大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

週刊少年ジャンプ(58) 本宮ひろ志 8 「サラリーマン金太郎 マネーウォーズ編」

前回は本宮ひろ志先生の「サラリーマン金太郎」でしたが、今夜は続編の「サラリーマン金太郎 マネーウォーズ編」(集英社刊)で続けましょう。
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現在ではシリーズ物だと認識されている「サラリーマン金太郎」ですが、2002年に連載終了して全30巻が終わった時点ではそれで完結なのだと思ってました。
それが突如…3年後の2005年に続編が始まったのです。それも掲載の場は、週刊ヤングジャンプではなくインターネット総合サービス会社の楽天でした!
ネット上でお金払ってダウンロードしなくてはならないインターネット公開形式にて、パソコン画面で読む『デジタルコミック』という次世代形式。これについて行けず読めなかった私ですが、結局普通に紙媒体の単行本として上梓されたのが↑画像の物。

この楽天掲載分はプロローグとして0巻のような扱いになっていて、すぐにヤングジャンプでも連載されるのですが、そちら4巻までの単行本でまとめています。つまり少しややこしいけど、マネーウォーズ編は全5巻。
作風などは変わらない純粋な続編ですが、金太郎の活躍する舞台が建設業界から金融業界に移ったため、このタイトルですね。

今や伝説のサラリーマン・矢島金太郎は、前作で世界有数の成功者でありモーガングループ総帥のグレート・モーガン(フランクリン・モーガン)と親戚になりましたが、ここではまずモーガンの所有する外資系投資銀行"インターナショナルバンク(INB)"の日本支社に転職します。また『偶然』面接に来たらモーガンの会社だったというのですが。
ありとあらゆる仕事をしてみたいと、どんな仕事をするのかも知らないまま金太郎は、未経験の為替ディーラーとして再出発するのです。

会社ではいきなり大物扱いなのか、ニューヨーク本社の大トレーダーで美女のジャネット・テイラーが指導員として付き、後に仕事のパートナーのようになります。
それに、また金太郎がかつて伝説の頭として束ねていた暴走族"八州連合"のメンバーが集まってきて、INBの玄関先まで集団バイクで乗り付けてバンザイするのですが、彼らももう30代半ば…このお約束はいつまでやるのでしょうか。

新シリーズ・マネーウォーズ編は前作の登場人物も出てきますが、鷹司誠士がすっかり味方になるし、その弟・圭吾なる野心家のキャラも出てきます。
話は同じレベルの事をやっていては盛り上がらないからか、金太郎の活躍のスケールはさらにエスカレート。相変わらずすごい確立の偶然が続いて本宮ひろ志先生の願望・妄想を叶えまくるわけですが、プロローグでのメインは前作で行って苦い思いをしているサハラ砂漠のナビリアで行われた、負け知らずの伝説の投資家ジョー・ロスとのギラ売り合戦。

『今まで どんな人間に対しても怖いと思った事はなかった 一度もです…
 しかしあのジョー・ロスって男…生まれて初めて恐怖を感じました』

とは、金太郎のジョー・ロスに初めて会った時の感想。そこまで言わせる最強のライバルの登場です。
他にも散々ジョー・ロスの凄さを聞かされますが、素人の金太郎が投資初勝負で勝っちゃうんですけどね。このナビリアでの勝負だけで、金太郎が挙げた収益は1兆3千億円。世界中のディーラー達にその名を響かせる事になる…
この後も続くマネーウォーズ編では、金太郎は有名人にもなるし動かす金の額も桁外れになり、全く親しみを持てないスーパーマンへと成長していきます。

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続いて連載の舞台をホームグラウンドのヤングジャンプに移して開始された、プロローグに続く本編では疑問を感じる事もあってINBへ出社しなくなり、無気力になりながらも競馬に行けば7千万円の勝ち…とか、もういい加減に『強運』もエスカレートしすぎなわけです。
有名人の大金持ちサラリーマンとなった金太郎はヤマト建設時代懐かしみ、またあの頃に戻りたいなどと考えますが、それは不可能でありまだジョー・ロスとの戦いの続きも残っていると気付いてINBに復帰し、独自に"金太郎ファンド"を立ち上げます。

ところで為替ディーラーだのファンドだのというマネーウォーズというかマネーゲームというか、このジャンルの仕事には金太郎自身が
『なんなんだこの仕事は 物を創り出す訳でもねぇっ…何かを残す訳でもねぇっ
 儲けりゃいいだとォ…本当にこれでいいのか』

などと悩んでますし、大金持ちの協力者であるおなじみ中村加代ばあさんには
『何がファンドマネージャーだ 貴様らはハゲタカだっ 己の金は一銭も使わず…人の金にたかって死肉を食らう…
 自分は一円の損もせず人の金でバクチを打つ身じゃろうが』

