大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(72) 関よしみ 9 「強欲な女神」

関よしみ作品紹介は続き、今回は「強欲な女神」(講談社刊)です。
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講談社のサスペンス&ホラー特集号で掲載された作品ばかり、3作品が収録された短編集です。

まずは表題作で1998年の「強欲な女神」
ダサくてちょいブスでメガネの保田美晴…今作も他の多くの作品と同じように中学生女子が主人公ですが、珍しいのは彼女が『美しさ』に翻弄される周りの女達を見守るだけの狂言回し的な役割のキャラクターにすぎない事でしょうか。
むしろ主人公は、転校してきた比留間朝華とその母・魅夜の母子なのかもしれません。美容と健康のための総合クリニック会社を経営して大成功している魅夜は異常なほど美と若さに対する執着を持ち、パトロンの有名脳神経外科医の能海英明医師の手で娘と自身の脳を移植する計画を企てている。
そんな恐ろしい話で、あれ、でもこれって…楳図かずお先生の「洗礼」そっくり。影響受けている事は間違いないですね。美しさに固執する女性心理の怖さを巧みに描いているのも同じですが、「強欲な女神」では狙われた娘が主人公ではないので、母の企てに気付いた朝華が自分の美貌を利用して母を殺してくれる人を探していたりするし、他にも関よしみ先生風味の味付けを見せてくれています。
オチも「洗礼」と違ってアレを実現させていて…この短編の制約の中で見事にまとめています。

次は1997年の「処刑都市」で、ゴミ問題をテーマにした恐怖譚。
松葉怜奈が両親と共に汚い団地から抜け出して都心の一戸建てに引っ越した土地は、ゴミの分別にとんでもなく厳しい地域でした。決められた通りに出来ない者に課せられる罰則とは!?
ゴミ問題ホラーなんて、ともすればギャグになってしまいまそうですが…これは怖い。ちょっと変な土地に迷い込んでしまった家族のシュールな物語、として楽しむ方がいいのかな。

最後に1998年の「凍った涙」ですが、今回は主人公の女子がちょっと若くて小学6年生の美純
199X年のクリスマス・イブからスタートし、ホワイトクリスマスを喜ぶ子供達。しかし、それが恐怖の始まりでした。その年は異常寒波で雪が降りやまず、全てのライフラインが止まると食料が無くなり、いい人だったあの人も…そして起こる暴動、人肉喰い。
これは日野日出志先生の名作「百貫目」を思い出しました。または、しりあがり寿先生の「方舟」で降り続いた『雨』を『雪』に置き換えたような作品という見方も出来るかもしれません。
人間不信の目で本性を暴くような体裁を持ちながら実は希望を見せ、人間とは何か、大事にすべき価値観とは、そんな事を考えさせる優れた短編でした。


これ…ほかの部屋の人たちにも分けてあげようよ
だってパパ いつもいってたもん
うばいあうから足りなくなる 分けあえばあまるんだ……って



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  1. 2011/04/05(火) 23:39:01|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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