大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(26) 「ユフラテの樹」

続いて手塚治虫作品で、「ユフラテの樹」(秋田書店刊)。
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1973年から翌年まで、先日の「日本発狂」以前に同じ高1コースで連載された作品で、単行本は全1巻。

夏休みにとある島へやってきた高校生の3人組は大矢シイ子の三人合わせて『オヤカマシイ』トリオ。
物語の舞台となるその島の名前は、原始のままの姿を残し50人しか住んでいない7キロの小島、"恵法場島"。名前がエホバ島ですからね、いきなりヤバイ。

彼らは百引高校の生物研究会であり、鎌剛(ジャケに出てる少年)の伯父・庄之助の所有物であるこの謎の島を調査してレポートを作るのが目的だったのですが、島の住人や動物達の妨害に合う…
しかし島で偶然見つけた不思議な大木がタイトルのユフラテの樹。この樹になる赤い実にはドルベスチンという物質が含まれていて、食べると『大脳皮質を興奮させねむっている部分をめざめさせて知能を発達させる』のだそうです。
それは脳髄の力は50倍にも発達して、簡単にいうと超能力者になれるのです!

死んだはずの鎌庄之助が超人になって出てきてこの実について警告し、知能の発達したネズミを監視につけますが、東京に帰って学校生活に戻った三人はネズミを殺し、それぞれの理由からあっさり誓いを破ると実を食べて超能力者になってしまいました。
大矢は秀才になり、鎌は念力を持ち、シイ子は天才ピアニストになるのですが、特に恐ろしいのが鎌の念力。これは念じれば簡単に人も殺せるし、遠く離れたテレビに出てきた犯罪者さえも殺してしまうのです。
そこで鎌の思想は暴走し本気で世界征服を計画すると、逃げようとした大矢とシイ子を追い詰めて眠らせ、ユフラテの樹の実を残らず手に入れるために再び恵法場島へ行く…

結末までは書かずにおきますが、この最終話はテンション高く、超能力合戦や庄之助の正体に関する意外な真相などが待っているのです。
掲載誌に合わせていかにも普通の高校生が持つ悩みを描き、その上で欲求が命ずるままに願いを叶えられる超能力を身につける…しかもまだ大人になりきれず未熟な精神のままでだとどうなるか、といった所が主題になっていると思いますが、ごくかぎられた選ばれた人間ならこの樹の実を食べて超能力を得ても良い、とも読めます。
しかもキリスト、マホメット、ブッダらはこの実を食べて超能力を得た者だなどと凄い事を書いちゃってます!
その調子でもっとエスカレートしていけばトンデモ本としても人気が出たのでしょうが、学園SF作品としても、いろいろ中途半端な部分が否めないか…
傑作の多すぎる手塚治虫作品の中では特に目立つ存在ではありませんが、私は主人公が悪役になる展開が好きだし、物体瞬間移動(テレポーテーション)したら起こったある事故についてのSF的な見解、他にも見所がいくつかあって初めて読んだ少年時代からずっと印象に残っています。


おれは苦しいんだ
おれはだれとも話せない!つきあうこともできない!
おとぎ話に よくなんでもできる魔法使いの話があるだろ?
そいつをすごくうらやましく思ったこともあるけど
なんでも思いどおりになっちまうことが
こんなに恐ろしいことだとは知らなかった



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  1. 2010/09/30(木) 23:31:57|
  2. 手塚治虫
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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