大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

週刊少年ジャンプ(53) 寺沢武一 1 「コブラ」 1

今夜は寺沢武一先生で、デビュー作にしてライフワークでもあるSFアクション漫画「コブラ」(集英社刊)です。
TERASAWA-cobra1-2.jpg
連載は週刊少年ジャンプで、まぎれもなくジャンプ史上でも有数といえる名作の一つでしょう。

寺沢武一先生は1955年生まれの北海道出身で、手塚治虫先生率いる"手塚プロダクション"のスタッフ出身。
漫画の神様の下で修行しながら自作の絵には手塚先生よりアメコミの影響が強くて、師匠よりはるかにスタイリッシュな作風ですね。でも登場人物はスター・システムを受け継いで採用しています。
画力が高く緻密な絵柄で、特に素晴らしいのが露出度が高くてプロポーション抜群すぎる女性キャラ達!女性キャラは全員美人だけで良いとでも言いたそうです。これで女性のボンデージ風ファッションに目覚めた少年が、どれだけいた事か…ファッションも素晴らしいのが、この時代の他の漫画家と大きくセンスが違う部分でもありますね。

ともかく1977年の週刊少年ジャンプ増刊号にて一話読み切り版の「コブラ」でデビューし、それが好評だったために翌年からはジャンプ本誌で長編にした「コブラ」を連載開始しました。うん、最初から絵の完成度が高い…
私がリアルタイムで読み出した寺沢作品はやはりジャンプの「黒騎士バット」からなのですが、小学生だった当事かなり強烈な印象を受けました。初めて見るアメコミ風の絵に加えてこの時代から作画にコンピュータを導入していて、不思議な話と相成って大人の漫画だなと特別視もしてました。
他に代表作は「鴉天狗カブト」「ゴクウ」「タケル」等。

さて今回は「コブラ」ですが、単行本はJC(ジャンプ・コミックス)で全18巻。
TERASAWA-cobra3-4.jpg
とはいえ「コブラ」は現在の所、未完の作品。
あくまで1978年から1984年まで連載された『週刊少年ジャンプ版』のみになります。これが皆が知っている、映画化・TVアニメ化もされたされた物です。
ちなみにこの後は1986年から2002年までの『スーパージャンプ版』、そして出版社も集英社からメディアファクトリーへ移行して2005年から2006年の『コミックフラッパー版』が続きます。
それでもまだコブラの物語は完結していないとの事ですが、いつまた新作が発表されるのか…ゆっくり待ちましょう。

そもそも「コブラ」とはどんな話なのか…
時代は未来ながら、主人公は平凡なサラリーマンで退屈な日々を送るジョンソン。
彼は自分の望む夢を見させてくれるT・M会社へ出かけ、刺激を求めてトリップ・ムービーを楽しむのですが、そこで見た夢でジョンソンはハードボイルドな二枚目になり、コブラとあだ名される一匹狼の海賊でした。
左腕には強力なサイコガンを仕込んだ彼は、超合金のボディを持つ相棒の女性型アーマロイド・レディーと冒険し、宇宙のマフィア的な組織"海賊ギルド"を宇宙のもずくに変えていく…
その後、偶然にも今のトリップ・ムービーで見たのは全てが過去の実体験であった事を思い出し、コブラとして覚醒すると再び戦いの日々に戻っていく。これが第1話目。
殺し合いの日々に嫌気がさして疲れていたコブラは、自ら顔を整形して記憶も消して死んだ事にし、3年前から別の平凡な人生を送っていたんですね。
それがレディーとも再会したコブラが言うに、
『人間なんておかしなもんだな スリルにみちた生活をしている時は平凡な生活を望み
いざ平凡な生活を続けてみると こんどはスリリングな世界にあこがれるとはね』

という事で、今後のコブラはまた昔の危険な世界に戻るのでした。

垂れ目に丸い鼻の新しい顔も海賊ギルドにわれてしまったコブラは、また宇宙一の賞金首として狙われ続けるのですが、いつも笑みを浮かべながら葉巻をくわえ、どんなピンチにもあわてずに上手い冗談なんか口にしている…
そりゃ梶原一騎原作作品に代表されるような泥臭い主人公の方が好みの私ですが、ここまでカッコいいとその対極にあるようなこのヒーローにも憧れの気持ちはあります。
コブラの影響で真面目な時にふざけてみせたりもするようになりました。大抵怒られるので、堅い日本人の前ではいかんと気をつけてますが。

今回はそれぞれのエピソードの細かい紹介はしません。メチャクチャ面白いのに勿体無いのですが…自分で読んでもらいたいのです。そして事細かに説明したくなる私にこの作品を語らせると、長くなってしょうがないのです。
とにかく次々出てくるフリークショウさながらの種族・生物達や舞台となる異星、重ねて言うと登場するハンパじゃない美女達に、不死身のコブラの強さ…様々な場面で痺れてしまいますよ。
いろんな化物的宇宙人が出てくる中、コブラは生粋の地球人なので我々の常識からしたら風貌はまだ普通なのですが、握力五百キロを始めとする凄い身体能力とトカゲのシッポのようにケガも回復していく生命力を持っています。
何より左腕に仕込まれた銃・サイコガンが凄い。地球人、それも我等が日本の銃鍛冶・不知火鉄心の作であるこの銃は、人間の精神力を増幅して強力なエネルギーにするのです。引き金をひく必要もなく相手を撃てと考えただけで早く正確な射撃が可能であり、ビームの弾道を曲げて撃てるのはおろか精神力が昂まっている時は怖ろしいほど強力な力を発揮します。
しかし左腕が銃になっているという事は元々あった左腕は何故なくなったのか、この時点では秘密。

