大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(20) 「手塚治虫 THE BEST 11 白縫」

乗りかかった船で…『手塚治虫 THE BEST』シリーズの全20巻は紹介しなくてはなりません。続きの11巻目は、「白縫」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best11.jpg
このシリーズの刊行が始まった1998年から注目していて、それはもう子供の頃から一番なじみのあるJC(ジャンプ・コミックス)で1960~70'sのを中心とした手塚治虫作品が読めるのは大変喜ばしい事でしたが、THE BESTを名乗りながら出てくるタイトルがマニアックすぎてだんだん複雑な心境になったものでした。
マーケティングにとらわれないラインナップは良いのですが…これは知られざる傑作を世に広めたいというのなら大賛成も出来ますが、何しろTHE BEST!どんな読者がターゲットなのか不明ですが、さすがは天下の集英社。

今回の11巻は4編を収録した短編集で、掲載誌と発表年は
「白縫」・・・・週刊少年ジャンプ、1971年。
「7日の恐怖」・・・・デラックス少年サンデー、1969年。
「コラープス」・・・・週刊少年ジャンプ、1971年。
「はるかなる星」・・・・週刊少年ジャンプ、1973年。
以上です。
わわっ、またも「7日の恐怖」以外の3作を読み切り短編の連作「ライオンブックス」シリーズで攻めてきましたね。
内容は、環境破壊・戦争・未来のロボット社会…なるほど今回選択されたテーマは、『人間の愚かさ』といった所でしょうか。


「白縫」は、都会へ出て勉強している学生の稲垣伸二が、郷土研究の提出の課題ために久しぶりに沖中の海へ帰省する所から始まります。
その沖中には、熊本の不知火ほど有名ではないけど同じように、海辺で蜃気楼現象で見える謎の火があって、その名も白縫(読みは同じ『しらぬい』)。しかし故郷は『開発』によって海は埋め立てられ、当然環境は破壊されて海岸も浜も竹やぶもそっくり無くなり、同級生はいなくなっていた…
どこにでもある空港や高級住宅地や歓楽街なんかを作るために白縫の火も見えなくなっていましたが、何とその開発を進めているのが実の兄でした。
伸二は兄の計画に反対して立ち向かい、出会った不思議な女の子と交流する。あ、海の形見とも言える残った入江で彼女と遊ぶシーンがあるのですが、その少女(幼女)は全裸になっていますヨ、旦那!またこの少女が可愛いのです。
ラストには少女の正体の謎が分かり、無理な開発をする人間達には自然界からの復讐によるカタルシスが待っています。

「7日の恐怖」は、大林三郎という少年がいつも通り目覚めたら自分の部屋以外が『無』になっていた…奇想モノのSF短編。
7日間で部屋の周りの世界が創られていく、その様は「創世記」と同じ。そして造物主と出会って問答し、消される事となって逃げる三郎の運命はいかに!?
人間は愚かな戦争は止めて、他人を殺したり嘘をついたり欲深く生きたりしてはいけませんよ、うん。

「コラープス」は古代の戦記物。
ニキアス将軍と女奴隷の最後に生まれたロマンスと、家族愛のような物も描いているのですが、女奴隷にされたヘラの弟・サランが、先祖の神でる"オーディン"に祈り家を焼かれて父を殺された復讐を誓うと、与えられたネズミを使って全てを喰い尽くすのです。それは敵味方の区別もなく、実の姉も無残にも骨だけの姿になるまで。

最後の「はるかなる星」は、打って変わって未来が舞台。
厳しい環境のため脳髄をロボット体に移植(肉体は電子頭脳をはめこんで保存)している火星開拓士・大和路明は、自分の本当の肉体が電子頭脳に乗っ取られた上に地球へ逃げたと知らされ、見かけはロボットの姿のままで追うのですが…
人間より強い『愛』の感情を持った電子頭脳の、ちょっと悲しい話になるのでした。


え 神様 ひどいじゃないか……
人間はひとり残らず消えちまうほど………
どうしようもなくなっていたとは思えないよっ
もう一度だけ……
もう一度だけ時間を もとの世界へもどしてみてくれよ
人間には…希望があるよ
それでもしどうかなっちまったら
今度こそ思いきって世界をつくりかえていいから…



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  1. 2010/07/10(土) 23:35:33|
  2. 手塚治虫
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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