大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(109) 小島剛夕 3 佐々木守 1 「宮本武蔵」

今夜は佐々木守作、小島剛夕画による「宮本武蔵」(双葉社刊)です。
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小島剛夕先生が描く宮本武蔵といえば、もちろん梶原一騎原作による「斬殺者」を思い出す方が多いでしょうが、あの愛しい名作と同じ劇画家が描いた武蔵ですから、興味の湧かないはずがありません。
今回の原作担当は佐々木守先生。脚本家としても昔の特撮番組好きなどから絶大な人気を持ち、漫画原作者としては水島新司と組んだ「男どアホウ甲子園」が有名ですね。

また宮本武蔵というのはおそらく現在人気No.1の剣豪であり、今までに数多くの映画・小説などで描かれ続けているし、漫画でも石森章太郎(石ノ森章太郎)川崎のぼる先生、横山光輝先生、本宮ひろ志先生、神田たけ志先生、島本和彦先生、井上雄彦先生…こんな凄い巨匠達の他にも、まだまだ多くの漫画家達が好んで描いています。
私自身も少年時代から憧れだった剣豪である宮本武蔵モノは出来る限り読んでいるつもりですが、小島剛夕&佐々木守「宮本武蔵」はどうか。

まず特筆すべき事として、いきなり吉岡一門との戦い、それも清十郎と伝七郎を倒した後の『一乗寺下り松の決闘』からのスタートです!!
武蔵モノの決定版と言える吉川英治の小説「宮本武蔵」ではラストシーンに来る佐々木小次郎との戦いまでが、全8話のうち1話目で終わってしまいます。
「斬殺者」では1話目の冒頭で終わってましたから、それよりマシとは言えますが…
これがどういう事かといえば、小島&佐々木版は剣豪としては全盛期以降の武蔵が62歳で永眠するまでを描いているのです。「斬殺者」と違って完全な宮本武蔵だけに焦点を絞った作品ですので、武蔵の生涯を学ぶ上では貴重な作品と見る事も出来るでしょう。決して入門向きではありませんが。
しかもここでも武蔵は鼻がもげるほど臭く、女子受けするイケメンではありません。

さて、小次郎をも倒して剣豪として誰もが知るほどの名を成して以降の武蔵です。悟りを開いて隠居して芸術に励んでいた…そんなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
いえいえ、剣の腕は天下一になった武蔵も、まだまだ悩みます。まずは合戦で鉄砲や大砲が多用されるようになり、20年間剣を学び続けた者が1日で女子供でも使える鉄砲にやられる現状に。そして己の剣に迷いを生じ、虚しさを覚えて一年間も志津という女性と山小屋にて生活をするのですが、やはり剣を捨てられないと出て行く事を決め、それなら武蔵が心置きなく一途に研鑽するためにと、崖から身を投げる志津。

剣で身を立てるとなると天下一の証明のため避けては通れぬのが、徳川将軍家の剣術師範で知られる柳生家。柳生家の立場を知り、また柳生十兵衛との戦いにおける驚きの結果。柳生兵庫とはすれ違うだけなのに迫力の7ページを使っています。
養子となる伊織との出会いに、強敵・三宅軍兵衛や、何と天草四郎時貞と立ち会った後に島原の乱に参戦…等、面白い『その後』の武蔵のエピソードが続きます。
今まで様々な武蔵像を見てきましたが、小島剛夕先生が描く骨太な武蔵は全1巻分しかないのがあまりにも勿体無いですね。

作者は二人共亡くなっていますが、ラスト近くで武蔵が桜島を眺めて
『剣を志す者 この煙の如く 後を断つことはござるまい……』
とつぶやいていますが、剣=武蔵…今後も宮本武蔵はずっと描き継がれていく事でしょう。
今の時代だと現在も長期連載中の「バガボンド」が力作すぎて、他の漫画家が描きにくい状況だと思いますが、それぞれが思い思いの武蔵を、まだまだ描いていく世の中を切望します。


おれは一体なんのために 今日までこの一剣に生命を賭けて来たのだ!
絶つか絶たれるかの一瞬に全生命を賭けて磨きぬいて来た剣の道
この一剣もて天下の頂上に君臨しようとした今日までの俺が!
鉄砲ごときに怖れをなし 迷いをもっていいのか!
これからの人生なにが起ころうとも どんなことが巡って来ようと
おれは決して剣一途以外の道は歩まぬぞ!



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  1. 2010/10/27(水) 23:06:17|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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