なんて言われてます。
読者である私も全然知識は無いし興味の無すぎる仕事ですが、それらの説明もあるので人によっては勉強するのに良い本になるのかもしれません。株とかFXとかやる人には超基本的な事しか書いてないのかな。私にはそのお勉強が難しいし読んでも興味を持てず、ちょっと辛い感じでしたが。

さて金太郎ファンドはまずデビュー戦として、テレビ局買収に向けて動きます。
これは時事ネタで、ライブドアの堀江貴文(ホリエモン)氏による騒動を反映してますね。同じようにテレビ局は様々な手で妨害するわけです。
この時の「サラリーマン金太郎」はテレビ局やマスコミに対する批判が強烈で、面白いです。

続くエピソードではジョー・ロスが出てきて、何と日本国に対するマネーでの攻撃を仕掛けてきます。つまり日本国債が狙われて国の存続の危機に陥るのですが、そこで立ち上がったのは矢島金太郎…
とある作戦で1兆ドルなんて金を動かして、あとはなんだかんだで勝利するのですが、これはもう一人で国を救った英雄ですよ。もちろんとんでもない金額の利益も挙げますが、元々は暴走族の頭が大企業に中途入社して頑張るって話だったのがこういうスケールになっています。

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この規模のマネーウォーズをやってしまった後では、漫画としては同じやり方で続けられなかったのでしょう。
儲けまくった金太郎ファンドをあっさり解散して、『マネーウォーズ編』後半での金太郎は前妻である明美の故郷、四国の大北町へ戻って漁師をやる。
…のかと思ったら、今度は事実上財政破綻した地方自治体を再建する事に取り組みます。今度は北海道の夕張市問題がネタ元になっていますね。

集中すれば3時間でやれる仕事をチンタラと引き伸ばして1週間かけたりしてる役所職員の仕事や、国から下りてくる金だけを当てにして無ければとっくの昔に赤字倒産な地方自治体への批判から始まり、それをどう立て直すのか、金太郎のアイデアと行動力が見物です。
またもヤクザの事務所に殴りこむ定番の見せ場を経て、大北町が面白い事になるとまた金太郎は次なる活躍の場に…
『マネーウォーズ編』はここまでで完結しますが、前作より内容は濃くなり、人間はどこへ行こうとしているのか考える哲学的なシーンも出てくるし、終わり方がなかなかクールでしびれたものでした。


経済とは一体何だ?人間の生き方を複雑にしているだけじゃないのか?人間の知恵やみせかけの道徳は自然に抱かれて生きる事と相違している!!
世界中の人間はどこまで数が増えていくんだ 逆に日本の人口の減少はどうやったって止めようがない 若い世代は子供を欲しがっていないからな 自分だけの短い人生の為に!!
地球の環境はいつまで人間のわがままを許してくれるんだ!!
今は何とかなっている…しかし近い将来 人間の限りない欲望をエネルギーとする成長は 必ず大規模な破綻を導く!!
それでもその中から またやり直し 人間は生き延びて行くだろう…しかしはっきり予測できる破綻への道を
人間は変える事ができないのか?人間は人間が過った道をなぜ変えられない?人間は絶対に間違いを犯す生き物なのに!!
人間の美徳は話して他と協調できるという点に尽きるはずだ!!



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  1. 2010/11/29(月) 23:48:02|
  2. 週刊少年ジャンプ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

ありましたね、テレビ局買収編。
あれ、時事ネタをそのままパクってるだけじゃん、って当時呆然としながら読んだ記憶が。

結局アノ話も、実は金ちゃんの父ちゃんが日本最大のヤクザの大親分と兄弟分だった(スゴイ!!)、
という設定のお陰でなんとか殺されずに済んだ、という、親子の情をテーマとしたハートフルなストーリで私も感涙しながら読んだものです。

本宮先生の暴力信仰に幸あれ!
  1. 2010/12/07(火) 23:03:43 |
  2. URL |
  3. アヌッサー #-
  4. [ 編集]

哲学経済漫画

>アヌッサーさん

本宮先生のネタ作りの陳腐さに唖然とさせられる事は多々ありますが、バカっぽさ…いやバカさが魅力の漫画ばかりですからね、いいんですよ。真面目に読んでる読者も多いみたいですが。
テレビ局買収事件はそのままネタを頂きながらも、金ちゃんはホリエモンと違ってテレビ局の陰謀にも勝てる所を見せてるのが、また本宮節。金ちゃんお茶の間の有名人になっちゃうし。
浅はかな知識や思いつきで何でもすぐ作品にするのが逆に良い、とも思っていますが、「国が燃える」の南京大虐殺描写はいくらなんでもひどかったなー。
実父の設定も登場の仕方もさすがは本宮先生で、小学生が空想するレベルでしたね。

バトル漫画のように経済の力関係などでも『強さのインフレ』起こしてましたが、現在連載中の「サラリーマン金太郎 順不同」ではそれは一休みして過去にさかのぼってますね。今後も金太郎から目が離せませんよ!
  1. 2010/12/11(土) 14:42:40 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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