大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(24) 「手塚治虫 THE BEST 15 光線銃ジャック」

ようやく15巻目まで来ました…JC(ジャンプ・コミックス)の『手塚治虫 THE BEST』シリーズ、続いては「光線銃ジャック」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best15.jpg
今回は全部で9編も収録した短編集で、1950年代後半から1960年年代前半までのSF作品ばかりを集めたラインナップ。
つまり手塚治虫先生の20代後半から30代前半に当たるわけで、この時期はまだまだ「鉄腕アトム」が代表作であり、SFマンガの仕事が圧倒的に多かったのですよね。

順に、見てみましょう。
「光線銃ジャック」(週刊少年サンデー、1963年)はロボットの優しい心に打たれてロボットを助けるために死んだ、人間界ではおたずね者のジャックの話。手塚先生は、繰り返しロボットより人間が愚かな存在だという思想の物語を描いてますよね。それで警笛を鳴らして人類に良くなって欲しいという事でしょうが。
「人間牧場」(別冊少年サンデー、1961年)は毎日同じ繰り返しの生活をしている人間が、実はそこは地球ではなく異星人に誘拐されて地球を模した地で飼われているのだと知る…ラストのオチまでアイデアが秀逸な傑作。
「未来をのぞく3人」(冒険王、1958年)は同じ事故で同じように予知能力を得てしまった3人の不幸を描く。短いページ数で一つの物語を完結させる、この上手さ。
「だれかが狂ってる!」(別冊少年サンデー、1960年)はタイトルからして良いですが、宇宙船の密閉された空間で、ある理由から相手を疑い攻撃まで始める隊員達のサスペンス劇。ラストは『人間なんてみんな狂ってるんだ!!』と叫ぶ事になります。
「宇宙からのSOS」(少年ブック、1962年)は、未来の宇宙時代になると起こるはずの不思議な出来事を描いていて…光子ロケットで光よりも速く飛んだために起きる、ある怖ろしい話。
「2から2を消せば2」(別冊少年サンデー、1962年)はマフィアの争いに巻き込まれるロボット博士の話で、これはラストの1コマが素晴らしすぎます。
「バックネットの青い影」(別冊冒険王、1962年)は二人の野球選手と不思議な幻覚が見える薬をめぐる、ホラー要素もある奇想譚。好きな作品です。
「バチス号浮上せず」(週刊少年サンデー、1963年)は海が舞台で、沈んでいた原子力潜水艦が原因で生まれたある化け物と、人間の男気みたいなものも描いた作品。
「偉大なるゼオ」(週刊少年サンデー、1964年)はこの短編集では異色な巨大ロボット物です。「マグマ大使」「ビッグX」「魔神ガロン」等、このジャンルでも傑作を生んでいる手塚先生ですが、ゼオもデザインや能力も悪くなくて短編なのが勿体無いのですが、汚い人間の大人の手で壊されてしまいました。

今回のは初期短編なので語られる事の少ない作品群だと思いますが、どれも時間で簡単に色あせたりしない魅力を持っています。
描かれた時代も考え、ますます手塚治虫先生の天才を知るのにもってこいの1冊ではないでしょうか。


ながいあいだ放射能をはかってくれていたこの一家を
用がなくなったからといって こわすとはなんだ
おまえたちこそ血も涙もねえ機械以下の人間だ



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  1. 2010/07/20(火) 23:50:52|
  2. 手塚治虫
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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