大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

週刊少年ジャンプ(55) ゆでたまご 1 「ゆうれい小僧がやってきた!」

今夜はいよいよ、ゆでたまご先生。
いわずと知れた「キン肉マン」の作者なので、私に近い世代の人々は分かると思いますがジャンプといえばゆでたまご先生が一番のスター漫画家…そんな時期もありました。

そもそも『ゆでたまご』というのは嶋田隆司原作&中井義則作画の二人組合同ペンネームです。二人は大阪市の小学校で出会い、小学5年生の時にはキン肉マンというキャラは誕生していたのだとか。
中学校から本格的に合作し(原作と作画を分担したのは高校時代から)、漫画家目指して投稿を続け…家庭の事情で高校卒業までに漫画家になれなければ夢を諦めなくてはならなかったのですが、1978年に見事「キン肉マン」で第9回赤塚賞に準入選し、同作が翌年に週刊少年ジャンプに掲載されデビューしました!!

藤子不二雄ばりの『まんが道』を共に歩み続ける二人ですが、そのデビュー作の時点では絵は下手クソだしギャグも面白くないんですよ。
当然編集部内でも評判良くなかったのに、出ました当時の編集長…西村繁男。彼だけは二人の素質を見抜いて大阪の親まで説得し、秘蔵っ子扱いでプロの漫画家に育てていくのです。
そう思えば担当編集者の技量や『発見の才』如何によっても、漫画家は才能を引き出されたり出せずに終わったりする事が日常的にあるのでしょうね。

「キン肉マン」がデビュー作にしてとんでもないヒット作となった事は誰でも知っているでしょう。私も保育園児時代からずっと心を熱くして見てきた作品で、当然単行本は何度も読み返してキン消し集めも熱中したし、スピンオフ作品で同じくアニメ化もされて人気を博した「闘将!!拉麺男」も大好きだった…

そんな大事な大事なゆでたまご作品ですが、今回は「キン肉マン」が連載終了した1987年、さほど間も空けずに同じく週刊少年ジャンプにて連載された…
「ゆうれい小僧がやってきた!」を紹介しましょう。
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実はこれ、「キン肉マン」連載中に読切作品として掲載されていて、評判が良かったために連載が開始されたのでした。その読切版も『妖の零』(第0話)として単行本第1巻に収録されています。
毎週発売されるジャンプだけが楽しみで、辛い学校生活にただ耐えていた少年時代の私…
初めて見るゆでたまご先生によるキン肉マン関連以外の新作は新連載から3号連続巻頭カラーというスペシャル扱いで始まり、しかも好きなホラーテイストのある妖怪モノでしたから、それは楽しみでワクワクしながら読み始めたものでした。


江戸時代の日本で悪行を重ねていた108匹の妖怪達を、神の命を受けた『正義の妖怪』である亜鎖亜童子(アーサアどうじ)が伊山諸島最北部にある王島に封じ込め、自分の姿をした石像を妖怪封じの守り像として立たせていたが…
200年が経った現在(1986年)、かの地の大噴火が原因で亜鎖亜童子の石像が真っ二つに割れ、封じ込められていた108の妖怪も甦って日本中に散らばってしまいました。
再び108の妖怪達を退治すべく、神は石像に命を与えて亜鎖亜童子も復活するのです。

いきなり6ページをかけたこのシリアスなオープニングの後、2人の少年が"賽の河原中学校"に転校してきていよいよ本編のスタート。
2人の少年とはもちろん主人公で…恐山百太郎(おそれやまももたろう)と恐山琴太郎(おそれやまきんたろう)。双子の兄弟を名乗ってますが、タネをばらせばオープニングで二つに割れた亜鎖亜童子の石像が姿を変えて二人の少年になっているのであり、百太郎と琴太郎が合体すると、再び完全無欠のパワーを持つ亜鎖亜童子となるのです。
これはやはり、さいとう・たかを先生の名作「バロム・1」…それも東映の特撮テレビドラマ「超人バロム・1」の方から頂いた設定でしょうか。

とにかく百太郎と琴太郎が合体して亜鎖亜童子となり、賽の河原中学校を舞台に起こる怪奇事件を解決しつつ悪の妖怪を倒していく…それが基本ストーリーであり、108匹の妖怪達を退治するのが目的だったわけですが、その設定はすぐに崩れていきました。
始めのうちはゆでたまご先生がグロテスクさも強調した学園・妖怪物語に挑戦していたのですが、すぐに飽きたのか、いやおそらくは人気が出なかったのでしょう。路線変更し、そのイメージから脱却したかったはずの大ヒット作「キン肉マン」に近づいていくのです。

妖怪は『善行妖怪』と『悪行妖怪』に分かれている事が分かり…つまりこれは「キン肉マン」でいう『正義超人』と『悪魔超人』。
しかも出てくる妖怪というのはいわゆる民間伝承されているモノなどではなく、ゆでたまご先生お得意の、そして「キン肉マン」で大成功した手法で、読者に考えてもらって募集したオリジナル妖怪。ちなみに今回は妖怪以外にも、キャラクターが使う妖怪退治霊具までも読者応募によるものでした。
これがもうあからさまな「キン肉マン」の焼き直しで、『超人』と『妖怪』に特別な定義や区切りも無いため、呼び直しているだけだとしか思えないのです。
そもそも主人公の亜鎖亜童子にしてからが、まだ連載中だった「キン肉マン」に向けて読者が応募してきた超人・アポロンマン(「キン肉マン」の単行本でもJC35巻で確認出来ます)の流用!他にも三面地獄という一応主要キャラである善行妖怪はほとんどアシュラマンでは…

