大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(62) 古賀新一 7 「エコエコアザラク」

今夜は古賀新一先生の「エコエコアザラク」(秋田書店刊)です。
KOGA-ekoekoazarak1-2.jpg
KOGA-ekoekoazarak3-4.jpg
週刊少年チャンピオンにて1975年から1979年まで連載された、言わずと知れたロングセラーの名作で、単行本は全19巻。
古賀新一先生の代表作であるだけでなく、チャンピオンを語る上でも必ず登場し、かつての同誌黄金時代を支えた作品ですね。

1980年代に入って月刊少年チャンピオン「魔女黒井ミサ」、1990年代に入ってサスペリア「エコエコアザラク II」と続編も連載してますし、何と2000年代には…昨年(2009年)にも週刊少年チャンピオンで読切ながら新作が掲載されました。
古賀新一先生が生きている限り、主人公の黒井ミサはライフワークとして描かれ続ける事でしょう。

これを原作として映画が数本作られ、
KOGA-ekoekoazarak-cinema1.jpg

テレビドラマにまでなっている上に、近年"画ニメ"という静止画とアニメ映像が融合したような実験的作品では古賀新一先生自ら脚本まで担当してOVA販売もする等、漫画以外でも黒井ミサを観る機会は多くなっています。
関連作としては、こちらも異色…1992年に出たCD「sound story of エコエコアザラク」
KOGA-ekoekoazarak-cd1.jpg

ブックレットにはこういう黒井ミサのイラストが、カラーでたくさん載っているのでファンにはたまりません。
KOGA-ekoekoazarak-cd2.jpg

PC98のゲームソフトで使われたBGM集なのですが、桂木亜沙美が歌うテーマソングは漫画のイメージと違って変に明るいしアイドル歌謡丸出しで、かつては疑問に思っていましたが...何だかんだ、今ではこの『エコエコアザラク~愛のテーマ~』が一番頭に浮かぶエコエコな曲かも。その他、音楽とドラマが収録されています。
KOGA-ekoekoazarak-cd3.jpg

そんな様々なジャンルで描かれる本作品ですが、今回は漫画、それも最初の「エコエコアザラク」だけについて書きす。
KOGA-ekoekoazarak5-6.jpg

まだ15歳の美少女・黒井ミサは、幼い頃に悪魔に魂を売った黒魔術の魔女。
(作中ずっと漢字にはふりがなが付いていますが、『黒魔術』は『こくまじゅつ』です。よって「エコエコアザラク」読者は決して『くろまじゅつ』とは読みません)
そのミサが行く所、常に心の闇の部分が爆発しそうな人々がいて、怪奇事件が起きていく…
凄い事に一話完結の読みきり短編で続く連作形式で、単行本1冊に10話が収録されています。
毎回毎回見所があるから、本当は「エコエコアザラク」専門のブログでも作って全話について語りたいくらいですよ。

毎度の話の締め括りは、ミサが転がる死体などを背に
エコエコアザラク エコエコザメラク
の描き文字と共に去るのがおきまりのパターンでした。
タイトルにもなっているくらいで毎回使われる、そのエコエコアザラク…に始まる呪文は、古賀新一先生の創作というわけではなく、『バスク語に由来する魔女宗の典礼聖歌の一つ』なんだそうです。
他にもいくつもの呪文が出てきますが、全て実在の魔術儀式で使われている物だと言われています。
あと毎回の黒魔術に関わる怪しい扉絵が、漫画というより絵画とかイラストですがとにかくカッコいい。

第1話では暗い辻に机を置く怖ろしい占い師として登場していますが、第2話ではある学校に来た転校生で、その後も学校を舞台にした話が多く、学園ホラー物の要素が色濃くなっています。
頻繁に引っ越しているようで自宅も何度も変わっているし(庭でトラを飼っていたり)、転校して来るシーンは無くとも毎度違う学校が舞台だと考えて良いでしょう。当然同じ同級生は話をまたいで登場したりしません。

