大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(23) 「手塚治虫 THE BEST 14 グランドール」

JC(ジャンプ・コミックス)の『手塚治虫 THE BEST』シリーズ、14巻目は「グランドール」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best14.jpg

こちらは少年ブックで1968年に連載された作品で、という事は同じ『手塚治虫 THE BEST』シリーズにも登場して、少し前に紹介した「フライング・ベン」の後に続く形で発表されました。
全1巻の作品で、個人的には手塚治虫作品を読み始めた最初期に出会った物語でもあり、思い出深いものがあります。

物語のオープニングが1966年の北京。文化大革命の真っ只中に、ある日本人特派員が暴動後の町中で謎の人形を拾って帰国するのですが、彼は主人公のテッチンこと宇津木哲男の父親。
テッチンというのは普通の少年で…いやむしろ主体性がなく気弱でダメな学生。彼の方も日本で同じような人形を発見しているのですが、人形の壊れた部分をセメダインで修理すると…それが大きくなって可愛い女の子になるのです!
これがラブコメやエロ漫画だったら別の展開もあるのでしょうが、彼女は『グランドール』という宇宙からの侵略者(インベーダー)に使われている生き人形でした。さらに哲男も、忘れてるだけで実は同じグランドールなのだと言われます。
これによりただの宇宙人侵略モノでなく、自分(主人公)も人間ではないかもしれないと疑問を持たせている所が上手い。

グランドールによる地球侵攻の脅威と同時に、クラス委員だったり空手部の主将・猿丸との争いなどもあって、学園モノでもあります。そしてテッチンが自分の意志を強く持って行動できる人間になる成長物語。

またグランドール達の侵略方法が怖くて、いつの間にか良く知っている人物…それは母親とかの肉親までもが外見はそっくり同じに成り代わり、一緒に生活しながら自分を狙っているのです。つまり自分以外の誰が信用出来るのか、全く分からない。
その数、数千万体のグランドールが社会のあらゆる所に潜伏して侵略者からの命令を待っている。
と、まぁこれはアメリカのSF作家ジャック・フィニイ(Jack Finney)の代表作「盗まれた街」が元ネタでしょうけどね。フィニイの同作品は映画化もしたドン・シーゲル監督の「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(その後何度もリメイクもされてます)の原作であり、SF小説マニアでもある石森章太郎先生がコミカライズもしています。

さて、テッチンが拾った女の子のグランドールは、柏葉子と名乗る転校生として再び現れます。最初は侵略者の手先だった彼女ですが、テッチンが2度も命を助けた事により侵略者を裏切り、協力して闘う事となるのです。
葉子は、それぞれ特殊な能力を持つ味方のグランドール三体をくれて、テッチン自身も空手部に入部して肉体を鍛え、それ以上に意志の力を強く持つ事となります。

一ヶ月後に東京にいる五千人のグランドールを使って人間を煽り、人間同士を憎み合わせる殺人デモを行う計画を知ったテッチンは、それを阻止する為に母親も教師も警官もグランドールだった中、心強い人間の仲間として猿丸と父親を仲間にして決戦を決意するのです!
グランドールは首に傷が付くと…針を刺すだけでも人形に戻る。その弱点を利用して家が養蜂をしている猿丸の協力を得て、暴動を起こした群衆目掛けてヘリで頭上からハチの大群を落として見事に侵略者の作戦を阻止しました。

そして姿を現した、侵略者の黒幕が乗る円盤の中に入れられたテッチンと葉子。
ついに明かされる真の黒幕の正体は…
また、テッチンは人間なのかグランドールなのか…
驚きのどんでん返しで物語の幕を閉じます。

面白い話をもったいぶらずにあっさり終わらせてしまいましたが、その中に集団となった群集の恐怖や、目的も持たないヤジウマに対する憎しみ等、少年漫画にしては濃いメッセージも込められていて、やはり「グランドール」も大好きな手塚治虫作品の一つとして殿堂入りです。


いいえ!! あなたは人形なのよ
自分ではぜんぜん気がつかないでしょうけど…ほんとうは人形なんだわ!!



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  1. 2010/07/17(土) 21:41:39|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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