そういえば、宮崎県にあって悪行妖怪の隠れ家であり人間界征服のための攻撃基地でもある洞窟が"夥赤血峰"(たかちほう)という山にあるのですが、これは日本神話の故郷でもある高千穂峡(同じ宮崎県)がモデルでしょうか。
そんな彼ら、恐ろしい敵であるはずの悪行妖怪界のトップに『悪行妖怪界三幹部』と呼ばれる麒麟男爵ヨロイ蜂蛇喰入道なる奴らがいましたが、彼らはあまり強くもカッコ良くもなかった。

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そして『決戦!!日本妖怪VS西洋妖怪編』という、あからさまなバトル物へと移行していきます。
悪行妖怪よりもっと怖い西洋妖怪が日本支配を狙ってきたら、日本妖怪には善行妖怪にも悪行妖怪にも属さない未知の恐ろしい妖怪がたくさんいるという事になり、西洋妖怪に対抗するための妖怪選抜会の開催。
しかも108匹の妖怪退治という目的はどこかへいってしまったどころか、せっかく倒した陰陽入道どろべら蝦蟇あやし百猫妖怪をあっさり復活させて一緒に西洋妖怪と戦おうとするのですよ…

その妖怪選抜会では日本妖怪同士で殺し合う結果になっているのが矛盾してますが、とにかく選ばれた日本妖怪代表は7人です。
亜鎖亜童子(百太郎と琴太郎)、副将格に同じく合体妖怪の摩亜照童子(マーテルどうじ-山彦と海彦)、青銅魔、朱雀鬼、蝦蟇あやし、捕血豈棲、三面地獄。
彼らが感情を失くした赤ん坊の毬理男を西洋妖怪の手から奪い返すため、青森県の恐山に作られた様々な仕掛けの中で決戦するのです。
霊魂を7分割された毬理男の争奪戦で決着を着けようとするのですが、これはそのまんま「キン肉マン」『7人の悪魔超人編』においてミートの体を7分割にして奪い合ったのと同じ設定ですね。

もう全然妖怪漫画ではなくなりましたが、開き直って「キン肉マン」系のトンデモバトル漫画を楽しもうと思えば、なかなか面白くなってきました。
学園モノでもあった初期に出ていた賽の河原中学校の非影狼呪井三途霊子四谷巫子…名前も良い彼らが出なくなったのは惜しいですが。
ともかく亜鎖亜童子が合体出来ずに百太郎だけで強敵と戦う事になったり、西洋妖怪編から突然出てきた味方妖怪達にもストーリーを背負わせて趣向をこらしてもいます。

そういえば、最初はおしのキャラなのかと思われた…すぐに話せるようになっても人形使って腹話術のように話していた琴太郎はいつの間にか自分で話すどころか饒舌に解説とかしてくれてますね。しかも語尾に『だぎゃ』が付きます。それぞれの妖怪達に出身地を設定しているのですが、東京都出身であるはずの琴太郎が何で名古屋弁を!?

敵である西洋妖怪の7人は、リーダー格は凶竜妖怪エルシリア、他にMr.ハロウィン蟹男コマンドー・ゾンビ食屍首デオドーラゴルゴダ・聖柩トーテム・キッド
いくら何でも蟹男はないだろう…ひねりの無いネーミングそのままの姿をしているこいつはフランスのマルセイユ出身なのですが、マルセイユではそんなに蟹が有名でしたっけ?
他にリビア、スーダン、エクアドル等、少年読者が考えてるにしてはマニアックな出身国の設定が目に付くのが微笑ましい。

戦いは続き、いよいよ第5巻。これが最終巻となります。
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蓋を開けてみればほぼ日本妖怪の圧勝で進み、最後に残る強敵にしてラスボス・凶竜妖怪エルシリアを倒すべく、ついに合体できた亜鎖亜童子が妖葬霊縛の杖を持って向かう…
という所で、何と無念の打ち切り!!バトル物に路線変更して盛り上がったかに見えた「ゆうれい小僧がやってきた!」ですが、人気を得る事は出来なかったようです。
わずか1年弱の連載で、敵を倒さずに未完のまま終わったこのラストシーン!当時小学生だった私の悔しさはよく覚えています。

だがしかし!
最終の第5巻には最終回に数ページ描き足す形で、凶竜妖怪エルシリアとの戦いに決着を付けているのです!!
でもこの部分はアシスタントの手によるのでしょうか、絵柄が変わっているのです。ラスト数ページで見られる亜鎖亜童子の顔など、ビックリしました…見なきゃ良かったかも。

もしも打ち切りにならなかったら、このまま「キン肉マン」の焼き直しで続けていたのでしょうか。それも見たい。
キムチが大好物で三角形の物が苦手(その理由がまた良い)とかの設定はあまり生かされなかったし、ゆでたまご作品は設定もすぐに変わっちゃって突っ込み所満載な部分も見所ですよね。

百太郎と琴太郎の皮膚はリバーシブルになっていて、裏返ると強靭な皮膚になるのですが、裏表自在というのなら通常を強い裏側にしておけなかったんですかね。
それはともかく、わりと丁寧に描かれている二人の皮膚裏返りシーン…肉体が口からズルズルとめくれていくシーンは連載当時から印象深かったものでした。


オロロ~ン
オロロ~ン
どこかに人を惑わす妖怪おらんか~
どこかに人を泣かす妖怪おらんか~
ゆうれい小僧がやっつけてやるぞ~



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  1. 2010/11/09(火) 23:47:20|
  2. 週刊少年ジャンプ
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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