ミサは占い師以外のアルバイトをしている事もありますが、代表的な物では魔法医学について研究している魔法病院の"黒井医院"でしている看護婦でしょうか。
おっと少女漫画雑誌プリンセスの漫画賞に入選して「魔女の呪い」という作品でデビューした、漫画家としての顔もありました!街で恐怖絵を売ってる回もあったので、絵の技能はそうとうな物でしょう。
ビアガーデンや劇場などでやってた魔術のショーなんかは、正に最大の特技を生かした物ですけどね。

KOGA-ekoekoazarak7-8.jpg
そんな黒井ミサの両親の存在も気になる所ですね。二人の名は臣夫奈々子
かつてアメリカで魔術師として有名で、邪悪の世の中に立ち向かうためにあらゆる国々の術を会得し、しかし最後に残った不死身術を覚えるためにエクアドルの奥地へ行ったあげく自ら犠牲になって魔法実験をし、人形のようなサイズになってしまった…
それもかなり怖い顔ですが、ずっと後にミサが強い魔力、そして深い悲しみと耐えられない気持ちを持った時に魔女の踊りで悪魔ルキフェルを呼び出して祈り、普通の人間の姿に戻しました。
他に田舎に住む祖母もいて、小太りで魔術とは無縁な普通の人だと思います。

KOGA-ekoekoazarak9-10.jpg
ところでミサは、可愛い女の子なのに何度も男から全力で殴られたりしています。時には素っ裸にひん剥かれたりも…そんな自分(または好意を持つ人など)に害をなす人間に対しては、漫画の主人公…しかも女の子としては異例なほど残忍な性格を発揮して平気で惨殺します!皆殺しにして去る魔女!
・・・・だったのですが、回を重ねるにつれ段々性格が明るくなり、可愛らしさもアピールされてきました。何しろ多数の人間を殺している魔女のくせに、今更幽霊屋敷だとかを怖がったり、学校帰りに道草して喫茶店のウインドからチョコレートパフェ見てヨダレ垂らしたりしてますから。
話自体もギャグ路線かと思える物が増えてきて、ついには『コメディー・シリーズ』なんて開き直ったのも始まったり。

一話完結のストーリーを作り続ける読み切り連載だから、それは苦労も多かったでしょう。
その分バリエーションが豊富で、ただの狂言回しの役割で物語を外から覗いていてる話もあったり、花売り姿で『夢を売る女』というのを演じていたり…

ただのイジメられっ子を助けるだけの話なんかもありましたが、「エコエコアザラク」自体が同誌で少し前に連載していた藤子不二雄先生の「魔太郎がくる!!」の影響はあると思います。連載の形式も、最後は黒魔術使ってけりを付ける所も同じだし。

基本的に作中唯一無二といえる魔女・黒井ミサですが、学校の理科の先生が魔術を悪用していて魔術対決のようになる話もありました。
ちょうど連載中に『悪魔の子』をモチーフにした映画「オーメン」が公開された時は、クラスメートと観に行く話もあったり…あれ、でも作中出てきたこんなシーンは実際の映画には無かったぞ。
全然勝てない力士のために降魔術で悪魔を召喚し、魔方円を土俵に見立てて相撲の稽古させたり、3歳の時にイギリスの郊外にある幽霊城で黒魔術の修練を積んでいた過去が分かったりもします。
体に犬の顔がある、年に一度悪魔に子供の魂を捧げなくてはならない、といった怖ろしい設定は一回しか出てきませんでしたね。

KOGA-ekoekoazarak11-12.jpg
KOGA-ekoekoazarak13-14.jpg
黒井ミサ・・・私も含めですが、恐らく当時の読者も学校やクラスメートに疎外感を持っていたはみだし者なら憧れるに違いない、しかし現実には存在しない理想の女性ではないでしょうか。
普通の学校ではオタク女子で顔も可愛く、そういう男にも気にかけてくれる人はいないでしょうから。
いや、今だと可愛いのに目立つグループに入らないオタクとかいるらしいですけどね。
10年前にはいなかった『ゴスロリちゃん』など可愛い子もいるように思いますが、黒マントに黒ブーツで魔術まで使うミサは正にゴス。時代がミサに近づいてきた…

