大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

上村一夫 原画展~渚の部屋~

先月、我が家に投函されたポストカード(サイズ大)。
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これが『上村一夫 原画展~渚の部屋~』なる企画の案内で、嬉しくて飛び上がりました。
生誕70年は昨年で終わってしまいましたが、まだまだ上村一夫評価の目は止まっていないようです!

会場は、神楽坂の"artdish"(アーディッシュ)で、会期は2011年1月21日~2月27日までと、長いのが嬉しい。
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↑DMでは2月19日までとなっていますが、会期延長されました。しかしこれ、DM用に一枚という場合にこの絵を選ぶかと笑っちゃいましたが、それもそのはず…今回の企画は渚ようこさんという、今の時代に昭和くさい『歌謡曲』を歌うシャレオツな歌手がセレクトした原画を展示した物なのです。
なので必然的に上村先生の描くオシャレ部分だけ取り出して展示しているような塩梅になっています。

2004年に発売したミニアルバム「渚ようこ meets 阿久悠 ふるえて眠る子守歌」はCDジャケットに上村一夫先生のイラストが使われていたので、もちろんジャケ買いしましたのも記憶に新しいです。音は聴いてませんが。
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また今回の会期中の2月13日には、渚ようこLIVEも開催されます。

ドロドロした劇画のイメージが強い上村先生も、こういったポップな作品を中心としたイラストレーターとしての仕事も膨大な量をこなしているのだから、今回の展示は一貫性があって良いかもしれません。
彼女の好みにピッタリなのが1970年代ヤングコミックの表紙だったのでしょう。同誌の表紙だらけのサイケな小部屋があり、食事スペースの方も展示の仕方にもセンスを感じる空間でした。
オシャレ層に人気の歌手が上村先生イベントをやれば、過去作品の売れ行きに影響出るでしょう。嬉しい事なのですが、ではヤングコミックに連載されていた作品で…と勘違いして「怨獄紅」あたりを読んだら大変な事になりませんかね。
本当、知らない人がこの展示だけを観ると『上村一夫=オシャレ漫画家』と認識する可能性あると思います。

ちなみに渚ようこさんは、確か宇野亜喜良クレイジーケンバンドなどと仲良しで、新宿ゴールデン街に自身の店を持ち、あの森山大道が初めて一人の女性に焦点を当てて撮り下ろした写真集「NAGISA」のモデルで、歌謡曲歌手で…と、オッシャレー!でしょ。
表面だけ見たらこれらの要素は全て昭和の絵師・上村一夫先生の世界とリンクするようでもあります。ただ現在それをやって、恐らくは粋を気取っているのであろう事にどこか違和感を持ってしまうのですよね。
ダサい自分なので、オシャレだと分かっていかにもなオシャレしている人達・店などがとても苦手なのです。私は下品な人間なのだし、粋ぶらず上品ぶらずダサくありたいのだと気付きました。

今夜は何か、酒呑みながらひねくれてオシャレ批判みたいな事を書いちゃっている私ですが、それは何故か…
もう一度『上村一夫 原画展~渚の部屋~』へ行った顛末を振り返ってみましょう。まず上記の葉書で企画を知って喜び、しかし会場が私には落ち着かない街・神楽坂、しかもレストランなので行くのに勇気が必要だったというか、今思えば嫌な予感がして、他の上村一夫展のようにすぐは行かず、今更やっと訪れたのでした。

神楽坂は上村先生が事務所を構えていた場所でもあり、エッセイ集「同棲時代と僕」で当地の描写もあるから、会場にふさわしいのかもしれませんが…
とにかく到着した、ここがアーディッシュ。
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おおー!やってますよ!!
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外から、ヤングコミック表紙の小部屋が見えます!
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これをまず外から見て興奮するのも束の間、店員が外まで飛び出てきて中へ促され、入店するなり名前書くノートをすすめてきたため、逆に書けずに出ちゃいました。
しかも店内に居る間ずっとこちらをガン見してきて落ち着かない…というか、気分悪いんですけど!すぐさまサービス出来るようにと目を配っていたのか、それともお前みたいな田舎者は帰れという光線だったのか。だいたいオシャレ気取った店内は、土曜日のいい夜時間だったのに、他にお客はゼロ!
さらには展示目的だと告げたら食事しなくてもいいとの事なので、でも悪いからビールだけ注文したのですが、席に着いたらお高い食事メニューの黒板持って来られて。

あ、これがビールとメニュー。
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上村一夫絵の素敵なコースターですよ!
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ビールを飲み干しかけたらボーイが飛んできて注文促されまして、追加を断ったら回収されていきましたが…
こういう店で食事するオシャレな人達は、ここが居心地良いのだろうから驚きです。

もちろん上村一夫先生の原画は凄くて、初めて観る絵もあったし何より生原稿です!作品数も思った以上にあり、もっとじっくり観たかったのですが、そんな店なのでとにかく居るのが辛くて、『うわ、まだこっち見てるよ~』とか思ってもう、スタコラ出ちゃいましたよ。
当初は楽しみだった物販コーナーなんて、店員が目の前に仁王立ちしているから一瞥しただけ。

愛しい、大好きな作家の展示だからといって原画で観なくても、もっと好きな絵・好きなシーンを自由に何度も観れる単行本などの印刷の方がいいのかな。
行かないのはファンとしてどうかという感情があったからこそ行ったのだけど、生前の先生だって『原画』を美術品として見せようとして描いたわけでは無いのだから、本を読む事こそが作者自身の思惑でもあるでしょう。
お金かけてあんな店に行って辛い思いするのなら…印刷物で良かった。

ただ、服装とかでこいつは神楽坂のオシャレ食堂に似つかわしくないと思われてNG客として追い出しにかかったのだとしたら、店員は良い仕事したとも言えます。
絵が見たいだけだった私も、思わぬ良い勉強させてもらいました。せっかく観れた上村一夫展の思い出を汚されたと同時に、自分がちっぽけで卑しい人間なのだと再認識する事で失われつつあるハングリー精神も甦ってきました。
結局、私はまた他の形で上村一夫展があれば、まぁ懲りずにまた行くのでしょう。

とにかく泣きながら高円寺に帰り、ボロい店で焼きトンなどつまみながら安酒を呑み、下品に酔っ払う事でようやく落ち着きを取り戻しました。


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ガン見店員のインパクトが強すぎましたが、店内には他に上村一夫先生関係のスタッフらしき女性が一人いて、こんな私にも『ゆっくり観て下さい』とか優しい言葉をかけてくれました。
今思えば、もしかして先生の娘で原画の管理や作品の復刻などを手がけている上村汀さんだったのかなぁ。
そうだとしたら、上村一夫先生の娘さんですよ!隣の席に座ったし、これは昨年ブルース・リー(先生と同い歳)の娘シャノンと会った時以来の衝撃!と騒ぐ事になっていたかもしれません。店(店員)さえこうでなかったら…


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  1. 2011/02/12(土) 23:56:05|
  2. 古本 番外編
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  1. 2011/02/16(水) 17:19:04 |
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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