大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(22) 「手塚治虫 THE BEST 13 低俗天使」

JC(ジャンプ・コミックス)の『手塚治虫 THE BEST』シリーズ、13巻目は「低俗天使」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best13.jpg

13巻は4編を収録した短編集で、掲載誌と発表年は
「低俗天使」・・・・週刊少年ジャンプ、1975年。
「ブタのヘソのセレナーデ」・・・・週刊少年ジャンプ、1971年。
「月と狼たち」・・・・週刊少年ジャンプ、1972年。
「奇動館」・・・・週刊少年ジャンプ、1973年。
と、全部1970年代初頭のジャンプで掲載された作品でした。

今回は舞台の時代設定が現代でない…もしくは登場人物で別の時代から来た者が出る作品で選択されています。そして、戦争だったり人間の愚かな争いを反対するメッセージも込められています。
表題作以外は全て、読み切り短編の連作「ライオンブックス」シリーズとして発表された作品。


まず「低俗天使」はベトナム戦争終結の年に発表された作品で、ベトナム帰りのカメラマン・四谷仁吉と幼い少女ジュジュとの物語。
仁吉が出会ったジュジュという少女は日本に流れついたベトナム難民かと思わせて進むのですが、ネタをばらせば彼女は3212年生まれの未来から来たのでした。その時代には日本が北と南に分かれて百年も戦争していて、ジュジュは南日本共和国出身だというのです。
そこで南側が負けそうだったために、しばらく批難しようとする5000年前行きの船に両親が必死で乗せてくれますが、ジュジュだけ1975年なんかでこぼれ落ちてしまったと。
最後は悲劇で終わるのですが、全裸に長靴だけの姿で泣き、走り回るジュジュが愛らしいだけに一層悲しい…
現在(2010年)は発表当時に比べて児童ポルノに対する規制がはるかに厳しくなっているので、いつこの「低俗天使」が非常識な条例によってポルノ指定で回収され、読めなくなるか分かりません。未読の方は本屋に走りましょう!

「ブタのヘソのセレナーデ」は、日本でも核兵器が作られるようになった時代の物語。
有名になりたい平田吾助(ゴスケ)が間違って首吊りして死にそうになった所を、助けたのがグラマーな女医の巴博士。彼女がゴスケの腹に小型の原爆を埋め込んだと言うと、その時から彼は日本中の有名人かつ政府の要人ともなり、世界中まで巻き込んで大騒動!
ゴスケがいつも連れている飼い豚のノンコが可愛いのですが、実はこの豚の方に起爆装置が埋め込まれてあり、その結果…。
コメディタッチで描かれているギャグ漫画ながらラストは悲劇、そして人間の愚かな部分がふんだんに描写されています。

「月と狼たち」は、アメコミ風な扉絵にまず驚かされます。
未来のニューヨークのルンペンであるスズキ・カツドンダスティン・ホフマンがロケットを盗んで宇宙に出る話で、それから離れ離れになった二人がそれぞれ別の宇宙人(トカゲ型)によって宇宙戦士に鍛え上げられ、決闘する運命に…
これもギャグ漫画でオチもどうでもよい作品なのですが、他惑星の怪物とかはカッコいいし、喜劇王チャールズ・チャップリンの監督・主演映画「黄金狂時代」のパロディもあります。

「奇動館」は江戸時代の奇妙な…進歩的すぎる自由な学校の話なのですが、教師になるために来たのに試験を受けて及第点を取れなかったために生徒として勉強する事になった主人公の中浜好太郎が、実は幕府の隠密だったという意外な展開、それから人間の心と未来への希望を考えさせられるラストへとつながります。
これも凄いインパクトがあるわけではなく、名作の数が多すぎる手塚治虫作品の中ではマイナー扱いですが、ほのかに感動できる作品ではないでしょうか。


神ちゃま どうぞジュジュの国が平和になりますように……
どうぞ… どうぞ…



スポンサーサイト
  1. 2010/07/15(木) 23:47:26|
  2. 手塚治虫
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<手塚治虫(23) 「手塚治虫 THE BEST 14 グランドール」 | ホーム | 手塚治虫(21) 「手塚治虫 THE BEST 12 二人のショーグン」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/922-8a74c67f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する