はチェコの作家
カレル・チャペックでしょう。『ロボット』という言葉を作ったと人物として知られていますが、今更この役割でこの名前とは…ちょっと恥ずかしい。
藤子・F・不二雄先生亡き後に、ロボット物なら
「のび太と鉄人兵団」、いやせめて
「のび太とブリキの迷宮」クラスの作品を期待するのも酷なのかもしれませんが、今作
「のび太とロボット王国」にはどうにも熱い物が足りないんですよね…
一時期凄かった『大長編ドラえもん』シリーズのメッセージ色ですが、この時代にはすっかり薄っぺらいものになっています。穿った読み方をすればドラえもん達は、他世界の問題に勝手に憤り武力で解決してしまう…そんな自分達の立場の『正義』を名乗り押し付ける現代アメリカ合衆国賛美みたいな物語とも読めますが、いやそれはあんまりか。
そんな事はともかく、藤子F先生が亡くなってしずちゃんの入浴シーンも無くしてしまった藤子・F・不二雄プロのスタッフは何を考えているんでしょうか。それでいいと思っているのでしょうか。藤子F先生から一体何を教わってきたのでしょうか。
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- 2010/05/12(水) 23:04:06|
- 藤子不二雄
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