大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(70) 関よしみ 7 「マッドパパ」

続いての関よしみ作品紹介は、短編集「マッドパパ」(講談社刊)です。
SEKI-mad-papa.jpg
今回は全て1996年に少女フレンド増刊・サスペンス&ホラー特集号で掲載された作品で、全4編収録。

まずは表題作の「マッドパパ」ですが、前に紹介した「マッドハウス」以降、関よしみ先生はタイトルに『マッド』が付く作品を多く描くようになります。
それは関よしみ先生による一大叙事詩(サーガ)…とでも言えれば良かったのですが、内容に関連性は無いし、多分タイトルを考えるのが面倒で安易に付けただけかと思われます。まぁ関よしみ作品は内容が素晴らしいので、タイトルまであまり気にしなくて良いでしょう。
今回はだらしなさが目立つ、まぁどこにでもある街・S県N市が舞台。そこの上條正義市長は過剰に正義感を持ち、綺麗好き。無料で行っている彼の1泊カウンセリングを受けると、人前でオナラしたり風呂上りに部屋を全裸でウロウロしてだらしない藤井凡子のパパも理想のパパに大変身!
他にも隣りの部屋のアル中オヤジを始め、街中の大人たちがカウンセリングを受けるようになり…という話。
1泊で人格がすっかり変わるという無理をどうして実現出来たかの謎があり(大したネタじゃないけど)、暴走し出す人々。狂い方が徐々に進行するので、凡子のお母さんが味噌汁にスポンジきざんで入れてたり、無表情のままアスパラと一種に自分の指を刻んだりするのが怖い。
上條市長は善良な市民ばかりの理想の街作りをしようとしただけであって、悪人ではないのが怖さに欠けるかな。ちゃんとラストには怖いオチも用意されていますが。

マッド・サーガは続き、次は「マッドサマースクール」
T大合格が確実視されるエリート達が、夏期合宿ゼミのハイテクビルで停電事故のため閉じ込められ、人間の本能のままに醜く争いを始める…そう、関西弁の日熊さん曰く
『みんな1人になるんが怖いんや……どんなエリート気取っとっても どんな勉強がよオできても……みんな同じや 弱おてさみしいんや……』
という事です。その、最後まで人間性を失わなかった日熊さんも暴徒のようになったエリート達に殺されて、さぁどうなるのでしょうか。
講師達はエレベーター内で全滅、生徒は蒸し風呂状態のビルからどうしても出られない、切羽詰った絶望感が味わえるパニックホラーの秀作。

そして今作で収録されている中で一番好きな作品が、「笑わせろ!」
これはビルの展望室に突如、2人組の銀行強盗に失敗した犯人が銃を乱射して幼児までも殺しながら乱入してきて、残った人々は人質に取られます。
楽しい事など一つも無かったし一度も笑った事が無い、という犯人のアニキ分の方を笑わせたら解放してもらえる事になるのですが、失敗した者はその場で殺される…これがタイトルの由来で、「笑わせろ!」と強要するのですね。
くだらない宴会芸とか駄洒落などで命をかけた挑戦する者達が、失敗してはゴミのようにテンポ良く殺されていく!犯人の冷たい反応も含め、これが不謹慎ながら可笑しくて読者の私が笑ってしまいます。さらに犯人より先に笑った者も殺されると事で、笑いをこらえるのは主人公の女子・鈴香
最後に残った鈴香と恋人や親友の仲良し4人組は、仲間うちで人間の本能むき出しの醜すぎる争いをおっぱじめる。ラストも皮肉すぎる名作。

最後は「死にたいの・2」
関よしみ先生には珍しい、続編モノです。といっても主人公が『死にたい』人なだけで登場人物も舞台も違いますが。前作は既に紹介した短編集「マッドハウス」に収録されています。
うひょー、すげえ!と言いたくなる人々の自殺描写に、ちょっと怖いオチも用意されていて、短いページ数で描かれたシュールな自殺漫画でした。


あたし……さっき本当に智湖のこと殺そうと思った……
あたしもあの人と同じだ!こんなに簡単にこわれちゃう……



スポンサーサイト
  1. 2011/03/31(木) 23:16:36|
  2. ホラー漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<ホラー漫画(71) 関よしみ 8 「オーロラが殺す」 | ホーム | ホラー漫画(69) 関よしみ 6 「壊れた狂室」>>

コメント

はい

マッドパパの表紙のパパの笑顔がいいですね、関よしみ先生のマッド系のシリーズは全て制覇したいと思うであります。マック赤坂もマッド赤坂にかえればいのに。と、政見放送をみて生意気ながら思わせていただきましたの。
  1. 2011/04/03(日) 20:50:37 |
  2. URL |
  3. おたまり #SFo5/nok
  4. [ 編集]

マッド赤坂

>おたまりさん

おお、おたまりさん!書き込みありがとうございます。
そして表紙のマッドパパの笑顔ですか!それはいい所に注目してくれました。関よしみ先生の魅力はヤバイ内容だけでなく、絵に強くあるんですよね…まぁこれでサイコホラー描いてなかったら普通の少女漫画かもしれませんが。是非ともマッド・サーガ制覇してください!
マック赤坂…私は政見放送見てないのですが、何ですかあの人は?確かにサイコホラーを感じる人物でもあり、マッド赤坂なんて名前の方が都知事になったら面白いとは思いますね。ああ、もうすぐ都知事選挙。
  1. 2011/04/06(水) 08:20:51 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

「笑わせろ!」の主人公は鈴香ちゃんじゃなくて美弥ちゃんですよ^^
  1. 2012/06/17(日) 15:22:02 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集]

主人公

笑い上戸の鈴香じゃなくて、クールな美弥子の方が主人公でしたか…
ご指摘、ありがとうございました。
  1. 2012/06/18(月) 09:55:48 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/985-2cb310ed
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する