現実の話はともかく、漫画の中ではどうでしょう。
今までの日本漫画史において、様々な素晴らしいヒロインが生まれてきました。
しずかちゃんとか朝倉南とかの可愛い系ヒロインや、強く元気なバトルヒロイン系でも如月ハニー、峰不二子、則巻アラレ、ラムちゃん、猪熊柔…
他にもまだまだ何人も出てきそうですね。知名度は低いながら個人的な思い入れのあるマイナー作品のヒロインだってたくさんいますが、それら全てをひっくるめても私にとっての一番は黒井ミサ。

一応魔術を使う所で共通する『魔女っ子』たち…夢野サリー、鏡厚子(アッコ)、神崎メグ、佐倉魔美、誰が束になってもミサにはかなわないとまで個人的に思い入れてしまうのは、シンデレラストーリーなどとは対照的な所、使い方で活躍するダークヒロインだからでしょうね。後半はちょっと正義の味方的なスタンスが出てきてしまいますが、それでもサリー達のようにお子様がニコニコして見れる物ではありません。

黒魔術を使うときにマントの下の全裸の姿を披露したり、スケ番達を壊滅するためごときでクラスの真面目な男子達と一緒に体育館で全裸になって術を使ったり…ちょっとエッチな姿を見せてくれるのは歓迎しますが、そんな男達にも見られてると思うと嫉妬にも似た感情が湧きあがるのでした。
それほど好きだという事ですが、性格は回(時期)によってコロコロ変わるからキャラクターとして掴みにくいかな。

そんなミサが憧れる男子は気になる所。
結局は一般の女子と同じくスポーツの出来るクラスの人気者だったり、明るくてカッコいい先生だったりして悔しい思いをする事になるんですけどね…

KOGA-ekoekoazarak15-16.jpg
KOGA-ekoekoazarak17-18.jpg
読み切りで続く「エコエコアザラク」のストーリーは上手い物も正直くだらない物もあります。
ホラー漫画として語られはしますが、単純に怖さだけを前面に押し出した作品ではありません。どんでん返しの妙を楽しんだり、ほのぼのしちゃったり…いろいろですが、黒井ミサちゃんを拝めるだけで嬉しい、そんな作品です。

あと「エコエコアザラク」を読むと黒魔術に関する知識も豊富になりますよ。古賀新一先生にしては珍しくいろんな魔術に関する資料を基にしてリアルに描いてますから。

KOGA-ekoekoazarak19.jpg
約4年間続いた連載でしたが悲しい事に19巻目で最後です。この巻だけ9話の収録で、巻末に黒井ミサとは関係ない傑作ホラー短編「人くい一族」が収録されています。

「エコエコアザラク」の方は単行本だと最終回が「雪降る夜の終電車」になっていますが、実は雑誌掲載時は「幻の客人」で終わっています。
どちらもはっきり最後だと分かるような内容でなく通常通りの読み切りですが、後者はミサがただの狂言回しの役割だった話だから入れ替えたのかな。まぁどちらでも良いと思います。
完全な最終回が描かれなかったから、後に続編をやりやすくなったのかもしれません。とにかく次のミサの活躍に期待して、終わりです。


そうよ わたしが真犯人さ
人間のクズは片っぱしから消していくのさ うふふふふ…………

エコエコアザラク エコエコザメラク



スポンサーサイト
  1. 2010/07/31(土) 23:51:13|
  2. ホラー漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<ホラー漫画(63) 古賀新一 8 「魔女 黒井ミサ」「魔女 黒井ミサ2」 | ホーム | 旅行・紀行・街(86) 東京都府中市 1 多磨霊園>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/919-c89c8c61
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する