大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(25) 「日本発狂」

今夜は手塚治虫先生の「日本発狂」(秋田書店刊)です。
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1974年から翌年までという、手塚治虫先生が次々に名作を生み出していた時期に高1コースにて連載された、まずはタイトルが素晴らしい作品。単行本は全1巻です。

主人公はイッチこと北村市郎という定時制高校に通う少年。
彼は物語の冒頭から幽霊の大行進を目撃するのですが、その夜に本田という記者、そして謎のかわい子ちゃんと出会い、奇妙な出来事に巻き込まれていく…

大人なのに霊魂目撃談を信じてくれ、よき協力者になりそうだった本田記者は次の日にあっさり事故死してしまいますが、しかし『あの世』からイッチの体を霊媒とたり後に実体を持って降霊したり、いくつかの方法で交信してあちらの情報や様子をリークしてくれるのです。
いわく『あの世』にも戦争があり、本田記者はゲットーのような所に収容されて強制的に戦闘訓練をさせられたあげく戦場に送られたようです。また冒頭にイッチが見た幽霊の大行進は、強制収容所から戦場へかり出される兵士達でした!
しかも『この世』で死んだ人が行くあちらの世界で死ぬとどうなるかというと、それはまたこっちの世界で生まれ変わる…今(連載当時)のベビーブームも、『あの世』で大量に戦死していくからなんだとか。

ちなみにイッチが霊媒になったり死後の世界と関わりやすいのは、小学2年生の頃に尿毒症で一度死んで心臓マッサージによって蘇生した経験を持っているため、『あの世』の人間に近いそうです。
そんな事を知りすぎたものだからイッチは死神たちに狙われるようになるのですが、学校で襲われて九死に一生を得た時に
『やつらはたしかに幽霊だ しかも帽子に黒メガネのマフィアスタイルだ 驚いたね
そのうちにブルース・リーみたいな幽霊が出てくるかもね…』

というセリフを述べています。何でここでブルース・リーの名前が出てくるのか不明でしたが、出てくるだけで嬉しい名前です。

驚くべき事に物語中盤で主人公であるイッチが死神に捕まって、現世では死んだ事になってしまうのですが、その時運搬に使われる乗り物があの円盤。有名な未確認飛行物体…俗に言うUFOは、幽霊を運ぶ乗り物だったと明かされるのです!
幽霊になったイッチは『あの世』で三つの勢力が繰り広げている戦争に巻き込まれ、仲間になったゲリラの連中と共に再び『この世』へ戻ってくるのです。
しかし、そこでは自分の肉体が既に解剖されていて霊魂の戻る場所が無くなっていた辛い現実。それを慰めてくれたのが最初に出てきたヒロイン…名は松本くるみ
二人はキスすると融合し、一つの人魂のようになって空を飛ぶロマンチックなシーンがあるのですが、これが幽霊のセックスだったのでしょうか。

二人はまた『あの世』へ行くと本田記者を救出し、彼が牢の中で知り合った囚人の仲間達…その数78502300人と共に『この世』の、それも日本へ押しかけるのです。
そしてタイトル通り日本発狂!膨大な数の幽霊難民たち、そしてイッチやくるみの行方は!?

死後の世界をテーマに扱いながら、明るく読み易い内容になっています。連載が学習誌なため一応学園モノの要素もあり、栗原小巻に夢中なエチゼンガニ先生が分かり易く霊魂やエクトプラズムについての説明もしてくれますよ。
人間は死んだらどうなるのか。それぞれの考えや想像があるでしょうし、これまでに『あの世』の様子もいろんな人が書いたり語ったりしていますが、「日本発狂」で作った手塚治虫先生の死生観も面白い。
ラストで見える輪廻転生も好きだし、死後の世界についての興味が尽きる事の無い私のような人間にとっては、この題材だけで重要な作品なのです。


元気出して!ね!お願い
幽霊同士ならあたし……
あなたに大事なもの あげてもいい
肉体関係ないもの…



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  1. 2010/09/29(水) 23:30:07|
  2. 手塚治虫
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大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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