そして、この時代にして既に漫画史上初でもあるエアーブラシを使ったイラストなど実験的な手法も見る事が出来ます。
TERASAWA-cobra5-6.jpg
TERASAWA-cobra7-8.jpg
↑この8巻…サラマンダーという強敵を倒すまでのエピソードが、TVアニメ化(タイトルは「スペースコブラ」)された分ですね。

いつも冷静なはずのコブラも、美人を殺された時などに激しい怒りを見せる事がありますが…このサラマンダーの一味に対しては、
『お祈りでもしろ きさまたちは生きては返さない!
オレは生まれてはじめて よろこんで人を殺す!!』

とまで言わせてました。
このエピソードでは強力な3人の味方も登場するし、怒れるコブラがついに見つけたサラマンダーの意外な正体まで、相当に楽しませてもらいました。

そしてこれ以降、「コブラ」はこの時代のジャンプとしては異例中の異例である『描き溜めシステム』での連載になりました。
つまり他の漫画家のように毎週毎週アイデアを考えながら週刊連載に追われていたのではなく、1エピソード分の原稿が描き溜まると連載再開し、その分が終わると連載休止のパターンが繰り返されたのです。
そのように優遇されていたから完成度の高い作画レベルになったわけですが、それも当時の編集長…マガジンを抜いてジャンプを圧倒的な売り上げトップ誌にまで成長させた、有名な西村繁男氏のお気に入りの作品だったために許された事実。
もちろん読者からも人気があったのですが、70年代に少年誌においてヒーローが大人、しかも女好きである本作が人気を博したのには、やはり子供でも分かる『本物の魅力』があったからでしょうか。


そうだ…
オレはコブラだ
左腕に銃をもつ男さ



スポンサーサイト
  1. 2010/09/11(土) 23:33:32|
  2. 週刊少年ジャンプ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
<<週刊少年ジャンプ(54) 寺沢武一 2 「コブラ」 2 | ホーム | 週刊少年ジャンプ(52) 春日井恵一 1 「アカテン教師梨本小鉄」>>

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2010/09/13(月) 04:17:10 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

出てくる女は基本的にTバック!!


飯島愛なんかがテレビで取り上げられるようになってTバックが世間一般に認知されるようになったのはいわゆるバブル期。
なんという先見の明なのでしょうか。

今思うと「少年ジャンプ」なのに堂々と濡れ場がある漫画も少なかったですね・・・。


コブラを読み始めたのは7歳の頃からでしたが、3歳から既にやっていたのか・・・。

気がつくと連載やってたりやってなかったりするのはそういうシステムを採っていたからなのですね。
今でこそ珍しくないやり方ではありますが。


ブラックナイトバットでは80年代当時まだ実用レベルとは言えなかったCGを早々と取り入れてましたが、その後90年代半ばになりCG技術の進歩に伴いフルCGでコミックを出したりと、歳を取っても常に新しい表現を模索する姿勢があのような革新的なアイデアを産んでいるのでしょう。


ところでここで第一話のあらすじを読んでいて改めて思ったのですが、シュワルツェネッガーの「トータル・リコール」ってコブラのパクリじゃないですか?
  1. 2010/09/19(日) 10:43:54 |
  2. URL |
  3. アヌッサー #-
  4. [ 編集]

ボンデージLOVE

>アヌッサーさん

Tバック!! Tバック!! またTバック!!

こんにちは、BRUCEです。
そうですねー、少年ジャンプもどの時代もちょいエロ漫画(あくまで子供レベルで)が一つとかは残ってたと思いますが、「コブラ」は絵が上手すぎて、当然女性の美しさも群を抜いていましたね。
あ、いや私はジャンプ時代の「コブラ」に関してはリアルタイム読者ではないのですが。
何とか生まれるの間に合ってリアルタイムで読めた「バット」は、大好きだったので連載の早期終了はショックだった…そう、CGとか当事は分かってなかったけど、今見直してもかなりの効果を出していますね。

映画「トータル・リコール」は、確かにそっくりですが寺沢先生がその同映画の元ネタであるP・K・ディックの「追憶売ります」を読んでた可能性も高いし、それを言うとオタクに『もっと以前にコレがある』とか言われそうだし、全くオリジナル探しというのは骨の折れる作業になります…
でも「トータル・リコール」以外にも、アメリカ映画で「コブラ」で見たようなシーンを目にする事はけっこうありますよ。
「コブラ」は海外輸出されて成功している作品でもありますので、いろんな人達に影響与えているのではないでしょうか。
  1. 2010/09/22(水) 12:33:29 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/931-cbcf8afb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する